ICU/CCUの急性血液浄化療法の考え方,使い方 ver.2

  • ページ数 : 592頁
  • 書籍発行日 : 2024年4月
  • 電子版発売日 : 2024年4月10日
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商品情報

内容

急性血液浄化療法の名著ふたたび

ICU/CCU患者の病状・病態ごとに適切なタイミングで急性血液浄化療法を行うにはどうすればよいか? その思考プロセスの段階からロジカルに徹底解説した好評書に大幅加筆を施した改訂版がついに登場! クリティカルケアの現場でこれから初めて急性血液浄化療法に携わるレジデントやクリティカルケアナースは勿論,日々現場で奮闘する医師,ナース,臨床工学士の皆さんにも大いに役立つ内容が満載です.

序文

第2版 はじめに


2014年「ICU/CCUの急性血液浄化療法の使い方,考え方」初版が世に出て,多くの方々に読んでいただき,新たな出会いもあり自分自身たくさんの扉を開いてきました.

医師13年目,市中病院ICU/CCUの8年目として40手前のそのときの勢いだけで作った単著だったため,その後読み直してみると足りない部分や誤解していた部分,書き尽くされていない部分が気になっていました.そして2024年までの約10年間でクリティカルケアの輸液管理やCRRTを含む急性血液浄化療法について様々な医学的知識・技術の進歩がありました.自分自身そしてICU/CCUスタッフの間で輸液や急性腎障害AKIに対する考え方,急性血液浄化療法の使い方も変わりました.

第2版ではとくに敗血症の輸液管理・全身管理,AKI/CRRTの関係,抗菌薬を中心としたAKIやCRRTでの薬物投与を中心に全ての章を見直し,CRRTの国際標準化に向けた取り組み〔浄化量,PMX-DHPの立ち位置,抗凝固薬(ナファモスタットと回路内クエン酸抗凝固)〕の必要性についてとりあげ,できる限りハード面について技術的な最新のUpdateを行っています.また特殊なモード(PIRRT,血漿交換,敗血症とCRRT,薬物中毒)を最新の文献をもとに作り直し,肝不全への急性血液浄化療法を追加しました.

レジデント,ICU/CCUナース,臨床工学技士,ICU専属薬剤師,リハビリテーションスタッフの初心者にとってはクリティカルケアの導入として,そして医師をはじめ急性血液浄化療法に慣れた皆さんには日々の臨床の確認として本書が役に立てばと思います.

この本は日々の臨床でのプラクティスと,AKIを合併した最重症患者ケアをベッドサイドで絶え間なく支え続ける洛和会音羽病院ICU/CCUナース,臨床工学技士,薬剤師そしてともに仕事をしてきた若手医師との日々のディスカッションや勉強会が根幹であり,第2版への大きな橋渡し役を果たしました.

臨床医としての23年間とクリティカルケアの現場に飛び込んだ18年間の中で実践してきたこと,そして執筆中に考えたことを本文および一部脱線する形でコラムに書き綴ってみました.前著同様,それ以上に本書を手にしたあなたにとって,このささやかな本が今まで以上に日々のクリティカルケアでの診療に役立ち,ひいては目の前の患者さんの改善につながることを祈って.


2024年3月

大野博司

目次

略語

第0章 CRRT超入門:どのようにRRT回路を理解するか

Step 1.患者からの脱血,送血(返血)ルートをまずは書きだそう!

Step 2.血液浄化のための血液浄化フィルター(ヘモフィルター)を加える!

Step 3.血流量を確保するための血液ポンプを加える!

Step 4.抗凝固薬投与のルートを加える!

Step 5.血液透析HDを行う場合,血液浄化フィルターと逆向きに透析液を流す!

Step 6.血液濾過HFを行う場合,血液浄化フィルターの前か後に置換液(補充液)を流す!

Step 7.血液濾過透析HDFを行う場合,血液浄化フィルターと逆向きに透析液を流し,また血液フィルターの前ないし後ろに置換液(補充液)を流す!

Step 8.さらに“空気混入(気泡)”センサー,“漏血”センサーを追加する!

第1章 CRRT入門:用語解説,CRRT回路の概観,4つの原理とその適応

1.用語解説

2.臨床現場でのCRRTとIRRTの違い

3.CRRT回路の概観

4.急性血液浄化療法を理解するための4つの原理とその適応

5.間欠的腎代替療法IRRT(HD,HF,HDF)での分子量によるクリアランスと血液中の成分の分子量

第2章 クリティカルケアでの輸液管理

1.クリティカルケアでの輸液に関する用語

2.クリティカルケアでの水の出し入れ:1 蘇生期,2 安定・利尿期のタイミングをつかむ

3.敗血症・敗血症性ショックの初期蘇生輸液管理と循環作動薬

4.輸液の種類

5.重症患者Critically illの病態による輸液・初期蘇生輸液の選び方

6.輸液過剰による全身への影響

7.浮腫のメカニズム

8.体液量過剰の評価と実際の体液除去(薬物的・機械的除水)

9.フェーズによる循環・呼吸・CRRTと栄養の関係

第3章 急性腎障害AKI:概念と診断基準

1.急性腎障害AKIの頻度と症状・徴候,AKIによる全身に与える影響

2.急性腎障害AKIの診断

3.急性腎障害AKIのバイオマーカー

4.急性腎障害AKIの鑑別と分類,クリティカルケアでよくみられるAKIの病態

5.クリティカルケアでの急性腎障害AKIの診断・治療と予防

6.急性腎障害AKIと急性腎臓病AKDと慢性腎臓病CKD

7.重症患者Critically illの急性腎障害AKIの主な原因疾患

第4章 CRRT基本設定と合併症

1.CRRT基本設定−回路とCRRTでの4つの流量

2.CRRT基本設定−各論1 SCUF

3.CRRT基本設定−各論2CVVH

4.CRRT基本設定−各論3 CVVHD

5.CRRT基本設定−各論4 CVVHDF

6.体液量コントロールでのIRRT:IHDとCRRTの違い

7.血液透析と血液濾過の循環に与える影響はどちらが大きいか

8.CRRT中の合併症

第5章 CRRT理解のための基本事項:クリアランス,浄化量

1.溶媒と溶質,クリアランスとは

2.血液透析HDとCRRTでの溶質除去の求め方がどうして異なるか

3.ふるい係数sieving coefficient(SC)とはなにか

4.最も重要な2つの原理1:拡散diffusionを用いたCRRT:CVVHDとCVVHDFでの浄化量

5.最も重要な2つの原理2:濾過convectionを用いたCRRT:CVVHでの浄化量

6.後希釈postdilutionでの濾過率FF

7.持続的腎代替療法CRRTでの浄化量doseとはなにか

8.持続的腎代替療法CRRTでの理想的な浄化量doseをどのように処方したらよいか

9.腎代替療法RRTでの浄化量の違い:血液透析HD vs. 緩徐低効率血液透析SLED vs. 持続的血液濾過CVVH

10.世界標準量の浄化量の推移〜大規模スタディを通してRENAL StudyとVA/NIH Study〜

11.日本国内での浄化量について─世界標準の浄化量と比較して─

12.臨床現場での望ましい浄化量が意味するところ

13.実際の浄化量処方の考え方

第6章 急性血液浄化療法の適応と離脱

1.急性腎障害AKIの内科的治療

2.腎代替療法RRTの適応─Renal indicationとNon-renal indication

3.腎代替療法RRT導入のタイミング

4.腎代替療法RRTのmodalityとモードの選択

5.腎代替療法RRT−とくにCRRTの終了・離脱

第7章 CRRTの基本構成1:ブラッドアクセス

1.バスキュラーカテーテルの種類

2.バスキュラーアクセス挿入部位と注意点

3.バスキュラーカテーテルの合併症

第8章 CRRTの基本構成2:抗凝固薬−回路内閉塞予防を中心に考える

1.回路内凝固はどこで起こるか:原因と対策

2.血栓形成の機序:凝固カスケード

3.CRRTで用いられる抗凝固薬1:種類と特徴

4.CRRTで用いられる抗凝固薬2:回路内のみ抗凝固と抗凝固薬なし

5.CRRTでの抗凝固薬の選択

第9章 CRRTの基本構成3:血液浄化フィルター(ヘモフィルター)

1.血液浄化フィルター(ヘモフィルター)の構造

2.CRRT用血液浄化フィルターに求められる条件とCRRTモードによる変化

3.国内で使用されるCRRT用血液浄化フィルターの種類と膜素材の特徴

4.血液浄化フィルター(ヘモフィルター)の対称・非対称膜構造

5.主にIRRTで用いられる血液浄化フィルターの分類

6.逆濾過backfiltrationについて

7.血液浄化フィルター(ヘモフィルター)選択のガイドラインと実践的な選び方

第10章 CRRT管理中の全身アセスメントと輸液管理

1.急性腎障害AKIが全身に与える影響

2.CRRT中の全身アセスメント

3.CRRT中の体外循環アセスメント

4.CRRT中の輸液管理

5.CRRT中の実際の除水量の考え方

6.CRRTで用いられる透析液・置換液(補充液)の確認事項

第11章 CRRT中のトラブルシューティング

1.CRRT中のトラブルシューティングの際の考え方:“PACE”アプローチ

2.CRRT回路閉塞を早期に発見・予防するために

3.CRRT中のトラブルシューティング:CRRT中の血圧低下の考え方

4.CRRT中の回路モニタリングとトラブルシューティング

5.ECMO体外循環へのCRRT回路接続

第12章 特殊なモード1:PIRRT

1.長期間欠的腎代替療法PIRRTの登場:IRRTとCRRTのメリットとデメリット

2.PIRRT周辺の用語

3.PIRRTの設定パラメータ:IRRTとCRRTとの比較

4.PIRRT施行時の注意点

5.IRRT,PIRRTで使用する透析液の作り方

6.クリティカルケアでのPIRRTの使い方

第13章 特殊なモード2:血漿交換

1.血漿分離と単純血漿交換

2.血漿の分離:遠心分離法と膜分離法

3.単純血漿交換TPEの有効性と血漿処理量・施行回数の考え方

4.単純血漿交換TPEの適応疾患up-date

5.単純血漿交換TPE実際の施行法

6.単純血漿交換TPEで用いる置換液の種類と特徴

7.単純血漿交換TPEの合併症

8.特殊な血漿交換療法:二重濾過血漿交換DFPPと選択的血漿交換SePE

第14章 特殊なモード3:敗血症への急性血液浄化療法

1.敗血症の定義と病態生理

2.敗血症・敗血症性ショックに対するNon-renal indicationでの急性血液浄化療法の理論的背景

3.敗血症・敗血症性ショックへの急性血液浄化療法−総論

4.敗血症・敗血症性ショックへの急性血液浄化療法−各論

5.CRRTのNon-renal/Extra-renal indicationが目指すところ−MOSTとECOS

第15章 特殊なモード4:薬物中毒への急性血液浄化療法

1.急性薬物中毒の一般的なアプローチと疫学

2.薬物中毒への特異的解毒薬・拮抗薬

3.中毒薬物除去目的で急性血液浄化療法を行う際に求められる条件

4.急性薬物中毒で理解すべき薬物動態学PKの注意点

5.中毒薬物除去のために理解すべき急性血液浄化療法の要素

6.急性薬物中毒への急性血液浄化療法のアプローチとEXTRIP

7.急性血液浄化療法の適応となる急性薬物中毒各論

第16章 特殊なモード5:肝不全への急性血液浄化療法

1.肝臓の機能

2.急性肝不全の診断基準と症状

3.慢性肝不全急性増悪の病態生理と合併症,重症度判定

4.急性肝不全と慢性肝不全急性増悪の治療

5.急性肝不全と慢性肝不全急性増悪への人工肝臓

6.急性肝不全と慢性肝不全急性増悪への急性血液浄化療法(機械的人工肝臓)

第17章 CRRTまとめと実際の処方

1.急性血液浄化療法・腎代替療法RTT処方にあたっての基本事項確認

2.急性血液浄化療法・腎代替療法RRT処方のアプローチ

3.CRRT処方のロジックがわかると日常臨床でなにが変わるか

4.ケースごとのRRTの考え方と実際の処方オーダー

第18章 重症患者Critically illでの抗菌薬投与の考え方

1:原則とAKIでの投与設計

1.重症患者Critically illの循環動態が薬物投与に与える影響

2.重症患者Critically illでの薬物投与経路

3.重症患者Critically illでの薬物療法の注意点1:分布容積Vd

4.重症患者Critically illでの薬物療法の注意点2:クリアランスCL

5.重症患者Critically illでの薬物療法の注意点3:タンパク結合率

6.敗血症・敗血症性ショックでの抗菌薬投与の注意点1:水溶性・脂溶性抗菌薬,濃度依存・時間依存性

7.敗血症性ショックでの抗菌薬投与の注意点2:実践的な初期投与量,投与間隔

2:CRRT,PIRRT,IRRT,TPE,ECMOでの投与設計

0.第18章1の復習から

1.重症患者Critically illでの腎代替療法RRTと抗菌薬投与設計

2.重症患者Critically illの単純血漿交換TPEと抗菌薬投与設計

3.重症患者Critically illの体外式膜型人工心肺ECMOと抗菌薬投与設計

付録:腎代替療法RRTでの抗微生物薬の投与量・投与間隔

あとがき

索引

column

クリティカルケア,勤務医,医師という職業に向き合う姿勢

Never, never, never, never give up.

クリティカルケアでなぜいま敗血症なのか

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書籍情報

  • ISBN:9784498066717
  • ページ数:592頁
  • 書籍発行日:2024年4月
  • 電子版発売日:2024年4月10日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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