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  • ICUの作業療法 -超急性期から始める活動・参加へのアプローチ-

ICUの作業療法 -超急性期から始める活動・参加へのアプローチ-

  • ページ数 : 212頁
  • 書籍発行日 : 2023年7月
  • 電子版発売日 : 2024年6月12日
4,180
(税込)
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商品情報

内容

ICUにおいて、作業療法士は何を考え、どのように実践していくのか。
ICUで実施されている作業療法アプローチを詳細に解説。


ICUでの早期リハビリテーションは、多職種によるチームアプローチが必須です。また、ICUで働く作業療法士には、身体および精神機能障害の評価に加え、ICU入室患者の生活を見据えた取り組みが求められています。
本書では、ICUの作業療法について、ICUにおけるリハビリテーションの基礎知識からICUの作業療法概論・診療報酬をはじめ、ICU入室患者の活動と参加につながる作業療法アプローチを実践するためにおさえておきたいICU入室前・入室中・退室後の作業療法士の取り組みについて、ICUにおける禁忌や中止基準も含め詳細に解説し、ICU作業療法の実際として、「脳血管・神経」「呼吸器」「循環器」「運動器」「その他(周術期、急変・病態悪化)」の領域について実践内容をまとめました。
急性期病院で働きはじめた作業療法士にとって最適の書であるとともに、急性期の作業療法を理解するための書として、多様な領域の作業療法士に役立つ一冊です。

序文

編集の序

本書『ICUの作業療法-超早期から始める活動・参加へのアプローチ-』は、作業療法士による作業療法士のためのICUの作業療法の書籍です。現在の作業療法士養成校では、脳卒中や整形外科術後など急性期治療・作業療法を学ぶ機会があっても、ICUで行われる治療や患者さんの様子、そこで行う作業療法の講義を受ける機会はまれだと思います。私が養成校の学生であった十数年前もそうですが、本書刊行の2023年においても、救急・集中治療領域関連の講義を行っている養成校は少数派であると思われます。しかし、臨床現場においては作業療法士の役割を熟知した医師、他職種からICUでの作業療法を依頼されることがあります。

ICUでの作業療法の役割や実践内容について学ぶことが少なかった作業療法士は、いざ臨床現場に出て、「ICUの患者さんへの作業療法依頼にどのような対応ができるか」と聞かれたら、早期離床や呼吸リハビリテーションなど理学療法士に準じたリハビリテーションを提供することになるのではないでしょうか。ICUで勤務する作業療法士の中には、理学療法士と遜色ないアプローチをするセラピストがいるかもしれません。患者さんの状況・状態を把握・評価し、作業療法士としてすべきことが理学療法士と同様の訓練内容である場合は、最善の実践ですが、何をすべきなのかわからず、作業療法のアイデンティティを見失った結果だったとしたら、作業療法士としても、何より患者さんにとって非常に残念なことです。とは言え、ICU の作業療法は、まだまだマイナーな領域です。マイナーであるがゆえに、ICUの作業療法について学ぼうと思っても、ICUのリハビリテーション治療に関する書籍は、その多くが理学療法や早期離床に焦点が当てられ、作業療法の専門性について特化したものはありませんでした。そこで本書では、フィジカルアセスメントや医療機器の最低限の事柄は解説しながらも、ICUの医学的治療や早期リハビリテーション治療の概要は、成書に譲り、作業療法士による作業療法士のための「ICUの作業療法の書籍」として編集しました。

本書を5W1Hに当てはめて説明すると、

•When(いつ) ICU入室中またはその退室後

•Where(どこで) ICU

•Who(だれが) 作業療法士の3Wを固定スタンスとし、

•What(なにを)

•Why(なぜ)

•How(どのように)

の2W1Hを臨床において、作業療法士がICUで、何を考え、なぜそれを行うのか(根拠)、どのように作業療法を実践するのかにページの多くを割いている点が特徴です。その多くは、活動・参加に視点を置いたアプローチであり、まさに読者のみなさんが、ICUにおける超急性期の作業療法で、最も知りたいであろう、思考および実践、その有用性・有効性などを現時点における最新の報告データも含めながら学ぶことができるように工夫しています。加えて、ICU退室後の作業療法においても記載しました。ICU入室中の作業療法がその後の継続した作業療法にどのようにつながるのかを学ぶことで、さらにICUの作業療法を再考する機会になると思います。

第1章を「ICUの作業療法実践前の基礎知識」とし、ICUという環境の特性や患者に与える影響、リハビリテーション治療を実施するうえで知っておくべき診療報酬などの基本を記載しました。第2章は「ICUの作業療法実践」で本書の核となる章です。ICUに行く前、ICU入室中、ICU退室後に分け、ICUの患者に対し、作業療法士が何を考え、なぜそれを行うのか(根拠)、どのように作業療法を実践するのかを記載しています。つづく第3章は、「ICUの作業療法の実際」として、脳血管・神経領域、呼吸器領域、循環器領域、運動器領域、その他に分け、ICU やSCU、CCU、救命救急センターなど集中治療を要する疾患・病態の概要、作業療法のリスク管理や評価、目標、アプローチ、ICU 退室後の継続した作業療法について記載しました。症例提示からは、各領域のエキスパートの思考・作業療法の実践、経過の流れを学べます。最後の第4章は、「ICUにおける他職種の役割と作業療法士に期待すること」として、ICUで活躍する他職種のご高名な先生方に執筆いただきました。医学・医療におけるチーム医療の重要性は言うまでもなく、ICUにおいては、その一瞬が患者さんの生命に直結することがあるため、通常のチーム医療よりも、密な関係性が必要です。各職種のICUエキスパートが書かれた内容は、非常に聡明であり、作業療法士への期待は、患者さんをより良い改善へと導く1ピースとして重宝されていることに気づかされます。また各章にトピックスとして、役立つライセンス、体制づくり、学術活動、作業療法教育について、臨床+αの情報も得られるようにしました。

本書は、初学者であれば、系統立てて学べるように、経験者においては、どこから読んでも有用な内容が得られるように構成しました。若手から中堅の作業療法士を主な読者としていますが、作業療法士を目指す養成校の学生さんやベテランの作業療法士、これからICUにかかわりたいと思っている作業療法士、回復期リハビリテーション病院や療養型病院に勤務する作業療法士が急性期の作業療法を理解するためなど、多様な領域の作業療法士の方々に新しい知見として役立つ内容となるよう心がけました。また、病院単位で、ICUの特性が異なることを踏まえ、さまざまな読者の病院の状況にもできるだけ適応できるように、多くの病院の作業療法士に執筆のご協力をお願いしました。今回の執筆を、快く引き受けてくださった作業療法士は、ICUの作業療法の第一線で活躍なさっている先生方であり、最良のICUの作業療法の教科書になると自負しています。

本書が、読者のみなさんの明日からの臨床・研究・教育に役立てていただけるものとなればこのうえない喜びです。


2023年3月吉日

藤本侑大

目次

【第1章】ICUの作業療法実践前の基礎知識

1.知っておきたいリハビリテーション医療関連知識[藤本侑大]

 1)ICUとは

 2)ICUの施設概要

 3)ICUの環境で患者に起こる心身機能の影響

 4)ICUにおける早期リハビリテーション治療

2.ICUの作業療法概論[藤本侑大]

 1)はじまりと変遷

 2)国内外の作業療法の実施状況

 3)作業療法の適応と対象

 4)作業療法士の役割と実践内容

 5)リスク管理

 6)作業療法の有用性

3.ICUの作業療法に関連する診療報酬[髙島千敬]

 1)ICUに関連する診療報酬

 2)疾患別リハビリテーション料

 3)早期リハビリテーション加算

 4)早期離床・リハビリテーション加算

 5)まとめ

TOPICS ICUの作業療法実践のためのスキルアップ資格[藤本侑大]

【第2章】ICUの作業療法実践

1.ICUに行く前に

1 カルテからの情報収集のポイント[佐々木祥太郎]

 1)カルテからの情報収集の意義

 2)カルテからの情報収集

 3)おわりに

2 安全管理(開始・中止基準とリスク管理)[佐々木祥太郎]

 1)ICUにおける安全管理の意義

 2)ICUにおける作業療法の安全管理

 3)ICUの作業療法における安全管理の実践

 4)おわりに

2.ICU入室中の作業療法実践

1 作業療法士の視点での評価と目標設定[藤本侑大]

 1)集中治療領域における作業療法評価と目標設定の意義

 2)作業療法評価

 3)ICUの作業療法における目標設定

 4)おわりに

2 認知・精神心理面の評価とアプローチ[児島範明]

 1)ICUにおけるパラダイムシフトと作業療法士の役割

 2)ICU患者の認知・精神心理面の問題

 3)認知・精神心理面の作業療法評価

 4)認知・精神心理面への作業療法アプローチ

 5)認知・精神心理面から活動・参加の拡大につなげる作業療法実践

 6)おわりに

3 身体機能面の評価とアプローチ[寺村健三]

 1)活動と参加を育むための身体機能に対する作業療法をICUから始める意義

 2)ICU患者の身体機能面の問題

 3)身体機能面の作業療法評価

 4)身体機能面への作業療法アプローチ

 5)和歌山県立医科大学附属病院のICUにおける作業療法の取り組み

 6)おわりに

4 ADL・IADL 面の評価とアプローチ[寺村健三]

 1)活動と参加を育むためにADL・IADLへの作業療法をICUから始める意義

 2)ICU患者のADL・IADL面の問題

 3)ADL・IADL面の作業療法評価

 4)ADL・IADL面への作業療法アプローチ

 5)おわりに

5 作業療法の効果判定(評価指標と効果)[駒場一貴]

 1)救急・集中治療領域の作業療法実践の現状

 2)ICUの早期リハビリテーション・作業療法で用いる評価指標

 3)各種評価指標と作業療法報告

 4)ICUの作業療法アプローチの効果判定

 5)作業療法の可能性

 6)おわりに

6 ICUの作業療法実践のための多職種連携[淺井康紀]

 1)ICUにおける多職種連携の意義

 2)多職種連携のあり方

 3)多職種連携を促進するために

 4)ICUにおける作業療法を多職種と共有するために

 5)おわりに

3.ICU退室後の作業療法[喜納俊介]

 1)作業療法実践を継続するためのポイント

 2)ICU退室後の目標設定

 3)集中治療後症候群(PICS、PICS-F)の理解と対応

 4)早期リハビリテーション治療を継続するために

 5)ICU退室後の作業療法を継続から発展へ

 6)地域生活へつなげるために

 7)おわりに

TOPICS ICUの作業療法─体制づくりのポイント─[淺井康紀]

【第3章】ICUの作業療法の実際

1.脳血管・神経領域(SCUを含む)[伊東寛史]

 1)概要

 2)ICUの作業療法

 3)ICU退室後の作業療法

 4)作業療法の有用性と有効性

 5)事例提示

2.呼吸器領域(人工呼吸器管理患者など)[寺村健三]

 1)概要

 2)ICUの作業療法

 3)ICU退室後の作業療法

 4)作業療法の有用性と有効性

 5)事例提示(急性期の頸髄損傷患者に対する作業療法)

3.循環器領域(CCUを含む)[髙島千敬]

 1)概要

 2)ICUまたはCCUの作業療法

 3)ICUまたはCCU退室後の作業療法

 4)作業療法の有用性と有効性

 5)事例提示

4.運動器領域(救急医療・重症整形外科外傷など)[藤本侑大]

 1)概要

 2)ICU(救命救急センター・救急病棟)の作業療法

 3)ICU(救命救急センター・救急病棟)退室後の作業療法

 4)作業療法の有用性と有効性

 5)事例提示

5.その他(周術期、急変・病態悪化など)[藤本侑大]

 1)概要

 2)ICUの作業療法

 3)ICU退室後の作業療法

 4)作業療法の有用性と有効性

 5)事例提示

TOPICS 臨床経験を学会・論文で発表しよう[藤本侑大]

【第4章】ICUにおける多職種の役割と作業療法士に期待すること

1.医師の立場から─ICUで協働する作業療法士へ─[笠井史人]

 1)ICUにおけるリハビリテーションの現状

 2)ICUにおける医師の役割

 3)ICUの作業療法に期待すること

2.看護師の立場から─ICUで協働する作業療法士へ─[北別府孝輔]

 1)ICUにおける看護師の役割

 2)集中治療の先を見据えた日常生活支援

 3)ICUの作業療法に期待すること

3.理学療法士の立場から─ICUで協働する作業療法士へ─[高橋哲也]

 1)ICUにおける理学療法士の役割

 2)ICUの作業療法に期待することとは

4.言語聴覚士の立場から─ICUで協働する作業療法士へ─[森脇元希]

 1)ICUにおける言語聴覚士の役割

 2)ICUの作業療法に期待すること

TOPICS 集中治療領域の作業療法教育[髙島千敬]

おわりに


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書籍情報

  • ISBN:9784763995704
  • ページ数:212頁
  • 書籍発行日:2023年7月
  • 電子版発売日:2024年6月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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