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- 佐村 修
- 周産期遺伝カウンセリングマニュアル 改訂2版
商品情報
内容
無侵襲的出生前診断(NIPT)の開始を背景とし、周産期に問題となる種々のケースの解説とカウンセリングで伝えるべき事項をまとめた一冊。臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー,産科医,新生児科医,小児科医,看護師,助産師,保健師,臨床心理士,メディカルソーシャルワーカーなどの様々な医療関係者へ。内容が充実した付録「カウンセリング資料」もクライエントへの説明時などに役立ちます。
序文
2003 年にヒトゲノムのシークエンス解析が完了し,その後のゲノム研究の進歩はめざましく,医療においても大きな変化をもたらしつつあります.個々の遺伝子の機能研究は過去のものとなり,数十万種類に及ぶ遺伝子多型や数千〜数万種類の遺伝子発現情報の体系的な解析により,疾患発症メカニズムの解明が可能になってきています.周産期領域においても,シークエンスの技術を応用し,母体血中のcell‒free DNA を用いた無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)が,2011 年に米国で開始され,すぐに世界中に広がりました.わが国でも,2013 年春より臨床研究として開始され,4 年が経過し,すでに40,000例以上が行われています.また,超音波をはじめとする画像診断技術も進歩してきており,胎児について妊娠早期にわかる情報は著しく増えてきています.このような状況にあって遺伝子解析や超音波検査の結果がカップルの妊娠継続の判断に大きく影響することから倫理,社会的な側面からの議論も盛んに行われています.
日本産科婦人科学会が2013 年に発表した「出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解」では,「出生前に行われる遺伝学的検査および診断には,胎児の生命にかかわる社会的および倫理的に留意すべき多くの課題が含まれており,遺伝子の変化に基づく疾患・病態や遺伝型を人の多様性として理解し,その多様性と独自性を尊重する姿勢で臨むことが重要」と記載されています.また,2011 年に日本医学会が示した「医療における遺伝学的検査・診断のガイドライン」では「出生前診断を行う場合には,適宜遺伝カウンセリングを行った上で実施する」と遺伝カウンセリングの重要性が強調されています.
このような状況のなかで周産期医療を行うにあたり知っておくべき知識を整理すること,また,そのことを実際にわかりやすく患者さんに伝えることを支援する目的で,本書は企画されています.本書の特徴は周産期医療の現場で遭遇することのある疾患について,実際の遺伝カウンセリングの場を想定して解説したこと,また,遺伝カウンセリングでクライエントの理解を深めるために使用できる図表を「カウンセリング資料」として掲載したことにあります.改訂第2 版では疾患数を増やし,解説内容を最新の情報に更新するとともに,本書の特徴である遺伝カウンセリング資料を大幅に充実させました.臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーまたはその取得を目指すもの,産科医,新生児科医,小児科医,看護師,助産師,保健師,臨床心理士ならびに,メディカルソーシャルワーカーなどの様々な職種の医療関係者が本書を参考に,周産期医療や周産期遺伝カウンセリングを実践していただければ幸いに思います.
本書の発刊に際し中外医学社の中畑 謙氏,岩松宏典氏に多大なる尽力をいただきました.この場を借りて深謝いたします.
2017年 4月吉日
関沢 明彦
佐村 修
四元 淳子
目次
1 総論
A 周産期の遺伝カウンセリングの特徴
B 染色体と遺伝子について
C 染色体異常の発生機序
D 家族歴の聴取方法
E 発生と先天異常
F 妊娠と薬
G 妊娠と医療放射線
H 妊娠と感染症
I 近親婚
2 高年妊娠の遺伝カウンセリング
3 染色体異常スクリーニング法
A 母体血清マーカー検査
B 胎児後頸部浮腫(NT)
C コンバインド検査
D Cystic hygroma(囊胞性リンパ管腫)
COLUMN 診断検査とスクリーニング(マーカー)検査
4 常染色体数的異常
A ダウン(Down)症候群:21 トリソミー
B 18トリソミー:Edwards 症候群
C 13トリソミー:Patau 症候群
5 性染色体数的異常
A ターナー(Turner)症候群
B クラインフェルター(Kleinfelter)症候群
C トリプルX 女性
6 染色体構造異常
A 均衡型相互転座
B ロバートソン(Robertson)転座型ダウン症候群
COLUMN 不均衡型転座児の生まれる確率計算法
C 過剰マーカー染色体(supernumerary marker chromosome)
D 正常変異
E ロバートソン(Robertson)転座と不育症
F 22q11.2 欠失症候群
G 染色体逆位
H Prader--Willi 症候群(PWS)とAngelman 症候群(AS)
I 染色体モザイク
7 胎盤性モザイク(CPM)
8 染色体異常の検査法
A G 分染法(G--banding)
B FISH 法(fluorescent in situ hybridization)
C 定量PCR 法(quantitative fluorescent PCR:QF--PCR 法)
D 染色体DNA マイクロアレイ検査
E 次世代シークエンサー(next generation sequencer:NGS)
F 無侵襲的出生前遺伝学的検査(noninvasive prenatal testing:NIPT)
COLUMN 母体血胎児染色体検査(NIPT):検出される偶発的所見
9 再発率:リスク計算問題と解説
10 MELAS あるいはLeigh 脳症(ミトコンドリア異常症)
A ミトコンドリアDNA の遺伝形式
B MELAS
C Leigh 脳症
11 単一遺伝子疾患
A 筋強直性(緊張性)ジストロフィー(myotonic dystrophy:DM)
B マルファン(Marfan)症候群
C 周産期型低ホスファターゼ症
D 軟骨無形成症(achondroplasia:ACH)
E OTC 欠損症(ornithine transcarbamylase deficiency)
F 神経線維腫症1 型(neurofibromatosis type 1:NF1)
G 骨形成不全症(osteogenesis imperfecta:OI)
H ファブリー病...
I デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)
12 多因子性疾患
A 神経管閉鎖障害
B 口唇・口蓋裂
C 遺伝性水頭症
D 先天性心疾患
E 先天性消化管閉鎖
COLUMN Prenatal visit
E Potter 症候群
G 胎児水腫
H 臍帯ヘルニアと腹壁破裂
13 生殖補助医療と先天異常
A 顕微授精と先天異常発症率
COLUMN 生殖補助医療と先天異常:Daviesら(2012)の報告
B 無精子症とY 染色体微小欠失症候群
C 着床前診断
COLUMN ゲノム編集技術:ゲノム配列を自在に書き換える技術
COLUMN Carrier Test
索引
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書籍情報
- ISBN:9784498060777
- ページ数:194頁
- 書籍発行日:2017年4月
- 電子版発売日:2017年9月8日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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