眼でみる実践心臓リハビリテーション 改訂4版

  • ページ数 : 370頁
  • 書籍発行日 : 2017年3月
  • 電子版発売日 : 2017年9月15日
5,940
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商品情報

内容

心臓リハビリに関わる近年の進歩も踏まえ,内容を見直した改訂第4版が登場。

運動療法のしかたや食事療法の実践法を書くだけではなく,心疾患の病態を理解できるように記述。心臓リハビリテーションという治療の「作用」と「副作用」を予測ができ、効率的で安全な心臓リハビリテーションの実施を目指します!

序文

改訂4版の序

1956年,木村登先生が日本内科学会で急性心筋梗塞に対する積極的運動療法を提唱しました.この年はフランス全域で雨が多く,ボルドーワインもブルゴーニュワインもスコアすらつかない最悪の年でしたが,心臓リハビリテーションにとっては記念すべき最良の年となりました.

それから60年がたち,心臓リハビリテーションは「心疾患患者の社会復帰」という役割をすでに終え,「侵襲的治療に並び立つ心疾患の治療手段」として認識されるようになりつつあります.病態を考えた適切な運動療法・食事療法・生活習慣の改善・心理的介入などが,心臓の機能のみならず患者の体全体を長期的に整えることができることがわかったのです.

ただ,そのためには,心臓病の病態を正確に把握でき,それに対処できなければいけません.現在行っている介入が,数カ月・数年後に,その患者さんにどのような影響を及ぼすのかを予測して,現在実施するべきことを決定する必要があります.そのため,心臓リハビリテーションを行うスタッフは,だれよりも勉強をする必要があります.

この本は,初版から,運動療法のしかたや食事療法の実践法を書くだけではなく,なるべく心疾患の病態を理解できるように記述しました.そうすれば,心臓リハビリテーションという治療の「作用」と「副作用」を予測できるようになり,より効率的で安全な心臓リハビリテーションを実施できるようになるからです.この本を読み,心臓リハビリテーションの本質を理解し,正しい心臓リハビリテーションを実践できるようになれば幸甚です.


2017年2月

群馬県立心臓血管センター
安達 仁

目次

1 心臓リハビリテーションプラン

A.心臓リハビリテーションの考え方

B.心臓リハビリテーションプラン--いつ,誰に,どのように--

1.実施期間・スタッフ・保険点数

2.対象疾患と心臓リハビリテーションの目的・効果

3.入院心臓リハビリテーションか,外来心臓リハビリテーションか?

2 入院中の心臓リハビリテーション--離床と患者教育

a.疾患別の離床プログラム

A.狭心症・心筋梗塞

B.開心術後

1.起こりうる合併症

2.運動療法を実施する基準

3.開胸術前の準備

4.呼吸理学療法

C.経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI,TAVR)

D.大血管疾患

1.保存療法

2.手術療法

E.心不全

1.離床の流れ

2.レジスタンストレーニングの重要性

b.患者教育・生活指導プログラム

A.いつだれがデータを記録し,教育するのか?

B.どの看護師でも教育できるようにする工夫

C.経皮的冠動脈形成術(PCI)による血流改善はACS(急性冠症候群)発症予防にはならない

D.今まで一度も胸痛がなくてもACSが発症しうることの説明

E.入院中の患者教育

1.心筋梗塞

2.開心術

3.大血管疾患・末梢動脈疾患(PAD),閉塞性動脈硬化症(ASO)

4.心不全

c.CRT-D患者のリハビリテーション

A.手術後早期から動かすことの意義

B.早期に動くことの危険性

1.手術後出血やポケット内血腫

2.手術創部の離開

3.リードの移動や脱落,損傷

4.心不全の悪化

C.いつから何を目安にしてリハビリテーションを始めるか?

1.植込み側上肢の運動

2.離床〜ADL拡大

3.運動療法

4.生活指導

5.CRT-Dの設定

D.CRT-D手術後のリハビリテーション

3 外来心臓リハビリテーションの骨格

A.外来心臓リハビリテーションこそ心臓リハビリテーションの主体である

B.外来心臓リハビリテーションの流れ

C.外来心臓リハビリテーションに必要なもの,ひと

1.心臓リハビリテーション実施場所

2.外来ブース,看護師

3.心リハスタッフ

4.医師

5.患者教育ツール

6.運動器具

7.その他の一般的なもの

D.循環器医もコメディカルスタッフも少ない場合の外来心臓リハビリテーションの始め方

E.心筋梗塞患者数が年間100人の施設における心臓リハビリテーションモデルと収入

4 運動処方

A.心疾患患者と有酸素運動

B.心肺運動負荷試験

1.ATの理論的背景

2.AT決定法

3.実際のAT決定法

4.AT決定から運動処方へ

5.心臓リハビリテーションプログラム維持期の運動強度設定法

6.心肺運動負荷試験の実際

7.AT処方は常に安全か?--呼吸数に注目

C.その他の運動処方

1.心拍数を用いた運動処方(心拍処方)

2.自覚症状による処方

3.トークテスト

D.重症心不全に対する骨格筋トレーニング

E.レジスタンストレーニング

F.低強度インターバルトレーニング

G.高強度インターバルトレーニング

H.疾患別の運動処方

1.虚血性心疾患

2.心不全

3.開心術後

4.大血管疾患

5.糖尿病・肥満・メタボリックシンドローム

5 運動療法

A.虚血性心疾患

1.運動療法の導入,評価

2.運動療法の実際

B.開心術後

1.運動療法の導入,評価

2.運動療法の実際

C.心不全

1.運動療法の導入,評価

2.運動療法の実際

D.左室補助人工心臓(LVAS)植込み術後

1.離床プログラム

2.運動療法の実際

3.退院後のフォローアップ

E.経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI,TAVR)

F.ステントグラフト内挿術(EVAR,TEVAR)

G.末梢動脈疾患(PAD)

H.特殊な運動療法

1.高強度インターバルトレーニング

2.加圧トレーニング

3.電気刺激療法

I.レジスタンストレーニング

J.運動療法の合併症・危険性

1.虚血性心疾患

2.不整脈

3.低血糖

4.動脈瘤破裂

5.対策

6 患者教育

A.情報収集と初期評価

B.理解度チェック表

C.セルフモニタリング用紙

D.心臓病教室

E.どのくらいの頻度で面談するか

F.担当者が変わっても同じ質の面談をするための工夫

G.患者の性格・行動変容させるコツ

H.ストレスと精神的サポート

I.外来心臓リハビリテーションからの離脱を防ぐ

J.多職種とのかかわり

K.社会資源の活用

L.疾患別の指導ポイント

1.心筋梗塞・狭心症

2.大血管疾患・末梢動脈疾患(PAD)

3.心不全

4.冠危険因子の教育内容

7 栄養指導

A.エネルギーのコントロール

1.摂取エネルギーの計算方法

2.食事記録からの摂取エネルギー量の算出

3.肥満症の栄養指導のポイント

4.糖尿病治療の食事指導のポイント

B.栄養補充

1.心不全患者「るいそう」への栄養介入

2.血清電解質異常(低Na血症)がある場合の栄養介入

C.微量栄養素調整

1.マグネシウム

2.亜鉛(味覚異常対策)

3.カリウム

4.ビタミンK

D.糖質のコントロール

1.具体例

2.糖質を多く含む食品

E.脂質のコントロール

1.具体例

2.外食と脂質

F.塩分コントロール

具体的な指導内容と指導方法

G.たんぱく質のコントロール

具体例

H.具体的な病態の栄養指導

1.脂肪肝の食事指導

2.尿酸血症の食事指導

3.高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)の食事指導

4.リハビリテーション栄養『貯筋対策』

I.栄養指導の現場

1.栄養指導のポイント

2.個別指導と集団指導

J.食べ物・食べ方Q & A(よくある質問から)

K.継続するために

8 虚血性心疾患

A.心臓リハビリテーションの見地からみた虚血性心疾患の考え方

1.狭心症と心筋梗塞の違い--動脈硬化と血栓

2.冠動脈狭窄症への効果

3.動脈硬化予防効果

4.PCIが成功した症例の心臓リハビリテーションの必要性

5.ACS発症予防効果

6.予後改善効果

B.インターベンショナルカルディオロジストとの協調

C.カテーテル治療(PCI)実施法

D.バルーン,ステントそれぞれの注意点

E.心臓カテーテル検査所見の見方

F.心臓リハビリテーションの実際

G.実験的動脈硬化作成法とPCIの関係

H.PCI後抗血小板療法と心臓リハビリテーション

I.心房細動合併PCI患者の心臓リハビリテーション

J.PCIを行わない安定狭心症

9 心臓手術

A.心臓リハビリテーションに必要な開心術の基礎知識

B.心臓リハビリテーションのステージ

C.心臓リハビリテーションの方法

D.心臓リハビリテーションの効果

E.TAVR後の心臓リハビリテーション

10 心不全

A.心臓リハビリテーションの観点からみた心不全の基礎知識

1.自律神経活性

2.血管拡張能・血管内皮細胞機能

3.骨格筋機能

4.換気応答

5.心機能

6.慢性心不全の発症様式

7.心不全患者の体重変化

8.外来心臓リハビリテーションの意義

B.心臓リハビリテーションの方法

1.運動療法

2.食事療法

3.生活指導

4.薬物療法

5.心不全の重症度評価法

C.CRT-D植込み患者の運動療法

1.CRT-Dの効果と問題点

2.CRT-Dに対する心臓リハビリテーションの効果

3.運動療法実施法

D.患者に対する説明のポイントのまとめ

1.心臓リハビリテーションの必要性

2.運動の安全性について

3.再入院を避けるための生活習慣

E.新しい心不全治療機器--BSES--

F.心不全患者への栄養介入

1.栄養評価

2.腎障害を伴った症例に対する考え方

11 大血管術後

A.解離性大動脈瘤,胸腹部大動脈瘤

B.末梢動脈疾患(PAD),閉塞性動脈硬化症(ASO)

コラム●ヘパリン運動療法について

12 冠危険因子

A.心疾患予防の重要性

B.冠危険因子総論

C.メタボリックシンドローム

D.肥満

1.異所性脂肪

2.目標体重

3.食事療法

4.行動修正療法,レコーディングダイエット

5.運動療法

E.糖代謝異常

1.糖代謝異常の時期別分類と心疾患に及ぼす影響

2.糖尿病のコントロール目標

3.75 g OGTTの読み方

4.CGMからわかること

5.食事療法

6.運動療法

7.治療薬

F.脂質異常症

1.脂質代謝異常評価法

2.食事療法

3.運動療法

4.生活習慣改善のまとめ

5.動脈硬化ガイドライン2012年版による脂質目標値の設定法

G.高血圧

1.減塩

2.減量

3.運動療法

H.フレンチパラドックス

13 健康増進と運動

A.疾病予防事業としての特定健診・保健指導における積極的運動支援

1.健康増進施策

2.運動指針・必要運動強度

3.階層化された中での積極支援

4.当院の積極的支援

B.重症化予防・悪化予防のための運動啓発

1.ヘルスアップ教室の概要

2.教室の参加状況と効果

3.体力変化と意識変化

C.運動指導内容

メタボ改善トレーニング

D.運動は継続こそ力

1.運動継続コース概要

2.運動を継続するための工夫

3.今後の課題

心臓リハビリテーション手帳


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書籍情報

  • ISBN:9784498067134
  • ページ数:370頁
  • 書籍発行日:2017年3月
  • 電子版発売日:2017年9月15日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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