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- 小川 恵子
- 女性の漢方 すぐに使えるライフステージ別処方
商品情報
内容
本書では、そのような女性漢方処方のノウハウを、思春期・成熟期・更年期・老年期のライフステージ別にフローチャートを用いてわかりやすく解説する。
序文
漢方医学に対する関心が高まっている.漢方医学を専門にしているものにとっては,非常に嬉しいことであるが,期待が高いため,かえって漢方薬は効かない,というがっかりした声も耳にする.これは,漢方医学の多様性を生かした処方がされていない,もしくはできないことによると思う.漢方医学的診断に基づいた漢方治療を行うには勉強と経験が必要であるが,漢方医学を専門にしていない医師には,新たに勉強する時間を設けるのは非常に困難である.
私は,小児外科医として働いていた頃,独学で使い始めた漢方薬が,術後の小児の種々の症状に有効であったことに感激して漢方を勉強し始めた.ほぼ素人でこれだけ効くなら,2年くらい勉強すれば何とかなるだろうと思ったが,勉強すればするほど漢方医学は難解なものとなって行き,それを追いかけているうちに漢方医学を専門とするようになり,今日に至っている.
漢方医学は「効いてなんぼ」であるから,漢方薬を勉強し始めるに当たっては,病名投与で効果の高い漢方薬から処方してみることも重要である.しかし,真面目に処方していると,そのうちに多様な選択肢を持っていないと困る場面に出くわすと思う.これは,漢方医学が基本的には個別化医療であるからである.
しかし,病名処方や安直本などによる処方と,漢方医学的診断に基づく治療との間にはかなりの隔たりがある.漢方を集中して勉強しようと専念できる環境がない場合にはこのギャップを埋めるのはなかなか難しい.そこで,自分の経験から,その間を埋めるようなコンセプトでこの本を書いてみた.西洋医学的基礎知識から漢方医学的考え方に至る巻末にはある程度の漢方医学的診断ができるような基礎知識を付けた.随時参照して頂きたい.
また,漢方薬は安全であるという神話があるが,100%安全な漢方薬など存在しない.またその副作用などについてはあまり知られていないように思い,安全に漢方薬を処方するための基礎知識として特に副作用の項を設けた.
この本が,漢方をより深く勉強してみたいという方々の一助になれば幸いである. 最後に,この本を書くに当たってご指導頂いた諸先生方,秘書の皆さん,校正して下さった中外医学社の方々,そしていつも温かく見守ってくれ,時には同志として叱咤激励してくれる夫の真生さんに感謝したい.
2013年6月
小川 恵子
目次
1章 女性のライフステージと漢方
Section 1 女性のライフステージにおける漢方の使い分け
Section 2 思春期
A.思春期とは?
B.起立性調節障害
Section 3 成熟期
A.成熟期とは?
B.妊娠中の漢方
C.子宮内膜症・子宮筋腫
D.不 妊
Section 4 更年期
A.更年期症状・更年期障害
B.ホルモン補充療法と漢方治療
C.陰虚と更年期症状
Section 5 老年期
A.老年期とは?
B.認知症
2章 症状・疾患と漢方
Section 1 初期のかぜの漢方治療
A.六病位とは何か?
B.初期のかぜに対する漢方薬の使い分け
Section 2 ストレス
A.女性のライフステージとストレス
B.西洋医学と東洋医学からみたストレス
C.西洋薬との併用と副作用軽減効果
Section 3 上部消化管機能障害
Section 4 咽喉頭異常感症
A.咽喉頭異常感症とは?
B.咽喉頭異常感症の漢方治療
Section 5 月経異常
A.正常な月経とは?
B.月経異常とは?
C.ストレスと月経異常症
D.月経困難症の漢方
E.月経前症候群
F.月経不順
G.月経異常は氷山の一角
Section 6 口内炎
Section 7 骨粗鬆症
Section 8 過敏性腸症候群
Section 9 習慣性便秘
Section 10 睡眠障害
A.睡眠障害とは?
B.月経前睡眠障害(思春期?更年期以前)
C.妊娠中睡眠障害(成熟期)
D.産褥期の睡眠障害
E.更年期の睡眠障害
Section 11 肥満とやせ
A.肥満とは?
B.肥満に用いる漢方
C.やせに用いる漢方方剤
Section 12 鉄欠乏性貧血
A.女性の鉄欠乏性貧血
B.鉄欠乏性貧血とは?
C.鉄欠乏性貧血の漢方治療
Section 13 尿失禁
A.女性尿失禁
B.分 類
C.老年期の尿失禁
D.漢方医学的にみた尿失禁
Section 14 頭 痛
A.頭痛と性差
B.主な方剤の解説
Section 15 冷え症
A.冷え症とは?
B.思春期
C.成熟期
D.更年期
E.老年期
3章 漢方薬の副作用
使用上の注意
A.薬剤性間質性肺炎
B.甘草配合方剤による偽アルドステロン症
C.薬剤性肝機能障害
D.麻黄配合方剤による副作用
E.附子配合方剤,附子(ブシ)末による副作用
F.乳糖不耐症
G.アレルギー症状
H.消化管症状
Appendix 1 漢方医学の特質
A.陰 陽
B.虚 実
C.寒 熱
D.気血水
E.五 臓
F.漢方的概念からみた更年期症状
Appendix 2 漢方の診察
Appendix 3 適応症と傷病名一覧
Column
■漢方上達への近道
■傷寒雑病論が書かれた時代の感染症
■傾聴と証の決定
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書籍情報
- ISBN:9784498069084
- ページ数:162頁
- 書籍発行日:2013年6月
- 電子版発売日:2014年6月20日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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