~所見を「読んで」「考える」~臨床医のための腎病理読解ロジック

  • ページ数 : 160頁
  • 書籍発行日 : 2018年6月
  • 電子版発売日 : 2018年9月28日
4,620
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商品情報

内容

病理画像から本当に役立つ情報を読み取るための力が身につく一冊が遂に登場!
臨床医として腎病理の臨床と研究を極めた著者が,メカニズムから丁寧にわかりやすく解説。「ただ眺めているだけ」の読解から「所見の意味がきちんとわかる」読解へ。病理標本を読み解く力をレベルアップ!


腎臓に関わる臨床医が理想的に病理標本を読めるようになるためには,正しい用語で所見を描写し、患者の病態や予後について考えることで「ただ見ていただけ」の読み方から脱却することが必要である.本書では臨床医として腎病理の臨床と研究を極めた著者が,メカニズムから丁寧にわかりやすく解説した.病変の成り立ちから学び,所見が意味するものを個々の患者ごとに考える力を身につけることができる一冊.

あわせて読む → ~所見を「読んで」「考える」~臨床医のための腎病理読解ロジック2 各論編;リウマチ・膠原病と腎病理

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序文

監修のことば

三村信英元院長が中心になり,腎不全患者に対する治療法としての透析が開始されたのが昭和38年でした.その後約20年を経た1985年に小生は腎臓内科医としてスタートを切りました.しかし軌道に乗ったとはいえ当時透析の問題はまだまだ山積であり透析室と病棟のピストン運動が小生の日課であり大部分の時間が透析に費やされました.その合間をぬって行う腎生検には不思議な魅力を感じました.腎不全になる原因が真っ黒な夜空の中に光り輝いて見えたからです.視覚に訴える臨床材料が好きな小生にとってはまさしくうってつけの分野でした.腎臓内科医の大部分の時間を奪った透析も,その技術の進歩,薬剤の開発により,多くの問題は解決され時間的にも余裕が生まれました.透析の治療対象は末期腎不全患者であるのに対し,末期腎不全に至らせない治療の開発はまだまだ発展の余地がある未開発領域でした.これこそが日本腎臓学会の責任領域であり,今後取り組んでゆかねばならない重要課題でもありました.そのためには腎症病態解明が第一歩であり,その大切な診断ツールが腎生検で得られる腎症の診断になります.この著書はそういう意味で将来の腎臓内科医の進むべき領域を扱っていますが,腎臓病の病態解明・診断・治療はまだまだ発展途上で,改定の余地を幾多も残しています.上野君は4年間腎病理研究に明け暮れた末に2013年に当院腎センターに入職しました.動物実験で習得した知識を持って見たヒトの腎臓組織,そして小生達が長年蓄積してきた腎生検材料はまさしく目からウロコが落ちる,そんな感激の毎日であったと語っています.その感動を,これから腎臓病学を学ぶ若手医師に伝えたいという気持ちで,「病変がなぜそのように見えるのか?」に徹底的にこだわって書いたのがこの著書です.読者諸兄には,この本を足掛かりに研鑽を積んで頂き,新知見を習得し,新規治療法を開発する一歩にして頂きたいと切に願っております.


2018年 春

虎の門病院腎センター内科,リウマチ膠原病内科部長
日本腎臓学会理事,日本腎臓学会腎生検ガイド改定委員会委員長

乳原 善文

目次

序章 染色の基礎知識と標本を見る手順
〜標本を「見る」だけでなく「考える」?〜

病理標本を読むときの思考回路〜臨床医と病理医の違い〜

基本となる染色の基礎知識

PAS(periodic acid Schiff)染色

PAM(periodic acid silver-methenamin)染色

Masson(マッソン)染色

HE(hematoxylin eosin)染色

腎生検標本を見る手順 〜どの順番で見ていく?〜

40倍

100倍

200〜400倍

CHAPTER 1 細胞増殖性病変の見方と考え方
─「局在」と「基質産生の有無」に着目─

増殖している細胞の局在を見る

内皮細胞について

内皮細胞増殖はさまざまな疾患で起こる

メサンギウム細胞について

メサンギウム細胞増殖のパターン?

ボウマン嚢上皮細胞について

ボウマン嚢上皮細胞増殖の時間経過

増殖している細胞の基質産生の有無に着目

増殖細胞を識別できることの臨床的意義は?

A.内皮細胞増殖(管内増殖)の臨床的意義

B.メサンギウム細胞増殖の臨床的意義

C.ボウマン嚢上皮細胞増殖の臨床的意義

まとめ:増殖細胞判別の重要性

CHAPTER 2 基底膜病変の見方と考え方
─どの層の病変か?─

基底膜病変を見るときのポイント

1.上皮下病変

A.上皮下沈着の時間的経過(スパイクから二重化へ)

B.上皮下沈着とハンプ(hump)はどう違う?

C.スピクラ(spicula)とスパイク(spike)は何が違う?

2.基底膜内病変

A.膜内沈着その1

B.膜内沈着その2

C.基底膜そのものの構造変化

3.内皮下の病変

A.内皮下浮腫

B.メサンギウム陥入

C.内皮下沈着

まとめ:基底膜病変を評価する臨床的意義

CHAPTER 3 結節性病変・分節性硬化の見方と考え方
─似ているようで全く違う─

結節性病変の見方と考え方

結節性病変が示す臨床的な意義は?

分節性糸球体硬化の見方と考え方

1.病変の成り立ちから見た分節性硬化

分節性硬化は悪者か?

組織学的バリアントはなぜできる?

2.臨床的観点から見た分節性硬化

症例検討

他の腎疾患に合併した巣状分節性硬化を見つけたとき

巣状分節性硬化を評価する臨床的な意義

まとめ:分節性硬化を見逃さない

CHAPTER 4 免疫蛍光染色の見方と考え方
─局在次第で形が決まる─

IFを見るための3ステップ

1.①どこに&②どのように沈着しているか? ─沈着の局在と形態─

メサンギウム沈着

係蹄沈着

C.特殊パターン

2.何が沈着しているか? ー沈着の質ー

〜問題〜次のIF沈着の局在を考えてみましょう

まとめ:臨床医がIFを評価できることの意義は?

CHAPTER 5 尿細管間質病変の見方と考え方
─「質」と「分布」で解釈する─

総論

病態把握の前段階

尿細管間質病変は「質」と「広がり」を見て考える

各論:尿細管間質病変の「質」を見る

1.尿細管病変

A.急性の尿細管病変

B.慢性の尿細管病変

2.間質病変

A.急性の間質病変

B.慢性の間質病変

3.尿細管間質病変の「広がり」を見る

「質」と「広がり」を総合的に評価

4.尿細管間質病変が与える臨床的意義

尿細管間質障害の定量的評価と,臨床データとの関連

まとめ:真の腎予後とは?


あとがきにかえて

索引


コラム1 Alport症候群と菲薄基底膜病をどう見分けるか?

コラム2 MCNSとFSGSは組織学的にどこまで鑑別できる?

コラム3 疾患特異的な尿細管間質病変?

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書籍情報

  • ISBN:9784498224346
  • ページ数:160頁
  • 書籍発行日:2018年6月
  • 電子版発売日:2018年9月28日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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