尿検査のみかた,考えかた

  • ページ数 : 310頁
  • 書籍発行日 : 2018年4月
  • 電子版発売日 : 2018年8月10日
¥5,940(税込)
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商品情報

内容

尿検査を活かす。膨大な知識がコンパクトにまとまった新バイブル!

幅広い年齢層で行われている尿検査。小児から高齢者まで、年齢ごとにその実施法や結果の診かたは異なり正しく活用できている者は存外少ないのが現状です。本書では、章を年齢で分け、臨床・研究・教育の第一線で活躍している著者にそれぞれ診るべきポイントや考えかたを解説していただきました。

序文

はじめに

尿検査は,「古くて新しい検査」で"ヒポクラテスの箴言"にも残されているように,歴史的にもっとも古くから行われてきた基本的な臨床検査です.西洋では,中世にUroscopistと称する商売人もいて,人の病状や時には運命までも占ったとされています.また,放尿後に蟻が群がるのをみて糖尿病を疑ったりしたとも言われています.私は,「尿は身体からの贈り物」という表現をしてきましたが,尿の色調・混濁・臭気・泡・量などを見るだけで,体調や疾患を探ることができると思います.尿検査は,一度だけでなく繰り返し行うことが重要ですが,尿試験紙(テステープ)を用いることで,「いつでも,どこでも,繰り返し何度でも」検査することができます.新しくは,生化学・免疫学・細菌学・病理学的手法などを用いることで新規バイオマーカーの開発ができ,診断や治療効果の判定に活かすことができています.例えば,慢性腎臓病(CKD)の主な原因疾患である糖尿病性腎症の診断には微量アルブミン尿や顕性蛋白尿が広く用いられていますが,それらよりももっと鋭敏なマーカーの開発がなされています.また,急性腎障害(AKI)の診断にも尿検査データが活用されています.

尿検査は,小児から成人,高齢者まで幅広い年齢層で行われますが,その実施法や結果のみかた・考えかたは,小児と成人では異なっているところもあり,同一ではありません.また,小児から成人への移行期・思春期についても考える必要があります.今回,「尿検査のみかた,考えかた」を監修させていただき上梓することができました.大変嬉しく思っています.小児領域を関西医科大学金子一成教授,成人領域を順天堂大学鈴木祐介教授に編集を担当していただき,臨床・研究・教育の第一線でご活躍中の先生方を選びご執筆をお願いしました.尿検査についての膨大な知識をコンパクトにまとめていただきました.各腎疾患での尿所見の特徴とみかたが記載され,尿検査に異常が出た場合の小児腎臓専門医や成人腎臓専門医へ紹介するタイミングも指摘されています.これらは明日からの日常診療や教育にご活用いただけますし,学校医や産業医の皆さまにもすぐに役立つと思います.また,医学生にとっても有用な解説書になると思っています.わかりやすい記載を心掛けていただきましたが,記載の過不足もあるかと思われますので,読者の皆さまの忌憚のないご意見をお待ちしています.

最後に,ご多忙ななか編集・執筆にご協力いただきました諸先生に深謝いたします.また,諸事ご協力いただきました中外医学社の皆さまに厚く御礼申し上げます.


2018年初夏都庁舎を眺めつつ

富野 康日己

目次

1章 尿検査総論

1.尿の成分・外観

A.正常状態で尿に含まれる成分

B.病的状態で尿に含まれる成分

C.尿の外観的検査

2.採尿方法,尿の保存方法

A.尿の採取法

B.尿の保存

3.蛋白尿の評価と意義

A.半定量法

B.定量法

C.電気泳動法

D.蛋白尿異常値の場合に考えるべき病態

E.アルブミン尿

4.血尿・血色素尿の評価と意義

A.血尿の測定法および基準値

B.異常を呈する病態

C.診療の進め方

5.白血球尿の評価と意義

A.白血球尿について

B.白血球尿の原因について

6.尿糖の評価と意義

A.尿糖測定の目的

B.試料の採取方法と保存条件

C.尿糖の測定方法

D.細胞内へのグルコース輸送のメカニズム

E.腎尿細管上皮細胞におけるグルコース輸送のメカニズム

F.尿糖が出現する病態

7.尿沈渣の作製法と評価法

A.採尿法

B.尿沈渣標本の作製

C.尿沈渣標本の鏡検

D.標本の観察

E.尿沈渣成分の評価

8.細胞診の意義と評価

A.意義

B.細胞診検査の利点と欠点

C.判定

D.検査の流れ

E.検体採取・提出方法

F.評価法

9.尿中の結晶や円柱の評価と意義

A.結晶成分

B.円柱成分

10.尿浸透圧・尿比重の評価と意義

A.尿浸透圧

B.尿比重

11.尿酸・尿素窒素・ケトン体の評価と意義

A.尿酸

B.尿素窒素

C.尿ケトン体

12.尿中の電解質の評価と意義

A.尿中ナトリウム

B.尿中カリウム

C.尿中カルシウム

D.尿中リン

13.尿試験紙検査の評価と意義

A.尿試験紙検査の測定項目と原理

B.異常値が出た場合に想定するべき疾患

C.尿試験紙法の偽陽性と偽陰性

14.自動尿中有形成分分析装置による尿検査の評価と意義

A.自動尿中有形成分分析装置

B.自動尿中有形成分分析装置の有用性と問題点

C.自動尿中有形成分分析装置の測定原理

D.自動尿中有形成分分析装置の測定項目と基準値

E.自動尿中有形成分分析装置による赤血球の測定

15.尿中ポドサイトの評価と意義

A.尿中ポドサイトとは

B.ポドサイト脱落の臨床病理

C.尿中ポドサイト検査法

D.臨床的意義

16.尿細管障害のバイオマーカーの評価と意義

A.尿中NAG

B.尿中β▼2▼ミクログロブリン

C.尿中α▼1▼ミクログロブリン

D.メガリン

17.急性腎障害のバイオマーカーの評価と意義

A.代表的な急性腎障害の尿中バイオマーカーとその特徴

B.最近,注目されている急性腎障害の新規尿中バイオマーカー・TIMP-2とIGFBP7について

18.Kova Slide法の評価と意義

A.膿尿と細菌尿

B.Kova Slide法

C.Kova Slide法の原理

2章 小児の尿検査

1.小児の採尿法

A.小児の採尿方法

B.尿検体の保存方法

2.乳幼児検尿の意義と実際

A.3歳児検尿の目的

B.3歳児検尿の方法

C.3歳児検尿における検尿異常の頻度

D.3歳児検尿陽性者への精密検診

3.学校検尿の意義と実際

A.学校検尿の目的

B.学校検尿の方法

C.暫定診断と学校生活管理指導表について

D.緊急受診が必要な基準

4.蛋白尿を呈する小児疾患

A.蛋白尿の定義と分類

B.蛋白尿を呈する小児への対応

5.血尿を呈する小児疾患

A.血尿の定義と分類

B.血尿を呈する小児への対応

6.遺伝性腎疾患を疑う尿所見

A.Dent病

B.Lowe症候群

7.小児のCKDの尿検査異常

A.慢性腎臓病(chronic kidney disease : CKD)について

B.CKDの定義

C.CKDの重症度とステージング

D.小児のCKDの定義

E.小児CKDの疫学と原因

F.小児のCKDの尿検査異常

8.小児腎臓病専門医へ紹介すべき尿検査異常

A.小児におけるCKDのスクリーニング

B.小児腎臓病専門医へ紹介すべき尿検査異常

3章 思春期の尿検査異常

1.起立性蛋白尿

A.定義・疫学

B.病因・病態

C.検査方法

D.管理および注意点

2.ナットクラッカー現象

A.定義・概念

B.疫学

C.病因・病態生理

D.臨床症状

E.診断

F.治療・予後

3.月経血の混入

A.月経に対する配慮

B.月経血と潜血反応

C.月経者の取り扱い

4.小児の腎臓病の内科への移行

A.定義・概念

B.対象疾患

C.移行時期および具体的な移行プログラム

D.移行期医療の問題点

E.わが国の移行医療の現状

4章 成人における尿検査

1.成人の採尿法

A.採尿方法による分類

B.採尿時間による分類

C.採尿方法の留意事項

2.成人の血尿に関する疫学

A.血尿の定義

B.血尿の頻度

C.血尿の発見動機

D.血尿の予後と診療上の留意点

3.成人の尿蛋白に関する疫学

A.発見動機

B.頻度

C.予後

D.ネフローゼ症候群の頻度

E.ネフローゼ症候群の予後

4.成人において血尿をきたす鑑別疾患

A.糸球体性血尿と非糸球体性血尿

B.血尿と腎生検の適応

5.成人において蛋白尿をきたす鑑別疾患

A.蛋白尿とは

B.蛋白尿の鑑別疾患

C.蛋白尿が主体の糸球体疾患

D.蛋白尿に血尿を伴う糸球体疾患

E.蛋白尿を伴う尿細管間質疾患

6.成人において肉眼的血尿を認めた場合の鑑別疾患

A.尿路上皮癌(膀胱癌,腎盂尿管癌)

B.腎臓癌

C.前立腺肥大症

D.腎動静脈奇形

E.腎梗塞

F.慢性腎炎症候群

G.尿路結石症

H.出血性膀胱炎

I.ナットクラッカー現象

J.特発性腎出血

K.その他

7.成人が初めて血尿を指摘された際の二〜三次スクリーニングについて

A.健診で尿潜血陽性を指摘された場合

B.尿沈渣により血尿であることが確認された場合

C.腎炎性の血尿を疑うのはどのようなときか?

D.腎臓専門医への紹介はどのタイミングで行うか?

E.三次スクリーニングとしての腎生検の適応について

F.精密検査で異常がなかった血尿に対しては今後どうするか?

8.成人が初めて尿蛋白を指摘された際の二〜三次スクリーニングについて

A.初めて尿蛋白を認めたとき

B.病的な蛋白尿を疑う場合の鑑別ポイント

C.診断確定・治療

9.成人における尿所見異常者の専門医への紹介のタイミングについて

A.CKDにおける診療連携

B.腎臓専門医へ紹介するタイミング

C.かかりつけ医の役割

10.糸球体腎炎の尿検査のみかた

A.糸球体腎炎と尿異常

B.糸球体腎炎の臨床症候と尿異常

C.尿所見からみた糸球体腎炎と鑑別診断

D.糸球体腎炎と尿沈渣

E.糸球体腎炎と尿蛋白量

F.健康診断における尿検査

11.IgA腎症の尿所見の特徴とみかた

A.IgA腎症の尿所見異常

B.IgA腎症の活動性と尿所見異常

C.IgA腎症の予後と尿所見

D.腎臓専門医に紹介するタイミング

E.血尿の二次スクリーニング

F.尿中バイオマーカー

12.ネフローゼ症候群の尿所見の特徴とみかた

A.血尿の有無

B.発症の仕方

C.selectivity index(漏出尿蛋白選択性の指標)

D.年齢

E.疾患別特徴

13.急性腎障害(AKI)の尿所見の特徴とみかた

A.AKIの鑑別診断

B.尿検査所見の特徴とみかた

14.急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の尿所見の特徴とみかた

A.急速進行性糸球体腎炎とは

B.尿所見の特徴

C.追加すべき検査と鑑別が必要な病態

15.糖尿病性腎症の尿所見の特徴とみかた

A.糖尿病性腎症の早期診断に用いられているアルブミン尿の測定法と基準値

B.糖尿病性腎症の発症・進展経過における特徴的な尿所見

C.尿所見と腎機能障害の関連性

D.管理方法

E.腎臓専門医に相談するタイミング

16.間質性腎炎の尿所見の特徴とみかた

A.間質性腎炎の原疾患と疫学

B.TINの特徴

C.TINの血液・尿所見の特徴

D.TINの治療,予後

E.間質マーカーなど追加すべき検査のポイント

F.腎臓専門医に紹介するタイミング

17.腎硬化症・高血圧性腎障害の尿所見の特徴とみかた

A.疫学

B.病態

C.尿所見の特徴と診断

D.治療

E.腎臓専門医に紹介するタイミング

18.遺伝性疾患の尿所見の特徴とみかた

A.常染色体優性多発性【嚢】胞腎

B.良性家族性血尿(菲薄基底膜病)

C.Alport症候群

D.爪膝蓋骨症候群

E.Fabry病

19.急性下部尿路感染症の尿所見の特徴とみかた

A.概要

B.尿沈渣所見

C.急性膀胱炎

D.急性細菌性前立腺炎

E.急性精巣上体炎

20.慢性下部尿路感染症の尿所見の特徴とみかた

A.定義

B.症状

C.追加検査のポイント

D.尿所見の特徴

21.尿路系悪性腫瘍の尿所見の特徴とみかた

A.下部尿路系悪性腫瘍の疫学

B.症状

C.尿沈渣での検査所見

D.尿細胞診

E.尿中マーカー検査

F.追加検査について

22.薬物治療と尿所見異常

A.腎臓における薬剤の排泄

B.尿の色が変わる薬剤

C.尿の臭いが変化する薬剤

D.薬剤性腎障害

E.薬剤性腎障害における尿所見異常


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書籍情報

  • ISBN:9784498224384
  • ページ数:310頁
  • 書籍発行日:2018年4月
  • 電子版発売日:2018年8月10日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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