EBM血液疾患の治療2019-2020

  • ページ数 : 580頁
  • 書籍発行日 : 2018年10月
  • 電子版発売日 : 2018年11月2日
13,750
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商品情報

内容

血液疾患における諸問題をいかに解決し、対応すべきか、最新のエビデンスをもとに解説したレファランス。

治療に必須の知見を「序論、指針、エビデンス、根拠となった臨床研究の問題点と限界、患者に適応する際の注意点、コメント」の順に紹介し、今日の時点における最新の治療法、考え方だけでなく、現場で判断に迷うような事柄・問題点に指針を与えるものとなっている。

EBMシリーズ

序文

「EBM 血液疾患の治療」は,2013‒2014年版より現在の編集体制となり2年ごとに改定を加えてきた.血液疾患の日常診療で遭遇するさまざまな疑問に対し,最新のエビデンスを持って答える書として,多くの読者に愛読されてきた.

本年2月中旬,編集会議を東京で行い,項目立て,最近の進歩,トピックス,執筆者などを含めいつものように熱い議論が交わされた.全体の構成は2017‒2018版通り,Ⅰ造血器腫瘍の新しい分類,Ⅱ赤血球疾患,Ⅲ白血病,Ⅳリンパ系腫瘍,Ⅴ多発性骨髄腫と関連疾患,Ⅵ出血・血栓性疾患,Ⅶ支持療法・輸血,Ⅷ造血幹細胞移植とした.項目については,重要なものについては前号を踏襲したが,執筆者に関しては,マンネリ化を避ける為にも,また,新たな視点から血液疾患の治療を論じていただくためにも,原則として前号とは異なる方に執筆をお願いすることにした.また,前号で取扱った一部の項目については削除し,トピック性の高い新規項目を追加した.

本号は,治療に関するEBMを取り扱った書籍であるが,近年のゲノム解析の急速な進展により骨髄不全症や白血病の分子病態が明らかになるとともに,加齢と共にクローン性造血の頻度が高くなる報告が数多く見られるようになった.これらの問題については,治療にも密接に関わってくる重要な問題であり,新規項目として取り上げた.各項目ともきわめて明快に最近の知見がまとめられており,この領域に疎い方々にも大いに参考になるであろう.

血液疾患に対する治療法は,加速度的に進歩している.例えば,多発性骨髄腫の最近の治療薬として,新規免疫調整薬ポマリドミド,プロテアソーム阻害剤カルフィルゾミブやイクサゾミブ,HDAC阻害剤パノビノスタット,抗体薬エロツズマブ,ダラツムマブなどが相次いで承認されている.以前は不治の病と言われていた多発性骨髄腫が,最近の相次ぐ新薬の登場で治療成績が日々向上している.しかし,治療法が多様化しているのも事実である.

進歩の著しく速い血液疾患治療に関する膨大な最新情報を,日常業務に多忙な臨床医が全て把握することは困難である.本書は,治療に必須の知見を,「序論,指針,エビデンス,根拠となった臨床研究の問題点と限界,患者に適応する際の注意点,コメント」の順に紹介する構成であるが,他の書籍とは異なりエビデンスの基になる主要文献が主役となっている.重要なエビデンスとなる論文が何時出版されたかが一目瞭然で,主題として設定した疑問に対する答えを時系列に把握することが可能になっている.

この改訂版が,医師のみならずさまざまな医療スタッフに役立つ一冊になることを祈念している.最後に,ご多忙の中,素晴らしい原稿をご執筆くださった先生方に御礼を申し上げる次第である.


2018年9月

編者

目次

I.造血器腫瘍の新しい分類

1.WHO分類改訂第4版(2017)における骨髄系腫瘍

2.WHO分類改訂第4版(2017)におけるリンパ系腫瘍

II.赤血球系疾患

1.骨髄不全症の分子病態研究の進歩

2.加齢とクローン性造血

3.重症再生不良性貧血の治療

4.低リスクMDSの治療

5.高リスクMDSの治療

6.アザシチジン不応MDSの治療戦略

7.MDSに対する新規治療薬開発の現状

8.MDSに対する同種造血幹細胞移植

9.発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療

10.腎性貧血

III.白血病

A.急性骨髄性白血病(AML)

1.AMLにおける分子病態と予後

2.初発AMLの治療

3.高齢者AMLの治療

4.再発・難治AMLの治療

5.CBF--AMLの寛解後療法

6.第一寛解期AMLに対する同種造血幹細胞移植

7.AMLに対する新規治療薬開発の現状

8.家族性白血病の病態と治療

B.急性前骨髄球性白血病(APL)

1.初発APLの寛解導入療法

2.APLに対する維持療法

3.再発APLの治療

C.急性リンパ性白血病(ALL)

1.成人Ph陽性ALLの治療

2.成人Ph陰性ALLの治療

3.再発・難治急性リンパ芽球性白血病の治療

4.AYA世代ALLの治療

5.高齢者ALLの治療

D.慢性骨髄性白血病(CML)

1.初発慢性期CMLの治療

2.慢性期CMLの二次治療

3.移行期/急性転化CMLの治療方針

4.TKI長期投与による有害事象とその対策

5.TKIsによるCML治療のモニタリングと予後予測

E.骨髄増殖性腫瘍(MPN)

1.骨髄増殖性腫瘍における分子病態研究の進歩

2.真性多血症の治療

3.本態性血小板血症の治療

4.原発性骨髄線維症の治療

5.好酸球増加症候群の治療

6.妊娠合併MPNに対する治療

IV.リンパ系腫瘍

A.慢性リンパ性白血病(CLL)

1.初発CLLの治療方針

2.再発・難治CLLの治療指針

3.CLLに対する分子標的療法

4.リヒター症候群に対する治療

B.Indolent B細胞リンパ腫

1.進行期低腫瘍量濾胞性リンパ腫の治療方針

2.進行期高腫瘍量濾胞性リンパ腫の治療方針

3.再発・再燃濾胞性リンパ腫の治療方針

4.消化管MALTリンパ腫の治療方針

5.節性辺縁帯リンパ腫の治療方針

C.マントル細胞リンパ腫

1.若年者マントル細胞リンパ腫の治療方針

2.高齢者マントル細胞リンパ腫の治療指針

D.Aggressive B細胞リンパ腫

1.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の初回治療方針

2.再発・再燃びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針

3.高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針

4.中枢神経原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫における自家造血幹細胞移植

5.バーキットリンパ腫の治療方針

6.Double--hit,double--expressorリンパ腫の診断と治療

E.T/NK細胞リンパ腫

1.T細胞リンパ腫の初回治療方針

2.節外性NK/T細胞リンパ腫の治療方針

F.成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)

1.ATLLの治療方針

2.ATLLに対する造血幹細胞移植

G.ホジキンリンパ腫

1.限局期ホジキンリンパ腫の治療方針

2.進行期ホジキンリンパ腫の治療方針

3.ホジキンリンパ腫における分子標的治療

V.多発性骨髄腫と関連疾患

1.くすぶり型多発性骨髄腫に対する治療

2.移植適応初発多発性骨髄腫の治療

3.移植非適応初発多発性骨髄腫の治療

4.再発・難治多発性骨髄腫に対する治療

5.多発性骨髄腫に対する地固め・維持療法の意義

6.多発性骨髄腫に対する合併症の治療(腎,骨,感染症)

7.形質細胞性白血病の治療

8.原発性マクログロブリン血症の治療

9.原発性アミロイドーシスの治療

10.キャッスルマン病の治療

11.POEMS症候群の治療

12.TAFRO症候群の診断と治療

VI.出血・血栓性疾患

1.難治性ITPの治療

2.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療

3.aHUSの診断と治療

4.血友病治療の進歩

5.後天性血友病の診断と治療

6.DICの診断・治療

VII.支持療法・輸血

1.造血器疾患患者の赤血球輸血における適切な目標ヘモグロビン値

2.造血器疾患患者の血小板輸血における適切な目標血小板数

3.輸血後鉄過剰症に対する介入によって得られる効果

4.ムーコル症の早期診断と治療

5.トキソプラズマ症の早期診断と治療

6.発熱性好中球減少症における適切な血液培養

7.造血器腫瘍患者における耐性菌

8.腫瘍崩壊症候群のマネージメント

9.血球貪食症候群の治療

VIII.造血幹細胞移植

1.65歳以上の患者に対する同種造血幹細胞移植

2.同種造血幹細胞移植前後の免疫チェックポイント阻害薬使用の影響

3.同種造血幹細胞移植後の長期予後の評価指標

4.腸内細菌が同種移植後の経過に及ぼす影響

5.ステロイド抵抗性急性GVHDに対する救援治療

6.慢性GVHDに対する初期治療・救援療法

7.非寛解期急性白血病に対する同種造血幹細胞移植

8.同種造血幹細胞移植後のGVHDの発症と長期予後との関連

9.同種造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス感染症の管理


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書籍情報

  • ISBN:9784498225145
  • ページ数:580頁
  • 書籍発行日:2018年10月
  • 電子版発売日:2018年11月2日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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