未破裂脳動脈瘤Japan standard

  • ページ数 : 206頁
  • 書籍発行日 : 2015年10月
  • 電子版発売日 : 2016年10月14日
7,040
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商品情報

内容

世界トップレベルを誇る日本の未破裂動脈瘤の研究成果を網羅した良書がついに登場!

未破裂脳動脈瘤を世界に先駆けて経験し、研究を重ねてきた「日本の脳卒中医療者たち」の努力の結晶をここに網羅!
全ての臨床家が本書を手元に置けば破裂動脈瘤を適切に減少させるのに必要な知識が得られ、一人でも破裂動脈瘤が減少することに貢献できるでしょう。

序文

監修によせて

この度,待望の『未破裂脳動脈瘤Japan standard』が発刊の運びとなりました.待望という意味は,世界に類が無い書であるからです.本書には,日本が未破裂脳動脈瘤を世界に先駆けて経験し,研究してきた成果が網羅されています.脳卒中専門家のみならず全ての臨床家が手元に置くべき書です.

脳卒中はいまだ国民病です.脳卒中は昭和56年に日本人の死因の第1位でなくなり,現在では第3位に位置しているとはいえ,介護原因の第1位はやはり脳卒中です.脳卒中のうちでも完全回復の率が低い疾患が破裂脳動脈瘤です.日本の医療成績の結果は,先進国の集まりであるOECD(Organization for Economic Co-operation and Development)の報告でも世界1位の成績を上げています.しかし,日本の脳卒中医療者はこの成績に満足せず,さらなる一歩を踏み出しました.世界に先駆けて,脳動脈瘤が出血する以前に安全に治療し,破裂脳動脈瘤疾患の減少を試みました.合わせて,本書にも原稿を寄稿されていらっしゃいます端 和夫先生などの日本脳神経外科学会の先輩たちが,世界で唯一の脳ドックの医療も開拓いたしました.20世紀末には日本から世界的な脳神経外科の学術雑誌に未破裂脳動脈瘤の治療成績が掲載されました.その時の反応は必ずしも良い反応ではありませんでした.死亡例まであり批判がありました.破裂脳動脈瘤と比較すればずば抜けた成績だったのですが,病気を発症していない人の治療成績にしては良好ではなかったからです.さらに,他疾患での死亡例で未破裂脳動脈瘤がある報告までなされました.未破裂脳動脈瘤を全て治療すれば破裂脳動脈瘤症例が減少するという仮説が揺らいだのです.未破裂脳動脈瘤の自然歴が未解明だったために生じた問題でした.日本脳神経外科学会は,本書の編集者のお一人の森田明夫先生などを中心に,全ての日本脳神経外科学会員の協力のもと,未破裂脳動脈瘤の自然歴の解析を行いました.その結果,多くの面で未破裂脳動脈瘤の病態が解明されました.

どの疾患もその病態が完全に解明されていないのと同様,未破裂脳動脈瘤も全てが解明されているわけではありませんが,本書には,現時点で解明されている全てが記載されています.破裂脳動脈瘤に罹患された患者さんは,身体だけではなく社会的にも大変な影響を受けます.全ての臨床家が本書を手元に置けば破裂脳動脈瘤を適切に減少させるのに必要な知識が得られ,一人でも破裂脳動脈瘤が減少することに貢献できると確信いたします.

2015年9月22日

世界脳神経外科連合ローマから帰って

山形大学名誉教授・脳神経外科

国立がん研究センター名誉総長

嘉山孝正

目次

日本の医療背景 〈井川房夫,栗栖 薫〉

日本の医療の評価

日本の医療と社会の問題点

本邦の破裂脳動脈瘤の疫学と統計データ 〈井川房夫,加藤庸子,小林祥泰〉

島根県立中央病院のデータ

脳卒中データバンク2015の解析

日本のSAHの疫学

SAHの頻度の推移

破裂脳動脈瘤の危険因子 〈宮脇 哲,斉藤延人〉

後天的要因

先天的要因

環境要因

脳動脈瘤の特徴

感染と脳動脈瘤 〈田中篤太郎〉

古典的感染性脳動脈瘤

感染と脳血管障害の新たな展開:リスクファクターとしての口腔内常在細菌

脳動脈瘤の基礎研究:動物モデルと薬剤検証 〈青木友浩〉

脳動脈瘤動物モデル

脳動脈瘤形成機序の概略

モデル動物を使用した検討から見出された脳動脈瘤治療薬の創薬標的候補因子と候補薬剤

脳動脈瘤治療薬候補薬剤での臨床研究

新時代の未破裂脳動脈瘤治療への展望

脳動脈瘤の遺伝解析 〈広田健吾,赤川浩之,糟谷英俊〉

脳動脈瘤を合併する遺伝性疾患

脳動脈瘤遺伝解析の歴史

未破裂脳動脈瘤の疫学と自然歴 〈森田明夫〉

未破裂脳動脈瘤の頻度

未破裂脳動脈瘤の分布

未破裂脳動脈瘤保有患者のリスク

未破裂脳動脈瘤の破裂リスク

未破裂脳動脈瘤の拡大,新規動脈瘤発生リスク

脳ドックと未破裂脳動脈瘤 〈山村明範,井上英明,端 和夫〉

最初の脳ドックと未破裂脳動脈瘤

わが国での脳ドックの普及

脳ドックでの未破裂脳動脈瘤検出の現状

脳ドックで明らかとなった未破裂脳動脈瘤の特徴

脳ドックで発見された未破裂脳動脈瘤への対応

脳血管・神経内科医からみた未破裂・非破裂脳動脈瘤 〈岡田 靖,湧川佳幸〉

未破裂脳動脈瘤と非破裂脳動脈瘤

高齢化社会と未破裂脳動脈瘤

UCAS Japanの部位・サイズ別破裂リスクに関する脳血管内科医の見方

脳血管内科での非破裂脳動脈瘤の診療の実際

生涯累積破裂率やオッズ比より1日の破裂リスクの説明

未破裂脳動脈瘤に対する積極的内科治療

未破裂脳動脈瘤の治療適応 〈山口竜一,塩川芳昭〉

UCAの治療背景

無症候性小型のUCA治療決定に関わる因子

症候性または大型のUCA治療

未破裂脳動脈瘤のマルコフモデル解析 〈張 漢秀〉

序論

目的

マルコフ過程モデル

結果

考察

未破裂脳動脈瘤のインフォームドコンセントと訴訟リスク 〈福永篤志〉

インフォームドコンセント(IC)

訴訟リスク

未破裂脳動脈瘤と医療倫理 〈穂刈正昭,寳金清博〉

インフォームドコンセント

医療安全・リスクマネジメント

脳神経外科治療におけるEBM

臨床研究と個人情報

教育

基礎研究

未破裂脳動脈瘤の数値流体力学(CFD) 〈石田藤麿,鈴木秀謙〉

血行力学的パラメータ

CFDの脳動脈瘤臨床応用

未破裂脳動脈瘤の画像フォローと評価 〈石橋敏寛,村山雄一〉

MRAかCTAか?

画像評価の間隔について

増大の可能性に関する考察

経過観察中のde novo脳動脈瘤

未破裂脳動脈瘤の外来診療

未破裂脳動脈瘤の推移と統計データ解析 〈井川房夫,森田明夫〉

未破裂脳動脈瘤の保有率

日本の未破裂脳動脈瘤の推移と今後(人口変化)

SAHの予防について

今後の検討事項

未破裂脳動脈瘤の治療(手術) 〈吉岡秀幸,木内博之〉

手術適応

治療法の選択

クリッピング術前神経放射線学的診断

手術戦略

開頭方法

術中モニタリング

治療成績

代表的部位の動脈瘤クリッピング術

未破裂脳動脈瘤に対する血管内治療 〈坂井信幸,今村博敏,有村公一〉

用いる機器と治療方法

治療成績

困難な未破裂脳動脈瘤の治療 〈菊池隆幸,宮本 享〉

何が困難なのか?

バイパス術併用クリッピング術・バイパス術併用コイル塞栓術

外科的トラッピング術・血管内治療による親血管閉塞術

外科的血流変更治療

治療に際してのほかの留意点

QOLの側面からみた無症候性未破裂脳動脈瘤の外科的治療 〈山城重雄,西 徹〉

QOLはなぜ大切か

健康関連QOLの概念と測定

未治療の脳動脈瘤を有する患者のQOL

治療後のQOLの変化

QOLからみた未破裂脳動脈瘤根治術の妥当性

患者の心理を考慮した手術適応の考え方

高齢者に対する対応

コイル塞栓術とQOL

小型未破裂脳動脈瘤 (Small Unruptured Intracranial Aneurysm Verification Study─SUAVe Study) 〈山崎友郷,園部 眞,米倉正大,SUAVe Study, Japanグループ〉

方法

対象

Endpoint

結果

考察

本邦の進行中未破裂脳動脈瘤研究 〈辻 篤司,野崎和彦〉

疾患リスクの評価

現行治療法の効果およびリスクの評価

新規治療法の評価

未破裂脳動脈瘤の今後の展望〜治療に残された課題〜  〈鈴木倫保〉

UCA治療効果の再考

UCAにおける治療決断とその根拠:破裂リスク治療リスクとは何か,morbidityとは何か

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書籍情報

  • ISBN:9784498228504
  • ページ数:206頁
  • 書籍発行日:2015年10月
  • 電子版発売日:2016年10月14日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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