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- 市川 度
- 生存時間解析がこれでわかる! 臨床統計まるごと図解
商品情報
内容
序文
序
-この本を手にとってくれた皆さんへ-
本書は医学・生物統計,なかでも臨床試験に関する医学論文にでてくる「生存時間解析」を基本からしっかり理解したい,勉強してみたい,という読者を対象に執筆している.
統計のなかでも,複雑でわかりにくいという声をよく聞く生存時間解析に特に多くの頁を割き,医学統計の本を通読する際に息切れしがちになるKaplan-Meier 生存曲線,log-rank 検定,Cox 比例ハザードモデルの3 つは重点的に解説を加えた.この3 つさえ理解できれば,New England Journal of Medicine,Lancet などの一流誌でも,Editorial を執筆される先生と同じように批判的吟味の視点をもって読みこなせるはずである.
また,本書の特徴として,がん薬物療法を専門とする臨床医である私の医学統計に対する誤解や疑問を,生存時間解析を専門とする生物統計家である佐藤弘樹先生が多数の個性的な図を駆使して解説していることもあげられよう.医学統計の本は数多く出版されているが,一度みたら忘れられない明快な図が満載の,臨床医と生物統計家のコラボレーションによる医学統計の本はなかなか見当たらない.
私が医学統計解析の勉強をはじめた約25 年前は," パーソナル・コンピューター(PC)" の黎明期であった.誰がNEC を買った,誰がMac を買った,とか,まさに" パーソナル" な時代に突入したのである.大枚をはたいて購入した PC が単なるゲームマシーンと化したことも多かったが,やろうと思えば今までは難しかった医学統計処理が,どこでも誰にでもできるようになったわけである.当時は『○○でもできる医学統計』のたぐいの本が花盛りで,統計ソフトのマニュアル本ともいえるものが多かった.そんなとき,東京大学医学部保健学科疫学教室(当時)の大橋靖雄教授の医学統計に関する講演をある学会で拝聴した." 目から鱗" ともいえる先生ならではのお話のなかで最も記憶に残る言葉は,「医学統計の本,今,いっぱい出てきました.でも,お医者さんの執筆された本は,ちょっと色々問題があったりしますね」というものであった.
『○○でもできる医学統計』のたぐいの本をすでに読みあさり," なんちゃって医学統計家"気取りの私には,衝撃的なお言葉であった.それから大橋教授の執筆された教科書を購入し徹底的に勉強したのはいうまでもない.
その後,2008 年7 月に防衛医科大学校病院腫瘍化学療法部が新設され,御縁あって赴任することとなる.最初の仕事は,院内統一のがん薬物療法のレジメン集を作成することであり,そのために医療情報部に入り浸りになっていた.そこで,本書の執筆者である佐藤弘樹先生に巡り会うことになるのである.佐藤先生は,私が読みあさってきた大橋先生の教科書をまさに" 座右の書" として使いこなしていた.
佐藤先生は,2007 年に東京大学大学院医学系研究科生物統計学教室を修了し,防衛医科大学校病院に着任されていた.大橋教授,松山裕准教授の薫陶を受けた佐藤先生に出会ってからは,医学論文の統計に関する疑問点はすべて佐藤先生に解説していただくようになったのである.
2010 年ごろだっただろうか,ある学会のランチョンセミナーで「ハザード比が0.8 ですから,死亡のリスクは20%減少したことになります」と著名な講師の先生が話されたところ,横に座っている若い二人の先生が「1.0-0.8 で20%というけど,みんな本当にわかってるのかな? 僕には,まったく理解不能だ」と話していた.この若い先生の会話こそが,今回,本書を執筆する我々の原動力となった.
最後に,本書のもとになった図表を作成するきっかけになる,生物統計に関する系統講義の機会をいただいた特定非営利活動法人 日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)副理事長 中島聰總先生,我々の遅筆を辛抱強く待っていただいた中山書店 鈴木幹彦氏,ランチョンセミナーで横に座っていた名前を存じあげない先生お二人には,この場を借りて心より御礼を申し述べたい.
平成25 年4 月
防衛医科大学校病院 腫瘍化学療法部部長
市川 度
目次
第1章 基礎編 臨床研究とはなにか?
はじめに 人を対象とした医学研究(臨床研究)とは?
1.臨床試験のデザイン
ある抗がん剤の臨床試験の論文から
Chapter1 臨床試験の目的
Chapter2 試験の対象
母集団と標本集団の考え方
選択基準と除外基準
Chapter3 エンドポイント
エンドポイントとは?
プライマリ・エンドポイントとセカンダリ・エンドポイント
真のエンドポイントと代替エンドポイント
ハードなエンドポイントとソフトなエンドポイント
本当の治療効果とは?
Chapter4 バイアス
偶然誤差と系統誤差(バイアス)
選択バイアス
情報バイアス
Chapter5 交絡
交絡因子
Chapter6 ランダム化
ランダム化
層別ランダム化
ブロックランダム化
動的割り付け(最小化法)
Chapter7 盲検化とプラセボ
盲検化
プラセボとは?
2. 臨床試験の結果をどう解釈するか?
A+B療法v.s.A療法の臨床試験の結果
Chapter8 (仮説)検定とは?
仮説が正しいことを証明することは難しい!?
帰無仮説と対立仮説
帰無仮説と対立仮説[A+B 療法とA 療法の比較]の場合
p値
信頼区間について
検定の誤り
症例数(サンプルサイズ)設計
検定まとめ
Chapter9 治療効果に影響を与える因子を考慮するには?
治療効果に影響を与える因子を考慮する方法
層別解析
回帰分析
第2章 応用編 生存時間解析とはなにか?
はじめに 生存時間データの解析
1.生存時間データ
生存期間を評価するランダム化比較試験の例
Chapter1 生存期間はいつからいつまで?
生存期間は「いつから」?
イベント
打ち切り
打ち切りをどう扱うか
2種類の打ち切り
2.生存時間データをどう解析するか?
A+B 療法 v.s. A 療法のランダム化第Ⅲ相試験の結果
Chapter2 生存期間の図示(Kaplan-Meier 法)
生存時間データの示し方
Chapter3 log-rank検定
log-rank検定
Chapter4 Cox回帰
Cox回帰モデル─はじめに─
ハザードとは?
Cox回帰
比例ハザード性の仮定
ハザード比と累積生存割合の関係
Chapter5 生存時間解析 まとめ
あとがき
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書籍情報
- ISBN:9784521737157
- ページ数:192頁
- 書籍発行日:2013年6月
- 電子版発売日:2014年5月2日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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