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- 石山 いく夫
- DNA鑑定入門
商品情報
内容
序文
DNA鑑定が法医学の領域に登場してから10年余りが経過しており、この間に洋の東西を問わず確実な鑑定技術のポジションを確保してしまった。新しい科学鑑定が登場する場合には、こういった具合に根を下ろすのが一般的であるが、それにしても、DNA鑑定の普及ぶりには目を見張るものがある。渇望されていた個人識別の分析法が、この鑑定技術によって一挙に解決するということが素直に社会に受け入れられたということができよう。
こういった進歩の段階を振り返ってみると、抗生物質の場合と同じように、第一世代(RFLP時代)と第二世代(PCR時代)とに区分することができるが、DNA鑑定の普及は第二世代において飛躍的に発展したといっても過言ではない。ちょっとした注意さえしておけば、目的としている遺伝子を極めて効果的に増幅できるという手軽さがこういった状況を引き起こしたわけであるが、これとともに、RFLP時代において浴びせかけられていたDNA鑑定の曖昧さについての法曹界からの手厳しい批判もかなり払拭されているのである。
もっともDNA鑑定は、DNAの生理学的ならびに病理学的機能を追求するというのではなく、単に、1953年のWatsonとCrickが提唱したDNAの化学構造に認められる塩基配列の個人差を追求するのを目的としており、内容的には無味乾燥なもので、着実な分析結果を提供するだけであるという空しさがある。しかし、そうはいっても、法医学においては、生物学の領域では全く研究対象になることがない資料についての検索が主体となるわけで、それなりの工夫が必要となる。ただし、巷間いわれるような「DNA鑑定による凶悪事件の解決」というようなけれん味は分析者にとっては無関係なものであり、正しい結果を出すのが当たり前で、失敗すれば、分析者としての鼎の軽重を問われるという極めて過酷な分析領域であるということを認識しておくことも肝要である。
本書を執筆するにあたり、最も強調したかったのは、こういった法医学におけるDNA鑑定の特殊な背景である。
ところで、筆者たちが刑事事件や民事事件で実践的に分析してきた過去の鑑定例を振り返ってみると、将来分析依頼されるような全ての生体資料についてすでに手がけているというのが実感である。DNAの重要性を見抜いた警視庁の刑事諸兄が、以前では考えられないような犯罪関係の資料についての個人識別を―いささか強引ではないかという一面もあった―依頼してきたので、大学の法医学とは場違いだと感じながらも、やむを得ず分析をおこなった過去10年間の論文にはならない努力を本書に盛り込んでみたわけであるし、その際に生じた問題点についても率直に説明したつもりである。これらの点についてなんらかの参考資料となれば筆者らにとって望外の喜びということになる。
1998年 10月
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書籍情報
- ISBN:9784525190613
- ページ数:185頁
- 電子版発売日:2011年5月31日
- 判:新書判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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