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- 細谷 治
- 臨床医のくすり箱 医療用麻薬
商品情報
内容
本書は臨床現場でスムーズに医療用麻薬を使用するためのノウハウが詰まっている一冊です!
序文
2006年にがん対策基本法が成立して以来,緩和ケアの普及活動が急速に進みつつある.医療用麻薬は,疼痛緩和治療においては重要な役割を担う薬剤であり,緩和ケアの普及に伴って,医療用麻薬の使用機会も格段に増加しているはずである.しかし,実際はどうであろう.臨床の現場では,医療用麻薬は怖い,難しい,管理などが面倒くさいといったバリアが,まだ多く存在しているように思われる.確かに,医療用麻薬は「麻薬及び向精神薬取締法」という他の薬剤と異なった法律により管理されており,特別に扱わなければならない.また,そのほとんどはモルヒネを代表とするオピオイド鎮痛薬であり,いまだに「怖い薬」との誤解を受けている.しかし,ある程度の知識とそれを運用する組織の力があれば,医療用麻薬を適正に臨床の現場で使用することは,それほど難しいことではない.
また,医療用麻薬は決してがん緩和治療だけに使用するわけではない.手術においても,慢性疼痛などの各種疼痛治療においても,医療用麻薬を使用する機会はいくらでも存在するため,医療のさまざまな現場において医療用麻薬は必要な薬剤である.
本書は,前述のような臨床現場での医療用麻薬に対するバリアを少しでも解消し,医療用麻薬が安全にそして臨床の現場でスムーズに使用されることを願って編集された.がん疼痛治療のテキストでもなければ,オピオイド鎮痛薬の解説書でもない.「医療用麻薬」について,臨床の現場で必要な知識を集めて示したおそらくわが国初の書籍である.
各項目は,医療用麻薬そのものの薬理学的知識,各薬剤の実際の使用方法や使用する際の注意点・コツといった内容を,医療用麻薬の管理についてそれぞれ専門的知識を持ち,第一線の現場で活躍されている医師,薬剤師,看護師の方々に執筆していただいた.それぞれ非常にすばらしい内容となっており,必要なときに各項目だけを読んでいただいても十分ためになる内容になっている.しかし,できれば本書を通読していただき,医療用麻薬の適正な使用と普及に役立てていただくことを編者は願っている.
最後に,本書を企画・編集するにあたって,南山堂編集部の大城梨絵子氏に感謝したい.はじめに彼女のアイディアがなければ,本書は生まれなかった.それをかたちにするにあたって,多少なりとも協力できたことを編者は喜びに思っている.
2011年 7月
茅根 義和
細谷 治
目次
第1 章 医療用麻薬の誤解を解く ~その「常識」は間違っている?!~
Q 1 医療用麻薬は危険な薬?
Q 2 医療用麻薬でも麻薬乱用時のような高揚感が起こる?
Q 3 医療用麻薬は薬物依存になる? 一度使い始めると中止できなくなる?
Q 4 医療用麻薬を使い続けると体が弱くなったり,命が短くなったりする?
Q 5 終末期のみに使う薬? 痛みに対する最終手段?
Q 6 長期服用で耐性が起こる? 慣れて効果がなくなる?
Q 7 医療用麻薬を使いながら働いたり,車を運転することはできない?
Q 8 医療用麻薬を使いながら海外旅行には行けない?
Q 9 医療用麻薬を使うと抗がん剤が効かなくなる?
Q10 痛みがあるときのみに頓用で使う薬?
Q11 医療用麻薬を使っていればNSAIDs の併用は不要?
Q12 副作用が多くて使いづらい?
Q13 医療用麻薬により呼吸抑制が起こる?
Q14 がん疼痛にしか使えない?
第2 章 医療用麻薬を処方する
1 麻薬施用者免許・麻薬管理者免許の申請の仕方
2 麻薬の処方
3 外来で麻薬処方せんを出す
4 保険薬局における麻薬の在庫管理や譲渡の原則および実態・実情
第3 章 医療用麻薬の各薬剤における特徴
1 主なオピオイド鎮痛薬とケタミン塩酸塩
モルヒネ(総論)
モルヒネ塩酸塩
モルヒネ硫酸塩
オキシコドン塩酸塩
複方オキシコドン
コデインリン酸塩
フェンタニル
ケタミン塩酸塩
2 その他のオピオイド鎮痛薬
第4 章 医療用麻薬の剤形・投与方法別の特徴および使用方法
1 内服薬
速放性製剤
徐放性製剤
2 外用薬
貼付剤
坐剤
3 注射剤(投与経路別)
持続皮下注入
持続静注
硬膜外投与・くも膜下投与
コラム フェンタニル貼付剤(1 日製剤)
第5 章 医療用麻薬開始時のポイント
1 医療用麻薬によるがん疼痛管理
2 医療用麻薬の開始時期
3 鎮痛の目標
4 医療用麻薬を安全に導入するためのポイント
5 導入時の投与原則
6 初回投与量
7 投与後のモニタリングポイント
第6 章 医療用麻薬によるがん疼痛管理の原則と留意点
1 タイトレーション(増量と1 日必要量の決定)の留意点
2 レスキュー・ドーズの原則
3 PCA の使い方
4 オピオイドローテーションを理解する
5 オピオイドローテーションの留意点
6 薬剤や剤形によるPK の違いを理解する
7 退薬症状を知る
8 硬膜外・くも膜下投与時の留意点
9 投与経路の変更
10 過量投与への対応
第7 章 がん疼痛以外の適応症
1 各種疼痛時における鎮痛
2 呼吸器症状(咳,呼吸困難の緩和)
3 激しい疼痛時における鎮痛
4 下痢症状の改善
5 全身麻酔(導入および維持)における鎮痛
6 硬膜外麻酔・脊椎麻酔における鎮痛
7 産科麻酔における鎮痛
第8 章 実際に使用するうえでの問題点
1 フェンタニル貼付剤使用時の問題点
2 臓器障害患者に投与する際の留意点
3 高齢者に投与する場合の留意点
4 服用後(挿入後)に嘔吐(排便)した場合の対処法
5 小児に投与する際の留意点
6 突然中止する場合の留意点
7 手術を行う前の投与量の調整
8 大量投与時のオピオイドローテーション
9 投与経路が異なる同成分オピオイド鎮痛薬の併用
10 一般的でない投与経路変更
11 オピオイド鎮痛薬の減量
第9 章 副作用とその対策
1 副作用対策の考え方
2 各種副作用とその対策
便秘
嘔気・嘔吐
眠気
呼吸抑制
混乱,幻覚(せん妄)
排尿困難,尿閉
その他の副作用
ケタミン塩酸塩の副作用
第10 章 医療用麻薬の管理
1 病棟での管理方法
2 紛失した場合の対応
3 病院での廃棄方法
4 在宅での廃棄方法
5 海外旅行の際に留意すること
6 患者入院時の持参麻薬の取り扱い
7 在宅における看取り後の麻薬の引き取り
付録 1 「麻薬管理マニュアル」改訂のポイント(平成23 年4月改訂)
付録 2 持続皮下注射ポンプ
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書籍情報
- ISBN:9784525202019
- ページ数:286頁
- 書籍発行日:2011年8月
- 電子版発売日:2012年9月1日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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