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- 川上 和宜
- プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた薬物治療の勘所
商品情報
内容
多くの医療機関では「卓越した知識・技能をもつ薬剤師」の存在が限られるため,多領域にわたって専門家の考え方を学ぶことは難しいのが現状である.本書は,6領域(感染制御,精神科,がん,妊婦・授乳婦,薬物療法,腎臓病薬物療法)の専門薬剤師が薬物治療の勘所を解説.身近に専門家がいなくてもプロの視点・考え方が身に付く内容となっている.
序文
本書を手に取られたみなさまは,臨床の現場で出会った疑問にどう対処されていますか?
薬剤師として働いていると多くの疑問に巡り合います.目の前の処方箋,目の前の患者,目の前の検査値,同僚のなにげない一言......など,疑問のきっかけはきりがありません.
そのような疑問の解決方法は多岐にわたります.添付文書など身近な資料で解決できるものであれば,1人でこそこそ解決してもいいかもしれません.緊急を要する場合や,調べてもわからない場合は誰かに聞くことになります.明確な答えはなくても,目の前の患者のために何らかの決断をしなければいけない(または落としどころを見つけなければいけない)状況もあります.そんなとき,「これを聞くならこの人」という信頼のおける存在が身近にいればよいのですが,自分の身近に必ずしもすべての領域の専門家がいるとは限りません.
本書は月刊誌『薬局』で連載されている「プロフェッショナルEYE -専門薬剤師からみた勘所-」の内容を一部抜粋・加筆修正した「専門薬剤師の勘所」に加えて,6領域(感染制御,精神科,がん,妊婦・授乳婦,薬物療法,腎臓病薬物療法)の専門薬剤師から別の専門薬剤師への質問とその回答・解説をまとめた「プロ→プロQ&A」を新たに追加した構成となっています.
上記のような疑問に対応する際に,本書の「専門薬剤師の勘所」の項目を読むことで,文献やガイドラインなどを掘り返しながら,じっくり解決策を考えることは非常に重要です.さらに,そこで見つけた回答を誰かにわかりやすく伝えることは,知識・経験を深めることにつながります.また,「プロ→プロQ&A」に示されるような,臨床で出会うさまざまな状況を想定した"プロ"同士の質問と回答のやり取りを読むことで,「疑問⇔回答」の好循環による個々のスキルアップを促し,より良いチーム医療への貢献につながっていくはずです.
本書の内容が,読者の皆さまが現場で同じような疑問に出会った時に「信頼のおける存在」としてお役に立てると共に,本書を通じて少しでも"薬物治療のプロフェッショナル"に近づくための一助となることを切に願っています.
2020年1月
編者を代表して
望月 敬浩
目次
1章 感染制御
■専門薬剤師の勘所
1 MSSA菌血症での最適な抗菌薬は,本当にセファゾリンか?
2 大腸菌菌血症の治療を検討せよ!
3 セファロスポリン系抗菌薬に自然耐性である腸球菌菌血症の治療を研究せよ!
4 クレブシエラ菌血症の治療を研究せよ!
■プロ → プロ Q&A
1 【精神→感染制御】 精神科におけるESBL
2 【がん→感染制御】 膵臓がんの発熱マネジメント
3 【妊婦・授乳婦→感染制御】 B型肝炎に対する抗ウイルス薬の使用
4 【薬物療法→感染制御】 経口抗菌薬への切り替えを検討する基準
5 【腎臓→感染制御】 CKD患者におけるセフェピムの適正投与量
2章 精神科
■専門薬剤師の勘所
1 統合失調症患者の状況に応じた最適な処方を考えよ!
2 BPSDにどう対応するか!
3 適切な睡眠障害の治療を考えよ!
4 双極性障害の治療を考える!
■プロ → プロ Q&A
1 【感染制御→精神】 感染症によるせん妄の対応方法
2 【がん→精神】 術後のせん妄リスク因子とその対応策
3 【妊婦・授乳婦→精神】 多剤併用の効力とリスク,短期的,長期的使用の問題
4 【薬物療法→精神】 不眠症治療薬を離脱していくためのプロトコル
5 【腎臓→精神】 精神科CKD患者で注意を要する薬剤
3章 がん
■専門薬剤師の勘所
1 経口抗がん薬のアドヒアランスを評価せよ!
2 薬剤師が行う抗がん薬による末梢神経障害のマネジメント
3 がん領域における薬剤師の職能を考える
4 Hand-foot syndromeとhand-foot skin reactionの違いを理解する!
■プロ → プロ Q&A
1 【感染制御→がん】 発熱性好中球減少症後の抗がん薬の投与計画
2 【精神→がん】 精神疾患患者の痛みの感受性
3 【妊婦・授乳婦→がん】 乳癌患者の妊娠を考慮した薬物療法
4 【薬物療法→がん】 がん治療関連心毒性のマネジメントや薬物療法
5 【腎臓→がん】 シスプラチンで腎機能障害となったときの許容範囲
4章 妊婦・授乳婦
■専門薬剤師の勘所
1 不育症の治療は可能か?
2 妊娠中の抗菌薬の使用は安全といえるのか?
3 妊娠中の解熱鎮痛薬といえば
4 妊娠中の免疫抑制薬の使用は安全か?
■プロ → プロ Q&A
1 【感染制御→妊婦・授乳婦】 妊婦に対する無症候性細菌尿の治療
2 【精神→妊婦・授乳婦】 児のADHD発症に関与する妊婦の背景
3 【がん→妊婦・授乳婦】 抗がん薬治療による男性の性腺への影響
4 【薬物療法→妊婦・授乳婦】 添付文書上では妊婦禁忌の薬剤を妊婦に使用する際の注意点
5 【腎臓→妊婦・授乳婦】 妊娠中における腎機能の変動と薬剤投与量
5章 薬物療法
■専門薬剤師の勘所
1 心房細動とステント留置を要する冠動脈疾患の合併例は抗凝固薬と抗血小板薬2剤を併用すべきなのか?
2 包括的な患者情報と薬剤確認により回避可能な薬剤有害事象を予防する!
3 PPIはずっと使っていても問題ないのか?
4 薬剤師はどのような介入を行うことで再入院を低減できるのか?
■プロ → プロ Q&A
1 【感染制御→薬物療法】 抗菌薬の適用外使用
2 【精神→薬物療法】 PPI長期使用の代替療法
3 【がん→薬物療法】 がん患者の血栓症
4 【妊婦・授乳婦→薬物療法】 妊婦への薬剤投与量の基準となる体重の考え方
5 【腎臓→薬物療法】 CKD患者の抗凝固療法における患者アセスメント
6章 腎臓病薬物療法
■専門薬剤師の勘所
1 CKD患者の痛みをコントロールせよ!
2 CKD患者の尿酸値をマネジメントせよ!
3 CKD患者の骨折を予防せよ!
4 CKD患者の抗菌薬を最適化せよ!
■プロ → プロ Q&A
1 【感染制御→腎臓】 抗微生物薬による腎障害
2 【精神→腎臓】 CKD患者の痛みに対するSSRIの使用
3 【がん→腎臓】 抗がん薬による高血圧とタンパク尿のある患者の降圧薬選択とフォロー
4 【腎臓→妊婦・授乳婦】 腎疾患を有する妊婦への対応
5 【薬物療法→腎臓】 腎機能低下を抑えられる薬物療法
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書籍情報
- ISBN:9784525706517
- ページ数:296頁
- 書籍発行日:2020年2月
- 電子版発売日:2020年3月20日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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