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- 木村 琢磨
- 頼れる主治医になるための高齢者診療のコツを各科専門医が教えます
商品情報
内容
専門医が常駐しない診療所・小病院を想定し、患者の訴えや臨床状況、実際に行う診療手順と専門診療科への紹介基準、診療内容に対する専門医からのフィードバックそれぞれを具体的に提示しています。
認知症がある方の診察のしかた、外来で可能な処置法、患者紹介のコツなど診療のヒントが満載です。
序文
序 -高齢者の“頼れる主治医” を目指そう-
わが国では,各々の患者さんがその症状に応じて専門診療科を自由に受診することが可能であり,一次医療と専門医療が明確に分かれた諸外国の医療システムとは異なります.これには,より早期に臓器・領域別の専門診療を受診できるというメリットがあります.しかし同時に,「自分の専門外の症状に関心をもたない医師」や「適切な一次対応ができない医師」を最初に受診した場合 ,このようなわが国の医療システムの恩恵を十分に提供できない,という危険性もはらんでいます.特に,複数の健康問題を有し,疾病が慢性に経過することが多い高齢者診療では,十分な連携が取れないままに,患者さんの判断で数多くの専門診療科の診療を受けることが,必ずしも良い結果に繋がらないこともしばしば経験するところです.特に高齢者診療では,専門診療科の受診が必要か否かを判断し,複数の健康問題を総合的にマネージメントすることができる,いわば "頼れる主治医" の存在が特に重要になってくるのです.
本書は,高齢者のよくある臨床問題に対して,それがたとえ自分の専門領域と異なる領域の問題であったとしても,適切に対応することができる"頼れる主治医" となることを目指して作成されました."頼れる主治医" が活躍する場としては,血液迅速検査や一般画像検査が不可能で,専門医が常駐しない診療所・小病院を想定しました.構成は,高齢者の外来・病棟・訪問・施設診療において遭遇する頻度の多い臨床問題について,①患者の訴えや臨床状況,②実際に行う診療手順と専門診療科への紹介基準,③診療内容に対する専門医からのフィードバック,をそれぞれ具体的に提示し,④高齢者の "頼れる主治医" としてさまざまな臨床問題に対応するコツを,各科の専門医からアドバイスを受ける形式としてあります.
わが国の超高齢化が,今後急速に進展することは明らかです.必然的に,訪問診療を受けている患者や,施設で生活する方など,通院が困難で専門診療へのアクセスが良好でない高齢者もこれまで以上に増加します.このような状況下では,たとえそれが自分の専門外の領域の問題であっても,適切に対応し,必要に応じ専門診療へと確実に繋ぐ「連携能力」を有する "頼れる主治医" の存在は質の高い高齢者診療のためにきわめて重要な位置を占めていくのです.
本書が,読者の先生方が高齢者の "頼れる主治医" となることに寄与し,ひいてはわが国の高齢者診療の質の向上に少しでも役立てば,編者として望外の喜びです
2015年 2月
木村琢磨 松村真司
目次
序章 "頼れる主治医"として高齢者を診る際の心得
1.高齢者に専門診療科を紹介するか否かの判断
2.高齢者に専門診療科を受診してもらう前に主治医が行うべきこと
3.患者紹介のために知っておくべきこと
4.臨床を行う施設の規模と紹介基準
5.患者紹介のタイミングとガイドライン
6.患者・家族と紹介のニーズが一致しないとき
7.診療情報提供書(紹介状)の書き方
8.日常診療において非専門領域の省察をするということ
第1章 眼科的問題
1.目やにがひどく,充血している[眼の眼脂・充血・瘙痒]
2.目やにが多く,涙がよく出る[流涙・眼脂]
3.頭痛,吐き気があり,眼が充血している[頭痛を伴う赤眼]
4.突然目が見えなくなった[急性発症の視力障害]
5.眼が腫れて痛みがある[眼瞼の腫脹・発赤]
6.目がチラチラしてモノが歪んで見える[飛蚊症・歪視]
7.逆さまつげ[睫毛内反]
8.眼がかゆい[アレルギー性結膜炎]
9.「眼科で処方されていた目薬を出してほしい」と言われた[点眼薬の処方と選択]
10.眼の手術を受けるが薬を続けてよいのか[抗凝固薬・抗血小板薬に関する考え方]
Column
第2章 皮膚科的問題
1.赤い皮疹ができた[発疹がある]
2.赤い痒みのある発疹が全身にできた[全身の発疹]
3.顔に黒いデキモノができた[皮膚の結節]
4.陰部がかゆいんです[陰部の瘙痒]
5.水虫ができた[白癬が疑われるとき]
6.水疱ができた[類天疱瘡]
7.巻き爪が痛い[陥入爪]
Column
第3章 婦人科的問題
1.認知症を伴う高齢者に茶褐色の帯下が出現[茶褐色の帯下]
2.陰部にかゆみと痛みがある[カンジダ腟炎をくり返す患者]
3.子宮留膿腫の患者,婦人科コンサルトはどのようなときに?[子宮留膿腫]
4.子宮脱をくり返す高齢女性[骨盤臓器脱]
Column
第4章 整形外科的問題
1.ベッド脇で動けなくなった[高齢者に多い骨折と受傷機転]
2.カッターナイフで指をきった[手指切創の処理]
3.休み休みにしか歩けない[腰部脊柱管狭窄症]
4.急に腰が痛くなった.ぎっくり腰?[急性腰痛症]
5.肩が痛くて挙がらない[肩関節周囲炎]
6.手にがんができた?[ばね指・ガングリオン]
7.足をひねった[足関節捻挫]
8.骨粗鬆症が心配[骨粗鬆症のフォロー]
9.腰の痛みが続く[慢性の腰痛]
10.手を骨折したかもしれないのでソフトシーネを巻く[Colles骨折]
11.膝が痛いので注射をしてほしい[変形性膝関節症]
Column
第5章 耳鼻咽喉科的問題
1.歩くとフラフラする[慢性の非回転性めまい感]
2.家族から難聴といわれているが,本人は補聴器を希望しない[難聴への対応]
3.何年も耳掻きをしていません[耳垢栓塞]
4.鼻血が出て止まらない[鼻出血]
5.耳の中がかゆい[外耳道炎]
6.鼻水が垂れてくる[鼻炎]
Column
第6章 脳外科的問題
1.ふらついて頭を打った[minor head injury]
2.最近歩きにくく,物忘れもある[特発性正常圧水頭症を疑うとき]
Column
第7章 外科的問題
1.熱湯をこぼし,やけどの後,水ぶくれになった[軽い熱傷]
2.胸の「しこり」が気になる[乳房のしこり]
3.間歇性跛行があるが脊柱管狭窄症の影響はないといわれた[下肢閉塞性動脈硬化症]
4.手術受けたほうがいいけどなぁ...[術前検査と手術侵襲]
Column
第8章 泌尿器科的問題
1.尿意がはっきりしないが残尿があるかもしれない[画像検査が限られる中での残尿や前立腺の評価]
2.前立腺がんの発症に気をつけながら,前立腺肥大症をどうフォローするか[前立腺肥大症のフォロー]
3.泌尿器科より引き継いだ高齢患者の前立腺がんフォロー[前立腺がんのフォローの引継ぎ]
4.尿失禁・頻尿に対して過活動性膀胱を疑ったが第一選択薬剤で効果がない[過活動性膀胱に対するアプローチ]
Column
第9章 口腔・歯科の問題
1.食事量が減ったため口腔内を診ると潰瘍ができていた[義歯不適合に気付くには]
2.誤嚥性肺炎予防のため,口腔ケアの指導をしたい[口腔ケアの指導法]
3.抗血栓治療中の患者から,抜歯について相談された[抜歯時の抗血小板薬・抗凝固薬]
Column
第10章 精神科的問題
1.「眠れない」と訴えるが,家族に聞くと本当は寝ている[不眠を訴える]
2.「眠れない」と訴え,本当に眠れていない[睡眠障害]
3.夕方から落ち着きがなくなり,怒りやすくなる[せん妄の判断]
4.引越しをしてから元気がない[低活動型せん妄を疑うとき]
5.認知症が先か? うつ状態が先か?[元気がなく身体疾患が否定的なとき]
6.最近もの忘れが増えた[軽度の認知機能障害(MCI)への対応]
7.孤独や機能障害を抱えた高齢者[[高齢者におけるうつ状態]
8.車の運転をやめさせたい[運転免許に関する判断]
Column
第11章 栄養・リハビリテーションの問題
1.この高齢者はいったい何ができて何ができないのであろうか[高齢者の生活・自立度を評価する]
2.この患者の栄養は十分なのであろうか[高齢者の栄養状態・食事内容を評価する]
3.寝込んでから足腰が弱ってしまった[廃用症候群の予防とリハビリ]
4.患者が再び転ばないためにはどうすればよいのか[転倒リスクと予防]
5.食事内容や食べさせ方で誤嚥を減らすには[誤嚥への対応]
6.片麻痺への配慮をしたい[片麻痺患者へのリハビリ的対応]
7.また口から食べたい! を実現するために[胃瘻から経口摂取にトライする]
Column
第12章 救急医学的問題
1.胸骨圧迫以外に何ができるか[救急車につなぐまでの診療所での心肺蘇生]
2.誤嚥性肺炎が軽快して退院したが急変し,家族が救急車を呼んだ[高齢者の急変についての考え方]
Column
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書籍情報
- ISBN:9784758117715
- ページ数:207頁
- 書籍発行日:2015年3月
- 電子版発売日:2015年10月2日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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