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商品情報
内容
日々の実臨床で数多くの心エコー検査を行っている経験豊富な医師、技師が、基礎知識や検査方法を徹底解説。特に、必要なエコー画像を撮るためにどうすればいいのかを、エコー画像+手元画像+解剖図と超音波ビームで詳細に図解した書です。心エコーはできるけれど自信がもてない…という方は必携の一冊!
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序文
心エコー図検査は第2の聴診器といわれ,聴診を滅ぼしたともいわれています。初診時,基本的な診察後に心エコーで心機能や器質病変の有無をチェックしたいと思うことは多いでしょう。しかし現在,診断ツールとして心エコーの技術・テクニックを習得したいと思うものの,なかなか自信をもてず日々の検査を行っている方が多いのが現状ではないでしょうか。
私は大学で初学者を教えている経験から,心エコーの技術を習得するまでには下記の"3段階のステップ"を踏んでいくことになると考えています。
第1段階 心臓の構造や位置関係もわからず,やみくもにプローブをあてている時期
第2段階 プローブの傾きがどの方向を見ているのかが理解できてくる時期
第3段階 症例ごとに,重要なポイントの有無にあわせて未熟なりにも断面を工夫できるようになる時期
毎日,プローブに触れ,心エコーに触れていても各段階にはおよそ1カ月が必要ですが,第3段階になればしめたもの。ここからは一気にエコーがおもしろくなってきます。エコーの難しいけれどおもしろいところは,画像を一度に取得し解析するのではなく,所見の有無で画像を工夫し,積極的に新たな所見を探しにいくところです。そのため,1枚のエコー図の前面,後面に広がる心臓の構造を追っていけるようでなければ,心エコーに自信をもち,おもしろいと思うことはできません。
初心者に得られた心エコー図のシェーマを描いてもらった結果,平面での心臓の理解はできても,空間での理解度が低いこともわかってきました。この状態を克服し,理解度を高めるためには「エコー画像とシェーマの対比」こそが有用であると考え,本書では積極的にエコー画像とシェーマの対比を行っています。
本書は初心者,少し心エコー検査ができるようになってきたけれど,まだまだ自信が持てない初級者を対象に編集いたしました。機器の設定や被検者の体位など,心エコーを始めるにあたっての基礎知識から,症例ごとの心エコーの撮り方,読み取り方まで幅広く記載し,実臨床で役立つように工夫しています。特に,エコー画像とシェーマを対比し,心臓をどのように断面として捉えているのかが一目でわかるように,さらに超音波ビームの位置がわかるように立体的な解剖図を加え構成しました。それぞれの断面ごとに,自分で撮った画像が適正なのかがわかるチェック項目も設けました。そのため,各症例については限られた紙面となっています。
本書によって,心エコーはできるけれど自信がもてない,いわゆる『なんちゃってエコー』から『必要な所見は撮ったつもりエコー』になってもらえたら望外の喜びです。
平成26年5月
東京女子医科大学循環器内科
芦原 京美
目次
●心エコー関連略語集
●初学者が知っておくべき基本断面
Ⅰ 基礎知識のおさらい--必要なところだけ--
①今さら聞けない心エコー法の基礎
②心エコー検査でなにがわかる?どうして必要?
③心エコー法の種類
④イラストで理解する断層心エコー法
⑤Mモード法
⑥組織ドプラ法
Ⅱ 心エコーに必要な準備と機器操作を押さえよう
①心エコー検査の準備
検者と被検者の位置
被検者の体位と呼吸
部屋の明るさや温度
検査に必要な備品
②心エコー装置のトリセツ ここだけ押さえよう!
心エコー装置の種類
エアフィルターの位置
電源コンセント
プローブの扱い
プローブの周波数
操作パネルでよく使うツマミやボタン
表示画面
③きれいな断層図を描出しよう
プローブの走査
プローブをあてる場所(アプローチ法)
断層部のゲイン調節
Ⅲ いざ実践!アプローチ法と記録評価
①検査の進め方
検査を始める前に
入室から検査までの流れ
②断層法--絶対に絵が出る方法,教えます
心エコー検査のための準備
被検者の基本体位
アプローチ方法
プローブの持ち方
各アプローチ別--絶対に絵が出る方法
1)胸骨左縁アプローチ
2)右室流入路長軸断面(胸骨左縁アプローチ)
3)心尖部アプローチ
4)心窩部アプローチ
5)胸骨上窩アプローチ
③Mモードエコー図の記録
Mモード法とはなに?
記録方法
これは御法度?Mモード心エコー図で注意すること
④カラードプラ法の血流評価
カラードプラ法とはなに?
カラードプラ法を行う前に
断層法の設定
カラーフローマッピングの設定
カラードプラ法の実際
⑤パルスドプラ法の血流評価
パルスドプラ法とはなに?
左室駆出血流の記録法
左室流入血流の記録法
右室駆出(肺動脈)血流の記録法
⑥連続波ドプラ法の血流評価
連続波ドプラ法とはなに?
三尖弁逆流血流値の記録法
狭窄が疑われる部位の評価
⑦組織ドプラ法の記録
組織ドプラ法とはなに?
心室中隔側または左室側壁での僧帽弁輪運動速度記録
⑧評価の実際
心機能の評価 1)%FSとEFについて
心機能の評価 2)実際にEFを求める
心機能の評価 3)拡張能を評価する
心腔拡大・心肥大の評価 1)心腔拡大を評価する
心腔拡大・心肥大の評価 2)心肥大を評価する
心腔拡大・心肥大の評価 3)左室・左房の正常値
肺動脈圧の評価 1)右房圧の推定
肺動脈圧の評価 2)三尖弁逆流
肺動脈圧の評価 3)肺高血圧症の診断
⑨画像の記録・レポートの書き方
画像の記録と保存
レポートの書き方
⑩トラブルシューティング
絵が出ない,出てもなにか分からない人のためのシチュエーション別対応法
救急時に心エコーをするときの注意点
Ⅳ 症状別 エコーの撮り方・見分け方
①胸痛を主訴とする患者さんのエコー
胸痛の鑑別疾患
3大疾患,その他の鑑別
②息切れがある患者さんのエコー
急速に進行する息切れ
徐々に進行する息切れ
③浮腫症状のある患者さんのエコー
下腿浮腫の鑑別
左室機能障害のない場合
④不整脈患者さんのエコー
頻脈性不整脈:上室不整脈,心房細動
頻脈性不整脈:心室不整脈
徐脈性不整脈:房室ブロック
⑤心雑音がある患者さんのエコー
収縮期雑音
拡張期雑音
連続性雑音
Ⅴ 疑われる疾患別 エコーの撮り方・描き方
①心筋梗塞(合併症を含む)
心筋梗塞
心筋梗塞合併症
②心不全
疾患の概要,診断
病態
心エコー図検査の評価ポイント
心エコーによる左室充満圧上昇の推定
収縮機能の保持された心不全
③高血圧(高血圧から派生する疾患)
高血圧心とは?
心エコー図検査のポイント
④弁膜症
大動脈弁狭窄(AS)
心エコーを撮るに至ったプロセス
心エコーの撮り方・読み取り方
見落としポイント
僧帽弁逆流(MR)
心エコーを撮るに至ったプロセス
心エコーの撮り方・読み取り方
見落としポイント
僧帽弁狭窄(MS)
心エコーを撮るに至ったプロセス
心エコーの撮り方・読み取り方
見落としポイント
大動脈弁逆流(AR)
心エコーを撮るに至ったプロセス
心エコーの撮り方・読み取り方
見落としポイント
三尖弁逆流(TR)
心エコーを撮るに至ったプロセス
心エコーの撮り方・読み取り方
見落としポイント
⑤先天性心疾患
先天性心疾患における心エコー検査
心房中隔欠損症(ASD)
心室中隔欠損症(VSD)
Fallot四徴症(TOF)
Fallot四徴術後
⑥感染性心内膜炎
感染性心内膜炎とは?
感染性心内膜炎を疑うべき症例とは?
いつ経食道心エコーを施行するか?
症例提示
⑦肺高血圧
肺高血圧の症状
肺高血圧の特徴的な心エコー図所見
ドプラ法を用いた右心系血行動態指標の推定
症例提示
⑧心嚢液貯留
心嚢液とは?心嚢液貯留とは?
心タンポナーデとは?
心タンポナーデの心エコー図所見
症例提示
⑨心臓内異物(腫瘍,血栓)
血栓
心臓腫瘍
粘液腫
乳頭状線維弾性腫(papillarly fibroelastoma)
心臓原発悪性腫瘍 ①肉腫
心臓原発悪性腫瘍 ②転移性腫瘍
心内異物の観察ポイント
⑩正常に見える異常,異常に見える正常構造物
正常に見える異常
異常に見える正常構造物
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書籍情報
- ISBN:9784758314152
- ページ数:196頁
- 書籍発行日:2014年7月
- 電子版発売日:2014年12月5日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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