Dual-energy CT ― 原理を理解し臨床で活用する

  • ページ数 : 236頁
  • 書籍発行日 : 2019年9月
  • 電子版発売日 : 2019年12月20日
8,580
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商品情報

内容

Dual-energy CTの技術が導入され,Photon-countingへとCTの撮像テクノロジーが進化し続けている。より多くの情報をいかに適切に扱うか,部位ごとの的確な画像の再構築,定量化に向け,これまでにない確固たる基礎知識が求められ始めている。
本書では,放射線科医にとって今後必要不可欠となる力,特にDual-energyが有用とされる根拠を一つずつひもとき,造影,被ばくの課題と複雑に絡み合う撮像技術と画像診断に役立つ実践知識がまとめられている。
「なんとなく使っている」から「正確に使いこなせる」へのステップアップを目指そう!

序文

基礎編第1章で述べられているように,Dual-energy CT(DECT)の歴史は意外と古く1976年まで遡るが,実際に臨床機が発表されたのが2006年である。それから10年以上が経ち,わが国でもDual-energy scanができるCTスキャナを有する病院はかなり増えたが,実際にDECTを臨床に活用している病院はいまだ少ないのではないだろうか。その理由としては,従来のSingle-energy CT(SECT)に比較して,DECTの臨床上のメリットがどこにあるのかわかりにくいということが挙げられよう。例えば,DECTではCT値などの定量データの精度はSECTよりも改善しているが,それが診断のうえでどのように役立つかという点は十分に認知されているとはいい難い。一方で,DECTにおいては,noncalciumimageやX-mapなどの種々の手法が開発されているが,それらの臨床的有用性を俯瞰できるような教科書が少なかったことも理由の1つかもしれない。また,DECTは,SECTよりも技術的事項がやや難しいことも,臨床医がDECTに取り組み難い理由であろう。

本書は,CTの技術的事項に詳しくない放射線診断医,そのほかの臨床科の医師を対象として,DECTの原理をなるべくやさしく解説し,そのうえで,臨床の各領域についてDECTの有用性を述べたものである。

基礎編の技術的事項については,各CTベンダにおけるDECTの技術情報は論文などで公開されていないことも多いが,いずれのCTベンダにも共通していると思われる事項を記載するようにした。また,ヨードマップのように,CTベンダにより生成法が異なるような手法については,可能な限りその点についても言及した。臨床編においては,従来のSECTと比較して,DECTでは診断上どのような点が改善できるかを明確に記載するように心がけた。本書の読者は主に放射線診断医を中心とした臨床医を想定しているが,DECTに興味をもつ診療放射線技師にも役立つであろう。

本書の執筆にあたっては,キヤノンメディカルシステムズ 田口博基氏,津島 総氏に技術的事項についてご教示いただいた。厚く御礼を申し上げる。また,お忙しいなか,力のこもった原稿を執筆いただいた先生方に深謝したい。


2019年8月

広島大学大学院医系科学研究科 放射線診断学研究室
粟井 和夫

目次

基礎編

1. Dual-energy CTの現状

Dual-energy CTの現状

スペクトラルイメージングへの道

DECTの使い途

2. Dual-energy CTを理解するための物理

Dual-energy CTを理解するための物理

X線と物質の相互作用

X線減弱係数とCT値

X線光子スペクトル

3. Dual-energy CTのソフトウェア

1)Dual-energy CTにおける解析法の基礎

CTにおける投影データと画像再構成

Dual-energy解析の方法

投影データに基づくDE解析

再構成画像に基づくDE解析

2)DECTにおけるビームハードニングの補正

ビームハードニングとは

ビームハードニングの補正

ビームハードニング低減の臨床での効果

3)Dual-energy CTの基本アプリケーション

仮想単色X線画像(VMI)

物質弁別(material decomposition)

電子密度画像と実効原子番号画像

4. Dual-energy CTのハードウェア

Dual-energy CTのハードウェア

Rapid kV switching(GEヘルスケア)

Rapid kV switching(キヤノンメディカルシステムズ)

Dual X-ray source(シーメンスヘルスケア)

Split filter(シーメンスヘルスケア)

Dual-layer detector(フィリップス)

Sequential volume scan(キヤノンメディカルシステムズ)

Sequential helical scan(キヤノンメディカルシステムズ)

5.Photon-counting detector CT

Photon-counting detector CT

PCDの概要

PCDのハードウェア

PCD特有の問題点

PCD-CTスキャナ

PCD-CTに期待されるイメージング

PCD-CTの臨床応用と展望

臨床編

1. 頭部

急性期脳梗塞治療における画像診断

急性期脳梗塞の治療前後における画像評価

Single-energy CTでできること

Dual-energy CTでできること

2.胸部

1)心臓

①冠動脈CT

 臨床的背景

 Single-energy CTでできること

 Dual-energy CTでできること

②心筋perfusion

 臨床的背景

 Single-energy CTでできること

 Dual-energy CTでできること

 現時点のDECTの問題点

③遅延造影

 臨床的背景

 Single-energy CTでできること

 Dual-energy CTでできること

 現時点のDECTの問題点

2)肺血流・肺塞栓

肺血栓塞栓症診断におけるCTの臨床的意義

Single-energy CTでできること

Dual-energy CTでできること

2管球CT(Dual-source CT:DSCT)を用いたLPBV画像について

3)大動脈

大動脈疾患に対するCTの臨床的意義

Single-energy CTでできること

Dual-energy CTでできること

3.腹部

1)肝臓:肝腫瘍

①原発性肝細胞癌の診断

 臨床的背景

 Single-energy CTでできること

 Dual-energy CTでできること

②原発性肝細胞癌の治療効果判定 再発診断

 臨床的背景

 Single-energy CTでできること

 Dual-energy CTでできること

③転移性肝腫瘍

 臨床的背景

 Single-energy CTでできること

 Dual-energy CTでできること

④そのほかの肝腫瘍

 臨床的背景

 Single-energy CTでできること

 Dual-energy CTでできること

2)肝臓:脂肪定量

CTによる脂肪定量の臨床的意義

Single-energy CTでできること

Dual-energy CTでできること

3)膵臓:膵腫瘍

膵腫瘍における画像診断の意義

Single-energy CTでできること

Dual-energy CTでできること

4)胆嚢・胆管系・胆石

胆道系疾患診断におけるCTの臨床的意義

Single-energy CTでできること

Dual-energy CTでできること

5)消化管

消化管疾患におけるCTの臨床的意義

Single-energy CTでできること

Dual-energy CTでできること

6)尿路:腎腫瘍

臨床的背景

Single-energy CTでできること

Dual-energy CTでできること

7)尿路:CT urography ・尿路結石

尿路結石の臨床的背景

Single-energy CTでできること

Dual-energy CTでできること

8)副腎

副腎腫瘍の診断におけるCTの臨床的意義

Single-energy CTでできること

Dual-energy CTでできること

4.骨・関節

骨・関節疾患の診断

骨・関節疾患の評価における画像診断の臨床的意義

Single-energy CTでできること

Dual-energy CTでできること

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書籍情報

  • ISBN:9784758316125
  • ページ数:236頁
  • 書籍発行日:2019年9月
  • 電子版発売日:2019年12月20日
  • 判:A5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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