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今すぐ総合診療のエキスパ-トになれる 総合内科診療のススメ

  • ISBN : 9784765317726
  • ページ数 : 144頁
  • 書籍発行日 : 2018年12月
  • 電子版発売日 : 2019年2月8日
  • 判 : B5判
  • 種別 : eBook版 → 詳細はこちら
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¥4,180 (税込)
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商品情報

市中病院の総合診療とは何か?
病院総合内科医に求められる、人間ドックから終末期医療までの知識と診療の心構えを経験豊かな医師が執筆。高齢者診療で見落とされがちなミネラルについても充実している。
こんな人に読んでほしい
・高齢者診療の中心である総合診療に興味がある
・大学医局から市中病院に移ったばかりで不安

■ 序文

本書は主として内科疾患に関して総合的な力を必要とする医師,特に高齢者医療に必要な知識習得に役立つ参考書として計画されたものである.日常臨床によく遭遇するcommon disease の診断・治療のコアになる知識を解説したものであり,稀な疾患については専門書に譲ることにしている.本書の企画は宮田學先生,執筆を担当している各先生の多くは草津総合病院に勤務している.当病院は719 床を有する地域医療支援病院である.急性期医療から地域包括ケア病床,リハビリテーション病床,医療・介護病床を有するケアミックス型の病院である.この病院の総合内科医師は人間ドックから終末期医療まで関与しており,初診患者の単なる振り分け外来だけでなく,遅滞なく初期診断を行い,適切な専門診療科に紹介するとともに,高齢者で多臓器機能障害を有する患者,生活習慣病で長期に治療が必要な患者を診療している.

総合内科の歴史

草津総合病院では,私が2002 年院長として赴任した当時は専門医がそれぞれの専門領域の診療を行っていた.発熱,食欲不振,体重減少,下肢浮腫,全身倦怠感等の不定愁訴等を訴え,いずれの診療科で診察をうけたらよいか分からない患者が多かった.

高齢の患者が多くなり,症状の訴えが曖昧になり,しかも複数の臓器障害を抱える患者が増加し専門診療科のみの対応では患者のたらい回しが多くなったため総合内科を開設することになった.

私は,奈良県の天理よろづ相談所病院循環器内科に勤務していたことがあり,1976 年,当時の山本利雄病院長が同病院の臓器別専門診療の谷間で,医療への不満を持つ多くの患者がいることに気づき,総合外来と総合診療方式によるレジデント制(卒後臨床研修制度)をわが国で初めて導入され,総合診療という名前が広まってきた.

その後,国立大学で初めて1986 年に佐賀医科大学(現佐賀大学医学部)に総合診療部が開設された.佐賀医科大学総合診療部のモットーである「臓器や疾患を選ばず,患者の健康上の問題に広い視野から対処する」ことは日常診療にとって大変重要な提言であった.その後,60の大学病院,多くの中核病院にも総合診療部門がつくられた.外来診療部門では,初診患者は小児・産科・外科系以外は総合診療外来を受診し,専門的な診断が必要となった場合には専門診療科へ紹介した.慢性的な疾患があり,長期治療が必要な場合にはかかりつけ医へ紹介して病診連携をすすめるようになり,いわゆる横断的医療が中心となった.

しかし,わが国における総合診療部門は米国と異なり,小児科や産婦人科,外科などの領域を扱わないので,実質上は総合内科に相当する.米国総合内科学会(Society of GeneralInternal Medicine)がまとめた総合内科の将来展望では,総合内科医とは複数の慢性疾患を有する大人の患者を長年に渡って診療するための必要な知識,技術,態度を有する医師,縦断的医療を行うことができる医師である.

しかし,横断的医療が中心のわが国の大学病院の総合診療部門では入院ベッドを持たないところが多く,総合診療を希望する研修医が育たなかった経緯がある.

総合診療医の役割

わが国の如く,超高齢社会では多疾患を有する高齢者では,複数の専門診療科を受診する必要があり,患者はますます大病院志向となり,病院の外来は混雑をきたし,待ち時間が長くなる.この問題の解決策は,幅広く,しかも専門知識もかなり備え持ったゼネラリスト(総合診療医)の養成である.日本プライマリー・ケア連合学会は総合診療医のあるべき姿として「高血圧の管理,禁煙指導からうつ病の診断と精神科・心療内科へのコンサルト,捻挫の処置,褥創治療,がん患者の緩和ケア,学校医などをすべて1人でこなし,胸痛から大動脈解離をみつけ,不明熱から血液がんを発見できるレベル」を求めている.

2014年5月には日本専門医機構が発足し,専門医を統一基準で認定する第三者機関が専門医の技術・質を担保することになった.現在専門医は18種類あり,その中に総合内科があるが,2017年度から新たな専門医に関する仕組みが作られ,2018年度から19番目の専門医として総合診療医を創設することになった.総合診療医の役割は,日常的に頻度が高く,幅広い領域の疾病と障害等について,わが国の医療提供体制の中で適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的に提供することである.実際上,総合診療医は主に高齢者の診療を想定したものである.複数の臓器にまたがる病気に対処し,看護師,介護士と協力して在宅医療を手掛ける.この総合診療医は地域包括ケアの担い手であるかかりつけ医に必要な専門医であり,若い医師のみならず他の専門を有し,病院に勤務した後,開業しようとするベテラン医師の受け皿にもなりうる.この総合診療医は学校検診から予防医療,在宅医療まで含む広い領域をカバーする医師を想定している.さらに超高齢社会を支える立役者として「地域包括ケア病棟(病床)が2014年の診療報酬改定から新設され,この病棟(病床)を充実させるには総合診療専門医の役割が重要である.

病院総合内科医の役割

草津総合病院の総合内科医は小児科,産婦人科,外科系診療科以外の診療を担当しているいわゆる病院総合内科医である.総合内科の診療ポリシーは「専門診療科宛の紹介状のない患者で,臓器や疾患に関係なく,まず総合内科医が総合的に診断治療して,必要と判断した場合に専門診療科に紹介する.特に高齢者で多臓器疾患をかかえている患者は総合内科が継続的に担当することにしている.それに伴って,地域の高齢者施設,在宅医療との連携を密にすることにしている.現代の医療は医師の個人的資質のみでは対処できないことが多くチーム医療が必要である.看護部門,薬剤部門,検査部門,リハビリ部門,臨床工学士部門,事務部門,ケースワーカー等の相談部門との協力体制が必要である.さらに,総合内科医師は初診患者の病院に対する印象に多大の影響を与え,病院の評判に関係するのでコミュニケーション能力にたけていることが必要である.

本書においては,「総合内科診療のすすめ」―人間ドックから終末期医療まで―というコンセプトで構成され,病院総合内科医に必要な知識を概説している.病院への初診患者が受診動機となった主訴を基本として診断を行うプロセスを解説した.治療に関しては,侵襲を伴う専門的医療は専門診療科に依頼するが,多臓器疾患をかかえる高齢者では,総合内科で各専門診療科に相談しつつ専門的医療を行っていく必要がある.総合内科医が知っておくべき疾患として,循環器疾患,消化器疾患,呼吸器疾患,糖尿病・内分泌疾患,神経疾患,人工透析を含む腎疾患,感染症,皮膚疾患,輸液療法について記載した.

高齢者には疾患の発症や経過に心理社会的因子の関与が大きい場合があり,心療内科の受診が必要となることが多い.

終末期医療

現在の発達した医療においても,治療には限界がある.認知症高齢者で食事ができなくなり入院治療を希望してこられる患者もあり,どこまで医療を行うべきか難しい問題である.このような終末期医療に関しては,老年医学会が立場表明を行い,高齢者の終末期とは「病状が不可逆的かつ進行性で,その時代に可能な最善の治療により病状の好転や進行の阻止が期待できなくなり,近い将来の死が不可避となった状態」と定義している.

終末期では治療の差し控えや中止も選択肢として,よりよい看取りを考えることが重要である.本院は医療療養病床,介護療養病床を200床有し,2013 年の退院累積数は185名,そのうち死亡退院が135 名であり,これらの豊富な症例について終末期医療について概説したい.


2018年10月

木之下 正彦

■ 目次

まえがき

超高齢社会の医療体制

総合内科・総合診療科随想

第1章 総合内科概論

第2章 人間ドック

第3章 総合内科診療の実際

第4章 流行感染症と予防接種

第5章 心療内科疾患

第6章 周辺疾患診療の動向

1. 皮膚科疾患

2. 感染症

3. 肺結核

4. 糖尿病合併症

5. 整形外科疾患

第7章 高齢者医療

第8章 高齢者の亜鉛欠乏症

あとがき

■ 特記事項

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