医療系スタッフのための情報システム入門 ― コンピュータで何ができるか

  • ページ数 : 168頁
  • 書籍発行日 : 2009年12月
  • 電子版発売日 : 2018年7月27日
¥3,300(税込)
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商品情報

内容

医療系スタッフ向けの情報システムの入門書。

医療系の各分野への就職を希望して勉強中の学生のほか、既にこれらの分野で働いている医療従事者、医療に関連した企業人などを対象とし、「コンピュータで何ができるか」の観点からまとめ、医療の情報システムとネットワーク、それにかかわるコンピュータの基本と利用法について解説しています。

序文

序文

本書は,医療系スタッフ向けの情報システムの入門書,あるいは参考書として「コンピュータで何ができるか」の観点からまとめたものである.本書に先立って,1994年に秀潤社(現・学研メディカル秀潤社)から臨床工学ライブラリーシリーズ④「新版メディカルスタッフのためのコンピュータ入門」(菊地 眞,小林 昭:著)が発行されていたが,コンピュータ技術や利用環境の大幅な変化を背景に内容の大幅な変更が必要となり,本書の執筆につながった.同じ「臨床工学ライブラリーシリーズ」の1冊に新たに加わることになった本書は,医療系の各分野への就職を希望して勉強中の学生のほか,既にこれらの分野で働いている医療従事者,医療に関連した企業人などを対象にしている.

コンピュータは現代社会の必需品として,一般家庭でも情報の検索,写真や動画の整理,電子メールなど,さまざまな用途で利用されている.かつてはコンピュータに関する教育は技術者の育成を念頭に行われていたが,コンピュータの進歩とともに,その教育も小学生からのスタートへとすっかり様子が変わっている.同時にコンピュータに関係する入門書の数も膨大で,ハードウエアからプログラム言語に至るまで,非常に広い範囲を含むようになった.

どのような分野の学問領域でも入門書は存在する.しかし,入門であればあるほど,対象となる読者をできるだけ特定した記述への配慮が必要となるはずである.コンピュータに関していえば,技術の初期段階では動作原理を理解することが必須の入り口となっていた.その後,いわゆる「マイコン」として自作できるようになると,簡単なソフトウエアの作成法やハードウエアの組み立てなどがこれに加わるようになってきた.更に,最近になって,より使いやすいコンピュータが比較的安価で提供されるようになり,標準的なアプリケーションソフトの使い方なども必須事項になった.一方で,コンピュータの利用場面が拡大するにつれ,コンピュータや情報システムへのかかわり方もユーザごとの多様性をもつようになってきている.このような流れは,提供されるシステムの機能やソフトウエアの進歩によって著しく加速している.この結果,基礎事項を順序付けて提示する形の教科書は常に時代遅れとなる宿命を背負ってしまうことになったともいえよう.

このように技術進歩の激しい情報システム環境を考えると,入門書のもつ意味も自ずと変化することになる.筆者らは,本書では現時点での切り口(断面)を解説するのではなく,「コンピュータが何を目指して開発され,どこへ向かって進化を続けるのか」という点を見い出せるような内容を目標とした.もちろん,教科書的な基本的な技術の説明は欠かせないが,それと同時に,コンピュータやそれを取り巻く環境がどのように変化してきたのかを感じ取って欲しい.過去から現在に至る技術進歩の底流は,現在から未来への方向性を示す指針として意味をもつと考えるからである.何年かして本書を手に取れば,そこに記載された技術内容の多くは必ず陳腐なものとなっているはずである.それでもなお,本書に多くの利用価値を残すことができることを考えながら執筆内容を検討した.

本書では,その記述内容を必ずしも医療におけるコンピュータ利用だけに置いているわけではない.コンピュータの基本的な技術内容でユーザとして理解しておいたほうがよいと思われる,普遍的な内容を項目として挙げた.インターネットやLANなどはもはや特定の領域のためにあるのではなく,誰もが利用できる環境インフラストラクチャへと変化している.その中で利用される多くの医療情報システムは,閉鎖された情報システム環境に隔離されているとはいえない.むしろ利便性を考えるならば,外部のネットワーク環境との連携も必要となっている.ネットワーク社会は,医療の場でも具体的な方法や装置,規格や法規などを伴ってしっかりと根付き始めている.新しい技術を理解し,有効に活用することはもちろん大切である.しかし,コンピュータシステムの利用に当たっては,医療職種ならではの格段の注意も必要になる.使い方だけでなく,システムの安全性や情報の安全に対する配慮なしに利便性のみを追い求めることは望ましいことではない.医療従事者は単なるユーザとして情報システムに加わるだけでなく,システムの背景をしっかりと理解したうえで,安全で確実な運用を行うことが大切である.その意味でも,本書が医療にかかわるすべての関係者の助けに少しでもなればと願っている.

最後に,本書の刊行に当たって編集を担当された株式会社学研メディカル秀潤社,中村友子さんを始め,関係した皆様に深く感謝申し上げる.

2009年10月
嶋津 秀昭

目次

第Ⅰ章 コンピュータとは何か

1. コンピュータとは何か

2. コンピュータが生まれた背景

2.1 計算装置

2.2 データレコードの処理装置

2.3 入力装置としてのキーボード

3. コンピュータに実行手段を教える手続き

3.1 プログラムの始まり

3.2 プログラムの可能性についての数学的な進歩

3.3 プログラム可能なコンピュータの出現

3.4 表示と紙媒体への印刷技術

4. 現代社会におけるコンピュータの役割

4.1 アプリケーションソフトを利用したコンピュータの活用

4.2 電子回路の一部としてのマイクロコンピュータチップ

4.3 ネットワーク上のコンピュータ

5. 医療におけるコンピュータの役割

5.1 医療機器とコンピュータ

5.2 測定データの自動診断

5.3 医療システムとコンピュータ

第Ⅱ章 コンピュータの基礎

1. コンピュータとは

2. データとは

2.1 0 か1

2.2 情報の単位

2.3 キロバイト,メガバイト

2.4 進数変換(基数変換)

3. ハードウエア

3.1 入力装置

3.2 出力装置

3.3 記憶装置

3.4 演算装置

3.5 制御装置

4. CPUの働き

5. 入出力インタフェース

5.1 シリアル転送方式

5.2 パラレル転送方式

6. 論理回路

6.1 論理式とブール代数

6.2 演算回路

6.3 順序回路とフリップフロップ回路

7. ソフトウエア

7.1 OS

7.2 アプリケーション

第Ⅲ章 コンピュータと情報

1. 数値と文字の表現法

1.1 数値のコード化

1.2 文字のコード化

2. アナログ情報とディジタル情報

2.1 A/D(analog to digital)変換

2.2 画像のディジタル化

2.3 データの冗長性と圧縮

第Ⅳ章 通信とネットワーク

1. ネットワークの誕生と広がり

2. ネットワークアーキテクチャ

2.1 ネットワークプロトコル

2.2 IP アドレスとパケット

2.3 TCP/IP

2.4 グローバルIP アドレスとプライベートIP アドレス

2.5 LAN の構築に使用される機器

3. インターネット

3.1 インターネットの歴史

3.2 ドメイン

3.3 インターネットの利用

3.4 無線LAN とネットワーク

4. セキュリティ

4.1 不正プログラム

4.2 ネットワークセキュリティ

4.3 ネットワーク犯罪

4.4 暗号化と電子署名,電子認証

第Ⅴ章 医療とコンピュータ

1. 医療とコンピュータ技術

1.1 医療におけるヒューマンインタフェース設計

1.2 医療機器とコンピュータ

1.3 感覚機能と運動機能の補助

2. 医療情報システムと情報ネットワーク

2.1 医療情報システムの役割

2.2 医療情報システムの構成

2.3 医療情報の取り扱い

2.4 医療情報の研究への利用と倫理規範


参考文献-さらに詳しく知りたい読者のために

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書籍情報

  • ISBN:9784059127529
  • ページ数:168頁
  • 書籍発行日:2009年12月
  • 電子版発売日:2018年7月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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