エラストグラフィ徹底解説

  • ページ数 : 208頁
  • 書籍発行日 : 2011年3月
  • 電子版発売日 : 2014年10月24日
¥4,505(税込)
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商品情報

内容

エラストグラフィの基本原理から臨床例までわかりやすく解説!

「硬さ」を画像化するエラストグラフィの基本原理を臨床例を交えてわかりやすく解説。超音波エラストグラフィ、MRエラストグラフィ、トランジエント・エラストグラフィ等が解説されているので、手元に必ず欲しい一冊です。

序文

「かたい」は誰でも自ら実感している概念であり,簡単に定義できそうですが,実は意外と難しいのです.漢字に当てはめると,「硬い」,「堅い」,「固い」になりますが,それぞれ微妙に異なった意味合いを持っています.辞書によればそれぞれの反対語は,「硬い⇔軟らかい」,「堅い⇔脆(もろ)い」,「固い⇔緩(ゆる)い」となっていて,触診で感じる「かたさ」は「硬さ」と記すのが適切なようです.つまり,手で押したときに簡単に凹むか,なかなか凹まないかということですね.

本書は,エラストグラフィの基本原理を臨床例を交えて解説したものです.基本的な診察法である触診においては,臓器や病変の形,大きさとともに「硬さ」が最も重要な指標になります.形と大きさは超音波断層,CT(コンピュータ断層撮影),MRI(磁気共鳴イメージング)などにより3 次元像としてmmの空間分解能で描出されますが,「硬さ」に関する情報はまったく得られませんでした.この生体各部位における「硬さ」を画像化する方法がエラストグラフィ(elastography)で,超音波あるいはMRI を利用したエラストグラフィが最近になって実用化され,臨床の場に供されるようになりました.とはいえ,まだまだ臨床医学分野での普及は遅れているとともに,さまざまな課題も山積しています.このような状況での本書の出版を快く承知された学研メディカル秀潤社の須摩春樹社長と編集の労をとられた原田顕子氏に深謝する次第です.超音波エラストグラフィは山梨大学医学部附属病院検査部 福島喜美代氏ならびに第1外科 井上慎吾氏,トランジエント・エラストグラフィは肝疾患センター 坂本穣氏,MR エラストグラフィは放射線部 熊谷博司氏,池永聰氏ならびに放射線科 本杉宇太郎氏,超音波は小林医院(甲府市)の中岡哲明氏に画像を提供していただきました.この場を借りて御礼申し上げます.

ところで,MRI を利用した測定技術に拡散MRI があります.これは組織における水分子の拡散係数(D)を測定する方法で,すでに広く臨床に利用されています.この拡散MRI と組織の硬さ(弾性率)を測定するMR エラストグラフィにはあまり関係がないように見えますが,実は共通点の多い類似した技術なのです(表).もちろんまったく異なった現象なので,その基礎になる法則(フィックの法則 vs フックの法則)や運動方程式(拡散方程式 vs 波動方程式)は異なりますが,類似しています.さらに両者ともに水分子の変位を(専用の磁場傾斜を印加することによって)位相シフトに変換して測定するという共通点を持っています.そういえばフィックとフックも似ていますね.拡散MRI に興味のある方は拙書『拡散MRI ─ブラウン運動,拡散テンソルからq 空間へ─』(学研メディカル秀潤社,2006)をご覧ください.


2011年2月

氷点下の朝,膨らみはじめたモクレンの蕾を前に

荒木 力

目次

第1章 エラストグラフィ

1-1) 硬さの指標

1-2) エラストグラフィの基本原理

1-3) エラストグラフィの分類

1-4) 超音波を外力として使えないのか?

第2章 変位,歪み,応力と弾性率

2-1) 弾性率と弾性コンプライアンス

2-2) 応力

2-3) 弾性率

2-4) 歪みテンソル

2-5) 応力テンソル

2-6) 弾性率テンソルとラメの定数

2-7) 波動方程式へ

2-8) 生体と流体の弾性率

第3章 波動

3-1) 弾性波

3-2) 縦波と横波

3-3) 波動方程式

3-4) 波動方程式の解が波動関数

3-5) エラストグラフィと波動方程式の解

3-6) もうひとつの波動方程式?

3-7) 正余弦波の場合

第4章 超音波検査

4-1) 超音波って何?

4-2) 超音波検査の原理

4-3) モード

4-4) ドプラ法

4-5) 超音波の生体傷害

第5章 静的エラストグラフィ

5-1) 歪みf11

5-2) 弾性率を計測できない

5-3) 「硬さ」の代役としてのf11

5-4) より正確に歪みを計測する

5-5) 弾性率にこだわる

5-6) 硬さの指標としての歪みと弾性率

5-7) 乳房超音波エラストグラフィ

5-8) 乳房以外の超音波静的エラストグラフィ

第6章 動的エラストグラフィ

6-1) 弾性波の速度から弾性率を算出

6-2) 生体は完全弾性体ではない

6-3) 動的エラストグラフィの新しい展開

6-4) 静的と動的エラストグラフィの特徴

第7章 トランジエント・エラストグラフィ(transient elastography)

7-1) transient

7-2) 加振装置・トランスデューサー一体型プローブ

7-3) 1D

7-4) 2D

7-6) プローブ振動の補正

7-7) 縦波のずり弾性波?

第8章 ARFI イメージング

8-1) ARFI って何?

8-2) 圧力ビームと追跡ビーム

8-3) 変位測定

8-4) 弾性率算出法

8-5) ARFI イメージングの特徴

8-6) 臨床応用

第9章 MRI

9-1) 静磁場

9-2) RF

9-3) MR 信号

9-4) 傾斜磁場

9-5) 位相折り返し

9-6) 位相画像と強度画像

第10章 MR エラストグラフィ

10-1) MRE の過程

10-2) 外部振動

10-3) 変位エンコード傾斜磁場

10-4) 外部振動とMSG の同期

10-5) 弾性波の波長から速度,弾性率へ

10-6) MRE のPSD

10-7) MRE の感度

10-8) n 算出法

10-9) 組織の異方性,均一性,粘性率

10-10) MRE による肝線維化診断

10-11)MRE の臨床応用

第11章 静的MR エラストグラフィ

Appendix

1 スカラー,ベクトル,テンソル

2 周波数,周期,波数,波長

3 d,grad ,div ,rot

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書籍情報

  • ISBN:9784059110156
  • ページ数:208頁
  • 書籍発行日:2011年3月
  • 電子版発売日:2014年10月24日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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