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- 聖路加国際病院内科チーフレジデント
- カンファレンスで学ぶ 診断力向上の「極意」
商品情報
内容
・百戦錬磨の達人が診断ノウハウを直伝!
・病歴と身体所見でここまでわかる!
・一流の極意をあますことなく伝授!
電子書籍版では収録動画を本文からのリンク再生で簡単に閲覧が可能に、迫力あるディスカッションを収めた動画は必見です。
序文
NPO法人日本医療教育プログラム推進機構(JAMEP)が開催している「総合医スキルアップセミナー」で2009年1月から2010年3月まで行われたケースカンファレンスを収録したのが本書である。
同セミナーはこれまでにないユニークなものであり、3つの点に集約される。まずこのセミナーは、「総合医の総合医による総合医のためのセミナー」であり、さまざまなトピックのセッションを担当する講師陣は、原則として臨床現場で活躍中の総合医から選抜した。これにより総合医の視点からのさまざまな臨床問題解決法が提供され、総合医の診療現場で直ちに役立つ実践的な内容のセッションからなるカリキュラムを構築できたと考える。
2点目として、症候別カリキュラムを中心した内容となっていることが挙げられる。すなわち、疾患別・臓器別各論ではなく、「症候論」から考えるアプローチを常に意識させることにより、全人医療を実践することを学ぶことが可能となった。
ユニークなポイントの3点目は、毎回のセミナーに合わせて実施されてきた「ケースカンファレンス」である。セミナーで毎回ケースカンファレンスを行うというのはこれまでにない企画であったが、これがとくに評判が良かった。成人学習理論でも、ケース・スタディーが最重要視されているが、臨床医学を学ぶことは医師の生涯にわたりさまざまなケースから学習していくことが必須である。毎回のケースカンファレンスにより、実践的知識としての症例へのアプローチ法を提供していくことが可能となった。
ほとんどの症例は、西崎祐史氏(現・順天堂大学循環器内科)をはじめとする聖路加国際病院内科チーフレジデント厳選の症例を提示いただいた。毎回ケースの病歴聴取では、症例に含まれている重要な臨床情報を、review of systems(ROS)によりきちんと整理したかたちで紹介され、problem oriented system(POS)に忠実に従うアプローチ法が徹底された。バイタルサインのデータが、予想される病態に矛盾していないかどうか吟味され、バイタルサインの重要性も常に意識しながら進められた。臨床現場では、病歴と身体所見から鑑別診断を立てた上で、必要な検査のみを実施することが望まれる。プロブレムリストの作成を通して、アセスメントとプランを行う訓練を徹底させた。「何のためにこの検査をオーダーするのか」という視点を強く盛り込んだ内容となった。すなわち、すべてのアセスメントにはプランが必要であり、すべてのプランにはアセスメントが前提であるという鉄則を貫いた。
宮城征四郎先生が講師として登場されるケースでは、「事前の打ち合わせは一切なし」というぶっつけ本番でなされ、カンファレンスの会場では緊迫感が充満し、我々主催者側も最も注目する場面となっていた。
総合医スキルアップセミナーの名物となったケースカンファレンスではあるが、このたび日経5BP社のご尽力で、書籍として出版されることになった。本書にはDVDが付加され、このケースカンファレンスに読者が臨場体験できることもうれしい限りである。総合医を目指す全国の医師が、総合医による診断と治療までのプロセスを楽しみながら学ぶことの重要性を再認識し、「クリニカル・パール」を得ることができれば、このセミナーを主宰するものとしてこの上ない幸いである。
最後に、セミナーの企画立案から実施すべてをマネージメントされた日本医療教育プログラム推進機構の浅倉威氏と、カリキュラム構成のアドバイスをくださったハワイ大学Joshua Jacobs氏、ケースカンファレンスを精力的にリードされた宮城征四郎先生をはじめとする諸先生方と、聖路加国際病院チーフレジデントのみなさんへ、深く御礼を申し上げたいと思う。
2010年 9月吉日
筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター総合診療科
徳田 安春
目次
監修講師症例提示者一覧
発刊に寄せて
序文
第1章 Review of systemsとバイタルサインから鑑別疾患を考える
●CASE1 71歳男性。主訴:労作時呼吸苦
5カ月前から14kgの体重減少と嚥下困難。精査するも原因は特定できず。
●COLUMN バイタルサインの読み方
●CASE2 50歳男性。主訴:発熱、咳嗽
聴診でcrakleがないのにSpO2が94%。鑑別すべき疾患は?
●COLUMN 回診時の指導医の心得
●CASE3 56歳男性。主訴:発熱、水様性下痢
来院の10日前までインドに3週間滞在。生野菜や氷を食していた。
●COLUMN カンファレンスにおける症例提示者と進行係の心得
●CASE4 59歳男性。主訴:3週間前からの微熱
ROSで浮かび上がった肋膜痛から打診を試みると...。
第2章 多様な主訴からプロブレムリスト、鑑別疾患を整理する
●CASE5 31歳男性。主訴:吐き気嘔吐。水様性下痢、心窩部痛
肝叩打痛と脾腫あり、感染症や肝疾患が疑われた。
●CASE6 21歳女性。主訴:下肢のむくみ、疼痛
心雑音、1日3~4回の下痢をどう解釈する?
●CASE7 43歳男性。主訴:多発性関節痛
Sexal activeな男性の腱付着部炎を診たら。
●CASE8 35歳男性。主訴:左下腿浮腫
浮腫は片側性でDVT疑うも、長時間の搭乗や脱水などのエピソードはなし。
第3章 ありふれた主訴から可能性の高い疾患を絞り込むプロセスを学ぶ
●CASE9 78歳男性。主訴:意識障害、体重減少
浮かび上がった高カルシウム血症の背景にある疾患。
第4章 疾患の背景まで診る家庭医を目指して(
●CASE10 30歳女性。主訴:発熱、全身倦怠感
非特異的なプロブレムリスト。収縮期血圧の左右差がカギに。
●CASE11 77歳男性。慢性腎臓病管理目的
必要な情報を集め、プロブレムリストを作成せよ。
●CASE12 7歳男児。水痘
小児科診療で必要なマネージメント力を考える。
あとがき
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書籍情報
- ISBN:9784822261320
- ページ数:202頁
- 書籍発行日:2010年10月
- 電子版発売日:2012年4月7日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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