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- 竹内 賢吾
- リンパ腫アトラス 第5版
商品情報
内容
WHO分類第4版改訂版(2017)をベースに,近年進歩が著しい免疫組織化学・分子遺伝学的所見を含め,最新の知見を盛り込んだ.また,WHO分類が対象としていない反応性・境界領域病変も取り上げている.旧版同様,精選された組織・細胞写真は,他書にはみない大きさで多数掲載.初学者,専門家を問わず,病理医・リンパ腫診療に携わる医師,必携の書.
序文
序
このたび,関係各位のご尽力のもとに,本書,『リンパ腫アトラス 第5版』を刊行するはこびとなりました.『リンパ腫アトラス』は1981年に文光堂から初版『新分類による悪性リンパ腫アトラス』が発行され,シリーズとして常に各時代の最新の知見を網羅することに意が用いられてまいりました.時代を越えてリンパ腫診断・治療・研究に携わる,また志す方にとって常に座右の書として用いられたものと存じます.本書は,『新分類による悪性リンパ腫アトラス』(小島 瑞,飯島宗一,花岡正男,須知泰山 編,1981年),『新・悪性リンパ腫アトラス』(須知泰山,菊池昌弘 編,2000年),『最新・悪性リンパ腫アトラス』(菊池昌弘,森 茂郎 編,2004年),『リンパ腫アトラス改訂・改題第4版』(森 茂郎 監修,2014年)に続くものとして,小生,大島孝一,竹内賢吾,田丸淳一,中村直哉,吉野 正により基本的な構想が練られ,編纂されました.シリーズとしての一貫性を示すために『リンパ腫アトラス 第5版』という表題にいたしましたが,その基盤を2017年に刊行された『WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues 4thEdition Revised』に置くものでありますことを読者諸氏には留意をお願い申し上げます.
リンパ腫分類は疾病の発見と病理医による科学的な定義をモチーフとするものといえます.誰にも理解しえる,同時に精緻な記載が必要とされるゆえんでもあります.また,WHO分類は悪性腫瘍を対象としており,リンパ腫以外の鑑別が問題となる反応性,あるいは境界領域病変は必ずしも十分な記載がなされておりません.本書は,日々の業務において遭遇するであろう,それらリンパ腫以外の増殖性疾患の記載にも意を用いました.若い読者諸氏には,本書を精読されることによりリンパ腫病理理解への道が拓けますことを願っております.また既にスペシャリストとしての経験と地歩をお持ちの方々には知識をリニューアルする,あるいは確認する実用の書としてご利用いただけることを期待しております.
今,医学・生物学の急速な進歩と展開は,誰の目にも明らかなものであります.リンパ腫診断につきましては,従来の病理学的手法を超えて多様なオミクスomics解析と生物統計学的手法による知見の深化が常に図られています.さらに治療面では,免疫チェックポイントをターゲットとする抗体医薬,分子標的薬などの大幅な応用展開による劇的な変化が,最早,現実のものとなりつつあります.これとともに従来の予後因子から治療反応性予測因子への急速な関心の高まりなど,まさに今,私たちはリンパ網内系研究を巡る時代の転換点にあるといえます.このような時代であればこそ,本書のごとく啓蒙,実用の書を適切にアップデートし,未来につなげることの重要性はいうまでもなきことと存じます.
本書の編集の実務においては,竹内賢吾の貢献が大なるものでありましたことを特筆させていただきます.また著者として名を連ねた方々をはじめ,リンパ腫研究に常にご尽力,ご協力を賜りました諸賢の方々に深く感謝の思いを表させていただきます.稿を終えるにあたり,本シリーズの継続に多大な足跡を残されました須知泰山先生,菊池昌弘先生をはじめ先人の霊に祈ることを許されますよう.
平成30年8月27日
編集者を代表して
名古屋大学大学院医学系研究科臓器病態診断学
中村 栄男
目次
総論
1 リンパ腫分類の進化
2 リンパ組織の形態と機能
3 免疫組織化学(immunohistochemistry:IHC)とin
4 フローサイトメトリー
5 分子生物学
6 リンパ節ならびに節外臓器の取り扱いかた
7 リンパ腫の臨床
8 リンパ腫の疫学
9 リンパ腫のゲノム異常
各論
Ⅰ 前駆リンパ系腫瘍
1 Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫・非特定型
2 複数例でみられる遺伝子異常を伴うB リンパ芽球性白血病/ リンパ腫
3 Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫
4 NKリンパ芽球性白血病/リンパ腫
Ⅱ 成熟B細胞腫瘍
1 慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫
2 B細胞前リンパ球性白血病
3 脾辺縁帯リンパ腫
4 有毛細胞白血病
5 脾B細胞リンパ腫/白血病・分類不能群
6 リンパ形質細胞性リンパ腫
7 IgM型意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症
8 重鎖病
9 形質細胞腫瘍
10 粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)
11 節性辺縁帯リンパ腫
12 濾胞性リンパ腫
13 小児型濾胞性リンパ腫
14 IRF4再構成を伴う大細胞型B細胞リンパ腫
15 原発性皮膚濾胞中心リンパ腫
16 マントル細胞リンパ腫
17 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫・非特定型
18 T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫
19 原発性中枢神経系びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
20 原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫・下肢型
21 EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫・非特定型
22 EBV陽性粘膜皮膚潰瘍
23 慢性炎症関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
24 リンパ腫様肉芽腫症
25 原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫
26 血管内大細胞型B細胞リンパ腫
27 ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫
28 形質芽球性リンパ腫
29 原発性体腔液リンパ腫
30 HHV8関連リンパ増殖異常症
31 バーキットリンパ腫(11q異常を伴うバーキット様リンパ腫を含む)
32 高悪性度B細胞リンパ腫
33 びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫の中間的特徴を伴うB細胞リンパ腫・分類不能型
Ⅲ 成熟TおよびNK細胞腫瘍
1 T細胞前リンパ球性白血病
2 T細胞大型顆粒リンパ球性白血病
3 慢性NK細胞リンパ増殖異常症
4 急速進行性NK細胞白血病
5 小児EBV陽性T細胞およびNK細胞リンパ増殖性疾患
6 成人T細胞白血病/
7 節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型
8 腸T細胞リンパ腫
9 肝脾T細胞リンパ腫
10 皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫
11 菌状息肉症
12 セザリー症候群
13 原発性皮膚CD30陽性T細胞リンパ増殖異常症
14 原発性皮膚末梢性T細胞リンパ腫・稀少病型
15 末梢性T細胞リンパ腫・非特定型
16 血管免疫芽球性T 細胞リンパ腫および他のT 濾胞ヘルパー細胞起源節性リンパ腫
17 未分化大細胞型リンパ腫・ALK陽性型
18 未分化大細胞型リンパ腫・ALK陰性型
19 乳房インプラント関連未分化大細胞リンパ腫
Ⅳ ホジキンリンパ腫
1 結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫
2 古典的ホジキンリンパ腫
Ⅴ 免疫不全関連リンパ増殖異常症
1 原発性免疫異常症に伴うリンパ増殖異常症
2 HIV感染に伴うリンパ腫
3 移植後リンパ増殖異常症
4 その他の医原性免疫不全関連リンパ増殖異常症
Ⅵ 組織球性および樹状細胞腫瘍
1 組織球性肉腫
2 ランゲルハンス細胞由来腫瘍
3 不確定樹状細胞腫瘍
4 指状嵌入樹状細胞肉腫
5 濾胞樹状細胞肉腫
6 線維芽細胞性細網細胞腫瘍
7 播種性若年性黄色肉芽腫
8 エルドハイム・チェスター病
Ⅶ 境界病変ならびにリンパ腫と鑑別を要する疾患
A 境界病変
1 自己免疫疾患におけるリンパ節症
2 キャッスルマン病,TAFRO症候群,IgG4関連疾患
3 胚中心進展性異形成
4 炎症性偽腫瘍
5 Rosai―Dorfman
6 リンパ腫様胃症/NK細胞腸症
B 反応性病変
1 皮膚病性リンパ節症
2 薬剤性リンパ節症
3 組織球性壊死性リンパ節炎(菊池病)
4 木村病
5 川崎病
C 感染症
1 細菌・真菌性ならびに原虫性リンパ節疾患,およびサルコイドーシス
2 ウイルス性リンパ節炎 ①伝染性単核症
3 ウイルス性リンパ節炎 ②その他のウイルス感染症
D その他の腫瘍
1 骨髄性肉腫
2 肥満細胞症(肥満細胞腫瘍)
3 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍
4 リンパ腫の鑑別対象となる固形腫瘍
コラム1 low grade B―cell lymphoma,unclassifiable
コラム2 異型リンパ過形成 atypical lymphoid hyperplasia
診断に有用なパラフィン切片に使用可能な主な抗体
本文中で用いられている主な略語
文献
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書籍情報
- ISBN:9784830604799
- ページ数:464頁
- 書籍発行日:2018年10月
- 電子版発売日:2018年12月26日
- 判:B5変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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