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- 井川 房夫
- 内頚動脈瘤(ICA Aneurysm)のすべて―近位部(cavernous-paraclinoid) [動画付き]
商品情報
内容
中大脳動脈瘤の手術・治療を経験したあとに実施することが多い内頚動脈瘤に焦点を当てた専門書。本巻では近位部(IC cavernous、IC paraclinoid〔Oph、SHA)、IC anterior wall等)について解説。実際に手術に参加しているような感覚で学ぶことが出来ます。
> 内頚動脈瘤(ICA Aneurysm)のすべて―遠位部(supraclinoid)
序文
監修のことば
今回,先行して発刊された中大脳動脈瘤に続いて,内頚動脈瘤の手術書が発刊されることとなった.井川房夫先生の編集方針に賛同してくれた新進気鋭の術者らの力で完成した本書は,Webによる動画が参照できる点でも,意欲的な新しい企画が盛り込まれている.
当然のことながら,一口に内頚動脈瘤の患者と言っても,一人ひとりすべて異なる.内頚動脈瘤という分類も,治療者側の視点からの「意味」しかない.改めて,顕微鏡をのぞくとき,そこに見える視界に何を見るかは,解剖学的な意味や外科治療の意味がわからなければ,単なる一つの視野,いや,景色にすぎない.そこに「意味」を見いだすとすれば,治療の明確なゴールが意識されて,はじめて,「見える」ものがある.視野が単に脳に投影されることと,その視界の意味を治療者としての視点から解釈することは,まったく別のものである.顕微鏡下に広がる3次元の風景が「景色」から「視界」に変わり,さらに,意味をもった「視野」に変わるためには,系統立った先達の知識の集積が必要である.
本書は,こうした術者の成長を容易にし,加速するものである.それは,血管撮影などの検査所見を見る場合も同様である.血管内外科治療などでは,血管撮影の理解力と治療の予測は,治療の成否を決定するものでもある.その理解のうえに,はじめて,正しい治療が生まれる.
治療の最適化,tailor-madeという点では,内頚動脈瘤は中大脳動脈瘤以上に症例ごとの差異が大きく,適切な分類が必要である.ただ,その分類が必要以上に過剰になると,複雑化が初心者の理解を阻害し,混乱を招くことも事実である.その意味で,本書では,近位部,遠位部という技術的な側面から大きな分類をすることにより,無用な用語の混乱による学習者の意欲を妨げない点でも特筆すべきものである.
中大脳動脈瘤の治療に引き続いて出版された本書は,さらにグレードアップした視覚化が行われ,説明も洗練されたものになっている.言うまでもないことであるが,治療成績が格段に向上した現在,動脈瘤の治療は容易ではない.特に内頚動脈瘤の治療では,合併症も頻度が高く,かつ,重大なものが多い.内頚動脈治療では,万全な座学と少しでも多い臨床経験が要求される.本書は,座学の素材としても優れたものであるが,同時に,編者の井川房夫先生が述べておられるように,実際に手術に参加している錯覚を覚えさえするような工夫がなされている.両書が,脳動脈瘤治療を安全・確実に行うために,少しでも多くの読者の目に触れることを期待する.
宝金清博
刊行にあたって
2014年3月,多くの方々のご協力のもと『中大脳動脈瘤のすべて』を発刊することができました.ご協力いただいた先生方には感謝申し上げるとともに,これからの手術・IVRを目指す先生方には,ぜひ,術前シミュレーションの仕方や,注意点,ピットフォールなど学んでいただけましたら幸いです.
今回は第二弾として,『内頚動脈瘤のすべて』を発刊させていただく運びとなりました.ただし,内頚動脈には多くの重要な分枝血管,周囲の重要脳神経,頭蓋底構造物があり,とても一冊にまとめることは困難であるとの結論から二分冊にせざるを得なくなりました.おかげさまで,細部まで網羅することができた充実した内容になったと自負しております.紙面量のバランスを考慮し,近位部(cavernousparaclinoidportion)はIC cavernous,IC paraclinoid(Oph,SHA),IC anteriorwall動脈瘤の手術・IVRを網羅し,遠位部(supraclinoid portion)はIC-PC,truePcom,IC-AChA,IC top(IC terminal)動脈瘤の手術・IVRを網羅することとなりました.
脳神経外科の手術をうまくこなす能力の一つに,3D画像再構成能力があります.これは,2次元画像から頭の中で解剖を構築し,あたかも透視して見えるかのように頭の中に術野が展開できる能力です.何のトレーニングも受けずに,生まれもってこの能力をもった脳神経外科医もいますが,多くはありません.かつては計り知れない努力と経験により自身の右脳に術野を作り上げてきましたが,本書を利用することによりその努力が10~20%で済むことを目指しております.
近位部内頚動脈瘤の手術では必然的に頭蓋底アプローチが必要となりますが,どんなエキスパートである術者もまったく初めてのアプローチを経験してきています.頭蓋底アプローチは動脈瘤のみならず,脳腫瘍にも応用範囲が広く,会得するメリットは大きいと思われます.本書には術前シミュレーションと手術動画という教材がありますので,ぜひ活用してください.一方,近位部内頚動脈瘤はIVRの最も得意とする領域の一つで,本書でさまざまなタイプ別のポイントを学び,経験値を上げていただきたいと思います.
執筆をお願いした先生方は,日本の第一線でご活躍している先生ばかりで,超ご多忙にもかかわらず,充実した内容に仕上げてくださり,この場を借りて厚く御礼申し上げます.
本書は,豊富な図・写真とインターネットを利用した術前シミュレーション動画,手術・IVR動画を含み,ネット環境さえあればどこでも動画を見ることができます.これから手術・IVRにあたられる先生方の右脳に働き,お役に立てると確信しております.ひいてはできるだけ多くの患者様のお役に立てることができましたら幸いです.
井川房夫
目次
監修のことば
刊行にあたって
執筆者一覧
WEB動画の視聴方法
本書における略語一覧
1章 内頚動脈瘤概論
1 内頚動脈瘤の分類
2 内頚動脈(近位部)の解剖
3 内頚動脈の画像診断とシミュレーション
4 内頚動脈瘤の疫学と特徴
A 破裂
B 未破裂
2章 内頚動脈瘤の手術
1 術前検査と術前シミュレーションによる戦略のポイント
2 手術アプローチと頭蓋底アプローチ
3 内頚動脈瘤の特徴と手術
A IC paraclinoid(IC-Oph,IC-SHA)
B IC anterior wall(クリッピング)
C IC anterior wall(bypass併用)
4 内頚動脈瘤の術中モニタリング
A VEPモニタリング
B 術中蛍光脳血管撮影
3章 内頚動脈瘤のIVR
1 術前検査と術前シミュレーションのポイント
2 脳血管内治療の実際
4章 シミュレーションと手術・IVRの実際
1 シミュレーションと手術の実際
A IC cavernous大型,巨大(1)
A IC cavernous大型,巨大(2)
B IC paraclinoid上方向き(1)
B IC paraclinoid上方向き(2)
C IC paraclinoid下内側向き(1)
C IC paraclinoid下内側向き(2)
D IC anterior wall(血豆状)(1)
D IC anterior wall(血豆状)(2)
E IC anterior wall(非血豆状)(1)
E IC anterior wall(非血豆状)(2)
F Pcomより中枢側の巨大ICA動脈瘤
2 シミュレーションとIVRの実際
A IC cavernous大型,巨大(1)
A IC cavernous大型,巨大(2)
B IC paraclinoid上方向き(Oph)(1)
B IC paraclinoid上方向き(Oph)(2)
C IC paraclinoid下内側向き(SHA)(1)
C IC paraclinoid下内側向き(SHA)(2)
D IC anterior wall(血豆状・非血豆状)
E paraclinoid巨大瘤
5章 応用編
1 内頚動脈瘤のトラブルシューティング
A 手術時のトラブルシューティング
B IVRのトラブルシューティング
2 巨大内頚動脈瘤の手術・IVR
A suction decompression
B high flow bypass
3 IVRと手術のハイブリッド治療
おわりにあたって
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書籍情報
- ISBN:9784840453332
- ページ数:272頁
- 書籍発行日:2015年3月
- 電子版発売日:2017年10月20日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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