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- 画像診断別冊 KEY BOOKシリーズ 新版 すぐ身につく胸部CT
商品情報
内容
※内容の一部に、電子版では非掲載の画像がございます。予めご了承ください。
序文
第1版の序
本書は,胸部CT 診断の初学者を主な対象として企画された.日常の臨床におけるレジデントのトレーニングは,日々の症例を指導医のもとに読影し,それに関する教科書の記載や文献を読み知識を蓄えることであろう.本書は既刊のKEY BOOK シリーズ同様に,代表的な疾患,重要な疾患について一例ごとにCT 像や関連画像が提示され,それについての解説と臨床的要点が説明されている.また,精選された文献も追加されており,これらの点で日常のトレーニングにもっとも近い体裁をとっている.読者は,本書をはじめから通読してもかまわないし,第II 部の疾患編から読みはじめて必要に応じて第I 部の正常編を参照してもよい.特に初学者が困惑するのは,肺野の詳細な血管解剖の理解であり,胸部X線診断に対するアレルギーの原因になっているが,これらの詳細な解剖学的事項は胸部CT診断にある程度慣れてから必要に応じて参照すればよい.
編者がX線診断のトレーニングを受けはじめた頃は,まだ胸部X線診断の中心は単純撮影や断層撮影,気管支造影であり,胸部X線診断では長年の経験に頼る名人芸的読影がみられた.しかし,CTやMRの進歩により胸部の診断においても病理像を比較的よく反映した画像が得られるようになり,経験やカンに頼る読影ではなく病理形態学や病態生理学的知識に裏付けられた論理的な読影がいくぶんなりとも可能になりつつある.これらの背景には,肺結節陰影やびまん性肺疾患の診断においては高分解能CTの進歩が,縦隔腫瘍に関してはMRの進歩が大きな役割を果たしていると思われる.執筆者の先生方には,画像と画像の背後にある病理形態学を中心とした知識を初学者にわかりやすく論理的に記述していただくようにお願いした.本書は胸部CT診断の入門書であるが,放射線診断に携わる多くの方がCTを中心にする胸部X線診断に興味を持っていただけるきっかけとなれば,編者の大きな喜びである.
1996年9月
酒井 文和
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新版の序
本書の旧版が上梓されてから約6 年が経過した.この間に,CT のハードウエアや撮影技術の進歩は著しく,また新たに提唱された疾患概念も多く,びまん性肺疾患や肺癌を中心に病理分類なども変更されたところが目立つ.CTの進歩では,そのハードウエアの面ではマルチスライスCTの登場とその普及があげられよう.マルチスライスCTの普及によりCTの実質的時間分解能は大きく短縮し,また画質も改善している.特に3D画像の元画像として広い範囲にわたってmisregistration のない画像が得られる利点は大きいと思われる.CTのソフトウエアに関しては3 次元表示法の改良が目立つ.3 次元表示によりCT の情報量は増えないが,病変の位置関係などを一枚の画像で示しうるなど利点も多い.我々放射線科医は本当に有用なものであればその利点を生かすような利用法を考えるべきであろう.
びまん性肺疾患に関して言えば間質性肺炎の疾患概念が変遷し続けており,用語やその分類の点でややわかりにくいものとなっている.肺癌のWHO分類にも改訂が加えられ,早期肺腺癌については,画像による集団検診の問題や進行肺癌との関連などの問題が大きく取り上げられるようになった.この他の領域においてもいくつかの疾患概念や病理分類の改訂などが行われ,旧版における記載がやや時代遅れとなったことは否めない.
そこで新版においては,総論でCT の撮影技術や表示法に関してマルチスライスCT や3次元表示法を中心に解説を追加した.またびまん性肺疾患においては,特発性間質性肺炎の新たな定義と分類に基づき,全面的な改訂をおこなった.これらの追加,改訂により最近のCTの技術的進歩と,びまん性肺疾患や早期肺癌を中心とする現時点での最新の知識は網羅したつもりである.執筆者は旧版の執筆者を中心に,現在,臨床の第一線で診療や教育,研究にあたっておられる方々にお願いした.もし記載の統一性を欠いたり不十分な記載があれば,それはひとえに編者の能力の不足によるものであることを明記しておきたい.
新版においては最新の知識をカバーすることを第1の目的としたが,初学者にも読みやすい本書の体裁や丁寧な記述は旧版と全く変わっておらず,従来通り症例編からでも総論からでも読み始められるように工夫してある.またはじめから通読されれば,新しい撮影技術や疾患概念も含めて,知識の再整理が可能なように項目を配列したつもりである.本書により,胸部画像診断は取りつきにくいと思われている放射線診断医が胸部画像診断にいくらかでも興味を持っていただければ,編者の望外の喜びである.文末ではあるが,本書の出版にあたり怠惰な編者をよくサポートいただいた秀潤社の原田顕子嬢に深謝する.
2002年3月
酒井 文和
目次
Ⅰ 正常編
1 胸部CT検査法
胸部疾患のCT 診断に必要な基礎知識/ 検査のポイント/ 造影CT の適応と方法
画像表示の方法
2 胸部のCT解剖と正常像
縦隔のCT 解剖
胸郭入口部のCT 解剖
胸壁,横隔膜のCT 解剖
肺野のCT 解剖
肺末梢の構造
Ⅱ 疾患編
1 縦隔疾患
検査法のポイント/ 読影上の留意点
浸潤性胸腺腫(1)
非浸潤性胸腺腫
浸潤性胸腺腫(2)
胸腺癌
嚢胞性変化の著明な胸腺腫
胸腺腫胸膜播種
奇形腫
嚢胞性奇形腫(デルモイド)
悪性胚細胞腫瘍
胸郭内甲状腺腫
胸腺嚢胞
気管支原性嚢胞
悪性リンパ腫
Castleman リンパ腫
中縦隔胸郭内甲状腺腫
神経原性腫瘍
脊柱管内進展を伴う神経原性腫瘍(神経線維腫)
胸郭入口部神経原性腫瘍
縦隔脂肪腫症,横隔膜ヘルニア
縦隔リンパ節腫大(サルコイドーシス)
縦隔気腫
2 びまん性肺疾患
びまん性肺疾患の診断/高分解能CT 読影の基礎と用語
びまん性肺疾患における異常陰影の性状
●びまん性間質性肺疾患
特発性肺線維症
非特異性間質性肺炎
リンパ性間質性肺炎
剥脱性間質性肺炎
急性間質性肺炎
COP
膠原病肺(1)慢性関節リウマチ
膠原病肺(2)多発筋炎 / 皮膚筋炎(polymyositis / dermatomyositis:PM/DM),その他
びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症
アミオダロン肺/薬剤誘起性間質性肺炎
サルコイドーシス
Wegener 肉芽腫症
肺好酸球性肉芽腫症(ランゲルハンス細胞組織球症)
過敏性肺臓炎(1)
肺胞蛋白症
上葉限局型肺線維症
●慢性閉塞性肺疾患
慢性肺気腫──軽症例
慢性肺気腫──重症例
慢性気管支炎
DPB(びまん性汎細気管支炎)
気管支拡張症
原発性線毛機能不全症 (Kartagener 症候群)
●肺アレルギー性疾患
Löfler 症候群(単純性肺好酸球症,PIE 症候群)
慢性好酸球性肺炎
薬剤性肺好酸球症
過敏性肺臓炎(2)
●じん肺症
珪肺──軽症のサンドブラスト肺
珪肺──重症の石工肺
炭鉱夫肺
石綿肺(アスベストーシス)(1)
3 感染症・無気肺
検査法のポイント/ 読影上の留意点
細菌感染と肺膿瘍
サイトメガロウイルス肺炎
水痘肺炎
マイコプラズマ肺炎
真菌感染
カリニ原虫感染
結核症
非結核性抗酸菌症
閉塞性無気肺
円形無気肺
4 肺腫瘍
検査法のポイント/ 読影上の留意点
●原発性肺野型肺癌
パンコースト型肺癌
胸膜播種
粘表皮癌
扁平上皮癌
細気管支肺胞上皮癌
腺癌(特に最大径2 cm 以下の小さな腺癌)
腺癌(腺房腺癌)
小細胞癌
カルチノイド腫瘍
大細胞癌
●肺門型肺癌
肺門型扁平上皮癌
肺門型小細胞癌
肺門型カルチノイド腫瘍
肺門型扁平上皮癌(粘液栓)
●転移性肺癌
転移性肺癌(空洞)
石灰化した転移性肺癌
癌性リンパ管症
●肺良性腫瘍
肺過誤腫
bronchioloalveolar adenoma (BAA)
形質細胞肉芽腫(炎症性偽腫瘍)
●LIP とリンパ増殖性疾患
悪性リンパ腫
低悪性度non-Hodgkin リンパ腫BALT(ないしMALT B 細胞)リンパ腫(いわゆるリンパ性
間質性肺炎)
低悪性度non-Hodgkin リンパ腫
BALT(ないしMALT B 細胞)リンパ腫(いわゆる偽リンパ腫)
5 胸部大血管
検査法のポイントと読影上の留意点
大動脈解離
大動脈瘤
高安動脈炎
大動脈弓部の奇形
外傷性大動脈損傷
肺高血圧症
肺塞栓と肺梗塞
肺動静脈奇形
6 胸膜胸壁疾患
検査法と読影上のポイント
胸膜線維腫
悪性(びまん性)胸膜中皮腫
転移性胸膜腫瘍
肺癌胸膜播種
膿胸に合併する悪性リンパ腫
石綿肺(アスベストーシス)(2)
結核性膿胸
出血性膿胸
外傷性気胸
多発性肋間神経腫瘍(多発性神経線維腫)
胸壁軟部組織腫瘍
7 小児胸部疾患
検査法のポイント/ 読影上の留意点
肺分画症
先天性嚢胞状腺腫様形成異常
気瘤
結核
気管支閉鎖症
気管支原性嚢胞
気道異物
縦隔奇形腫
神経芽腫
ランゲルハンス細胞組織球症
左肺動脈右肺動脈起始症
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書籍情報
- ISBN:9784059132141
- ページ数:298頁
- 書籍発行日:2004年8月
- 電子版発売日:2014年8月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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