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- 田川 皓一
- 脳出血と高次脳機能障害
商品情報
内容
脳出血における高次脳機能障害の発現機序、臨床で見逃すことのできない症候を、症例の脳画像を多数呈示しながら丁寧に解説。長年脳血管障害患者の診断・治療に携わってきた著者が豊富な臨床経験から脳出血の病態生理をひもときます。
序文
はじめに
高次脳機能障害を論じるときは,その障害を引き起こした基礎疾患を理解しておくことが重要と思います.その観点から,2015年に「画像からみた脳梗塞と神経心理学」1)を刊行しました.常に脳梗塞を意識しながら高次脳機能障害を論じた書物でした.しかし,脳血管障害には虚血性の脳血管障害もあれば,出血性の脳血管障害もあります.主要な出血性疾患は脳出血とくも膜下出血ですが,くも膜下出血は脳神経外科的疾患で脳神経内科の出る幕はありません.一方,脳出血は治療法の選択に外科的手術も考慮する必要がある疾患ではありますが,保存的に治療する場合も多く,脳神経内科でも多くの臨床例を経験します.後遺症として多彩な高次脳機能障害を呈してきますので,リハビリテーションの現場で多くの脳出血患者に接することにもなります.
脳梗塞特有の病態生理を論じるときは,それとはまったく異質である脳出血の病態生理を理解しておくことが重要であるという考えから,前書では,主な対象疾患は脳梗塞であっても,その対照疾患として随所に脳出血の症例を紹介してきました.今回は,常に脳出血を意識した高次脳機能障害学について,論を進めてみたいと思います. 脳梗塞の場合は閉塞血管症候群として,動脈ごとに症候を考えていくという方法をとることができます.しかし,脳出血の病巣部位は,出血源となった動脈を中心に存在するとはいえ,血腫の大きさはまちまちですし,出血の進展方向も同じとは限りません.なにも血管支配にしたがった分布をとるわけではありません.「脳出血と高次脳機能障害」を論じるのには,症例を呈示しながら,臨床の場で考えたことを展開していったほうがよいのではないかと考えました.いわば症例から学ぶ脳出血の高次脳機能障害学と位置づけております.しかし,紙幅の都合もあり,すべての高次脳機能障害を等しく網羅しているわけではありません.印象に残った臨床例を中心に記載することにしました.取り扱っていない領域は,紹介するような症例が存在しなかったのか,私の苦手とするところであったのか,あるいは,あまり重要とは思っていないところであったということになります.臨床の想い出話や,よもやま話が出てきますが,独断と偏見に満ちたものも多々あることをご承知ください.文献の引用についても,新しいものを追い求めたのではありません.優れた論文を網羅するような形式もとっておりませんし,高次脳機能障害の領域で常識として普通に語られている症候や責任病巣について原典を紹介するような形もとっておりません.
本書は,内科系総合雑誌 Modern Physician(モダンフィジシャン,新興医学出版社刊)の37巻4号から,38巻3号まで12回にわたり掲載した「脳出血と高次脳機能障害」を単行本化したものです.単行本化に向け少し体裁を整えさせていただきました.また,一部の内容に加筆や修正を加えました.加筆や修正を加えたということは,先ほど述べました独断や偏見に気づいたことの裏返しでしょうか.本書にも批判的な眼を向けていただけたらと思っております. 用語は,日本神経学会用語集(改訂第3版)2)に準拠しておりますが,高次脳機能障害学や脳卒中学の臨床の場での使用状況などを考慮しております.必ずしも用語集の通りに書き改めたものではありません.用語の使い方というのものには,自分が育ってきた環境が大きく影響してきますので,ひょっとしたら違和感を持たれることもあるかと思いますが,ご容赦ください.
本書では多くの施設の貴重な症例を使用させていただいております.長尾病院や脳神経センター大田記念病院,国立療養所福岡東病院(現 福岡東医療センター),秋田県立脳血管センター,原土井病院,蜂須賀病院,早良病院などで経験した多くの症例を紹介させていただきました.長崎北病院の貴重な症例もお借りしています.また,多くの施設から症例を紹介していただきましたし,画像診断にも協力をお願いいたしました.ご協力いただきました皆様方に感謝いたします.
2018年夏
田川 皓一
目次
はじめに
PartⅠ 総論
Chapter 1 脳出血とは
1 脳出血の概念
2 脳出血の病因
3 脳出血の臨床統計
Chapter 2 高次脳機能障害とは
1 高次脳機能障害と神経心理学
2 高次脳機能障害の背景因子
3 高次脳機能障害の症候学
Chapter 3 脳出血の臨床診断
1 脳出血の臨床像
2 脳出血の画像診断
3 脳出血の臨床病型
Chapter 4 脳出血における高次脳機能障害の発現機序
1 脳梗塞の高次脳機能障害の発現機序を考える
2 脳出血の高次脳機能障害の発現機序を考える
PartⅡ 各論
Chapter 5 被殻出血と高次脳機能障害
1 被殻出血とは
2 被殻出血の臨床
Chapter 6 視床出血と高次脳機能障害
1 視床出血とは
2 視床出血の臨床
3 視床出血と左半球症状
4 視床出血と右半球症状
Chapter 7 尾状核出血と高次脳機能障害
1 尾状核出血例との出会い
2 尾状核の解剖
3 尾状核出血の頻度
4 尾状核出血の分類と臨床症候
Chapter 8 皮質下出血と高次脳機能障害Ⅰ―頭頂葉症候群―
1 皮質下出血とは
2 皮質下出血の頻度と部位
3 皮質下出血の臨床
4 頭頂葉の機能とその障害
5 頭頂葉症候群
Chapter 9 皮質下出血と高次脳機能障害Ⅱ―前頭葉症候群―
1 前頭葉の解剖と機能
2 前頭葉損傷による臨床症候
Chapter 10 皮質下出血と高次脳機能障害Ⅲ―側頭葉皮質下出血と後頭葉皮質下出血―
1 側頭葉の機能とその障害
2 側頭葉症候群
3 後頭葉の機能とその障害
4 後頭葉症候群
Chapter 11 両側性の脳出血と高次脳機能障害
1 再発性の脳出血と神経症候
2 両側被殻出血と高次の聴覚性認知障害―いわゆる皮質聾と聴覚性失認―
3 Bálint症候群
4 アミロイドアンギオパチー
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書籍情報
- ISBN:9784880027807
- ページ数:144頁
- 書籍発行日:2019年1月
- 電子版発売日:2019年3月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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