• ページ数 : 168頁
  • 書籍発行日 : 2019年5月
  • 電子版発売日 : 2019年5月22日
3,850
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商品情報

内容

がん患者が「動けること」がいま 求められている
整形外科医ががん診療における運動器マネジメントのリーダーとなるためのテキスト。

がんに罹患することで運動器にどんな障害が生じるのか,どのように対処するべきなのか,がん診療におけるADL維持とQOL向上に運動器マネジメントが果たす役割,そして整形外科的な介入の意義と有用性などについて考えるきっかけになる一冊。がんに苦手意識をもつ整形外科医にこそお役立ていただけます。

序文

なぜ今,がんとロコモティブシンドロームなのか?

国内の新規がん罹患数は年々増加を続け,年間100万人を超えて,出生数を上回りました.今や国民の2人に1人が生涯でがんに罹患するだけでなく,長期間がんと共に生活する担がん患者が激増し,まさに日本は「がん時代」を迎えています.

この状況において,「がん」から距離をおいていた整形外科全体が医療界全体からのニーズに応えて,その姿勢を大きく変え,がん診療に取り組もうとしています.そして,がん患者におけるロコモティブシンドロームに着目したのが平成30年度の日本整形外科学会「運動器の10年」PR事業のテーマである「がんとロコモティブシンドローム」です.

整形外科医は,がん患者に対峙すると専門外の領域として関与を避けてしまう傾向があります.その結果,がん患者であるという理由で,運動器疾患の適切な治療を受ける機会を逃していることが少なくありません.今,整形外科医に求められているのは「がんを治す」ことではありません.がん患者が「動ける」状態を維持することです.がん患者が最期まで自立した自分自身の生活を送るためにも,就労を維持するためにも,そしてがん治療を継続するためにも,「動ける」ことがとても重要です.しかし,多くのがん診療医は「動ける」ことの意義に気づいておらず,また「動ける」ようにする手段を持ち合わせていません.

がん診療に取り組む方針を打ち出し,キャンサーボードに整形外科が参加するようになった施設では,これまで対応してこなかったがん診療からの需要を実感しています.そのような施設では,骨軟部腫瘍専門医がいなくても,整形外科の通常の運動器診療を行うだけで,多くのがん患者が自立した生活を取り戻しています.しかし,2018年4月に日本整形外科学会が実施したがん診療実態調査アンケートでは,専門医研修施設の8割,がん診療連携拠点病院でさえも6割の整形外科が「骨転移を含めてがん診療には関わっていない」,「今後も関わる予定はない」と答えているのが実状です.

がん診療には国民的関心が向けられています.がんとの共存方法を模索するパラダイムシフトが進むがん診療において,がんロコモの概念が普及し,運動器マネジメントががん患者のQOL向上に大きく貢献できることが示されれば,運動器診療の意義がますます向上し,「整形外科の関与がなければ適切ながん診療は成しえない」と認知されることさえあるのではないかと感じています.

本書は,がん診療における運動器管理に取り組んでこられた各領域の先駆者から,実症例を交えてがん患者の運動器マネジメントを整形外科医が主体となって行う重要性を伝えていただき,整形外科全体が積極的に取り組む契機となることを目指しています.

本書を手に取っていただくことが,「がんロコモ」とは何か,がんに罹患することで運動器にどんな障害が生じるのか,どのように対処するべきなのか,がん診療におけるADL維持とQOL向上に運動器マネジメントが果たす役割,そして整形外科的な介入の意義と有用性などについて考えるきっかけとなり,みなさまに「やってみたい!」,「これならできる!」と感じていただくことができることを願っています.


2019年4月

ロコモ チャレンジ!推進協議会

がんロコモワーキンググループ委員

河野博隆

目次

◎がんとロコモティブシンドローム

がんロコモとロコモ

─その概念と重要性─

がんロコモで変化する整形外科の存在意義

─ロコモティブシンドロームの新たな展開─

「がん時代」における骨転移診療のあるべき姿

◎がんリハビリテーションとの協調

がんロコモに期待すること

─がんリハビリテーションにおける運動器管理─

がんロコモを意識したがんリハビリテーション治療の重要性

◎整形外科専門領域とのかかわり

外傷:病的骨折という外傷領域の新分野

脊柱:予後の延長が変える脊椎転移の治療戦略

関節:がん患者の運動器疾患

─その痛みはがんの痛みなのか?─

スポーツ医学:がん生存者のスポーツ活動をどう支えるか?

関節リウマチ:関節リウマチとがんロコモ

─その時どう判断するか─

◎がん時代の整形外科の役割

大学病院でのがん診療に求められる運動器マネジメント

変わりゆく「がん診療」における整形外科の新たな役割

骨軟部腫瘍専門医不在の骨転移診療で整形外科が成しえること

整形外科は緩和ケアを変える!

◎骨軟部腫瘍専門医から見たがんロコモ

がんロコモががん診療を変える

─整形外科が「がん診療」で実現できること─

骨軟部腫瘍専門医による新しいがん患者の運動器マネジメント

「動ける」ことを意識した骨転移診療の意義

がんセンターにおける「がんロコモ」の可能性

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書籍情報

  • ISBN:9784883786732
  • ページ数:168頁
  • 書籍発行日:2019年5月
  • 電子版発売日:2019年5月22日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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