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- POWER MOOK 精神医学の基盤[3]特集:精神医学におけるスペクトラムの思想
商品情報
内容
■PowerMOOK精神医学の基盤
[1]特集 薬物療法を精神病理学的視点から考える
[2]特集 うつ病臨床の論理と倫理
序文
本書について
精神科の臨床や研究の場で「スペクトラム」という言葉を耳にすることが最近増えてきた。学術論文では、双極スペクトラム、強迫スペクトラム、自閉症スペクトラム、統合失調症スペクトラムなどの言葉が、頻繁に用いられるようになっている。精神科診断だけでなく医学診断一般はカテゴリー的に定義されることが通常であるが、それを連続体として考えようという「思想」が精神科において優勢になってきている。実際、2013年に出版されたアメリカ精神医学会の診断基準集DSM-5では、統合失調症と自閉症について「スペクトラム」の語が明示的に書き込まれた。このうち「自閉スペクトラム症」の用語は、早くも我が国の日常臨床の中に定着しつつある。
本書は学樹書院から出版されている《精神医学の基盤》シリーズの第3巻となる。このシリーズでは先行する2冊においても、精神医学の知見の網羅やマニュアル的情報の効率的提供ではなく、精神医学の土台をなす思想、方法論、あるいはパースペクティブそのものを問うことが目指されてきた。この第3巻ではその方針をさらに先鋭化させ、思想、方法論、パースペクティブが互いに異なる気鋭の研究者・臨床家に、それぞれの立ち位置からの論稿を寄せていただいた。執筆者間の主張の間で整合性をとり矛盾を解消するような編集作業は一切行っておらず、予定調和的な結論も最初から目指さなかった。むしろ、そこに存在してしかるべき意見の多様性を敢えて際立たせることを、執筆者の選定を含めた編集の大方針とした。
「スペクトラムの思想」というテーマが一応あるとはいえ、執筆陣の力量と熱意によって、本書は「精神科診断学の哲学」一般についての本格的な論稿集といえる仕上がりとなった。本書を通じて精神医学の概念的基盤に関わる問題の複雑さと奥行きを読者の皆様に体感いただき、他書では味わうことのできない「精神医学における思索の歓び」を共有していただければ、本書はその主要な目的の一つを達成したことになるといえよう。
京都大学医学研究科・精神医学
村井 俊哉
目次
特集にあたって
[対談]精神医学におけるスペクトラムの思想
スペクトラムの概念
分子遺伝学からみたスペクトラム精神医学
臨床研究から捉えたスペクトラム
スペクトラム概念と精神科疾患
DSMにおけるスペクトラムの思想
スペクトラム論の源流
スペクトラムの概念と反精神医学
スペクトラムと精神疾患
統合失調症におけるスペクトラムというメタファーの導入の意義と問題点
双極スペクトラム
光との関係性から読み解く試み
個人が悩みをかかえきれなくなったとき,社会的に求められる機能を果たせなくなったとき,精神科医療は何ができるのか
うつ病概念と,それが指し示す範囲すなわちスペクトラム
自閉スペクトラム症の意義と問題
強迫スペクトラム障害の概念と意義,そして問題
神経症圏障害(摂食障害,不安障害,パーソナリティ障害)のスペクトラム
社交不安スペクトラムと境界性パーソナリティ障害スペクトラム,およびプロトタイプ診断と診断横断的治療
カテゴリー/ ディメンジョンと精神鑑定
スペクトラムの概念から考える精神科薬物療法
スペクトラム論の行方
エッセイ
精神医学は科学か?
高次脳機能障害、特に前頭葉機能障害を抑制障害として捉える
コラム
ジェンダーとスペクトラム
精神分析におけるスペクトラム的思考と弁証法的思考
製薬マーケティングとスペクトラム
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書籍情報
- ISBN:9784906502523
- ページ数:212頁
- 書籍発行日:2016年11月
- 電子版発売日:2019年2月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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