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- 姿勢を意識した 神経疾患患者の食べられるポジショニング
商品情報
内容
脳卒中,パーキンソン病,脊髄小脳変性症患者を対象とした,クッションやタオルを用いて嚥下障害を抑制する「ポジショニング」のテクニックを解説した実践書。6事例×3疾患=計18事例に対するポジショニングのテクニックを中心に,疾患の病態,誤嚥の現状および検査法等について紹介している。
序文
編集の序
神経疾患に代表される脳卒中片麻痺やパーキンソン病,脊髄小脳変性症は直接的に摂食・嚥下機能に障がいをきたす疾患である。また,経口摂取を断念せざるを得ない状況になった結果,胃瘻の増設を余儀なくされる頻度が非常に高い疾患でもある。疾患特性から誤嚥性肺炎を発生させる比率が非常に高く,死因別死亡率においても上位に挙げられる因子となっている。
神経疾患の症状は多岐にわたり,食事の提供にも配慮が要求されるが,日常的な介護や生活のなかではフォーカスを浴びることなく「何気に」食べさせられている。傾斜した姿勢や前ずりなど,嚥下を実施するうえで不利な姿勢であるにもかかわらず,問題視されずに食事が提供されている現状を多く目にする。誤嚥性肺炎は,医療や介護の質により予防が可能であることから,無関心に提供された結果発生する誤嚥はヒューマンエラーとして考えなければならない。誤嚥性肺炎を誘発する症状に対しては,主として言語聴覚士が中心になり介入されているのが現状である。咽頭や喉頭の機能を中心に介入がなされているが,側方への傾斜や前ずりなど,異常な姿勢下で実施されると効果が半減するものであると考えられる。姿勢にかかわる理学療法士の介入や,食事操作にかかわる作業療法士,食事場面に直接対峙する看護師・介護福祉士など,多岐にわたる職種が同一の視点で食事環境について共通の問題点を把握し情報交換を行う必要がある。
急性期や回復期には積極的な介入により効果が期待できるが,維持期や生活期においては身体に生じている障がいが嚥下に対する物理的な制限因子となる。喉頭挙上不全,口唇閉鎖不全,食道入口部開大不全など嚥下に対して不利な条件が形成され,医療や介護などの分野においても対応が困難となっている。舌運動や咀嚼,咽頭喉頭活動などの実質的な障害が残る神経疾患患者に対して適切に食事環境を整えることで誤嚥の危険を回避できることを学ばなければならない。外発的とはいえクッションやバスタオルなどを座面やバックサポートに挿入することで,食事を摂る環境として安全な座位姿勢を獲得でき,咽頭や喉頭の機能が効果的に発揮されやすい位置関係を構築できる。単に「座らせる」というだけでは嚥下障害に対する配慮とは言えず,体幹や肩甲帯,咽頭や喉頭の位置関係などを詳細に分析して介入する「ポジショニング」という概念が安全に食べるためには重要であり,どの局面においても考慮されなければ,嚥下障害を抑制することは困難である。
本書を通して,今まで対応が困難であった摂食・嚥下障害患者に対するサポートが可能となり,結果的に誤嚥性肺炎の抑制に繋がることを願っている。また,患者の食事に対する欲を失わせず,口から食べることを簡単に諦めさせることなく「食は人生」であることを最大限に理解した医療・介護技術職の育成に本書を役立てていただければ幸いである。
2019年8月
東京医療学院大学
内田 学
目次
第1章 ポジショニングの考え方
ポジショニングの考え方 内田 学
はじめに
従来のポジショニングという概念
本書が提案する「嚥下とポジショニング」
第2章 脳血管障害片麻痺患者の嚥下障害に対するポジショニング
弛緩性麻痺患者にみられる嚥下障害
全介助者に対するポジショニング
飲み込むときにむせ込んでしまう(嚥下反射の惹起) 内田 学
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/不良姿勢と嚥下障害の解釈/ポジショニングの効果
自己摂取者に対するポジショニング
嚥下後に胸やけが起こる(下部食道括約筋の弛緩,胃食道逆流) 内田 学
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈
痙性麻痺患者にみられる嚥下障害
全介助者に対するポジショニング
1回の嚥下で飲みきれない(痙性麻痺による姿勢異常) 内田 学
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈
頭が下がってしまい口が開かない(頸部筋の筋緊張異常) 内田 学
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈
自己摂取者に対するポジショニング
お皿に手が届かない(痙性麻痺による姿勢異常) 内田 学
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈
犬食いの姿勢で食べており,よくむせる(舌骨の挙上不全) 内田 学
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈
第3 章 パーキンソン病の嚥下障害に対するポジショニング
全介助者に対するポジショニング
食物に注意が向かない(頸部伸展,体幹後傾位) 中城雄一
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/不良姿勢と嚥下障害の解釈/覚醒状態について/ポジショニングの効果
口への取り込み・咀嚼・送り込みができない(口腔機能低下) 中城雄一
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/不良姿勢と嚥下障害の解釈/ポジショニングの効果
手で支えないと座っていられない(重度の不良姿勢) 中城雄一
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/不良姿勢と嚥下障害の解釈/ポジショニングの効果
自己摂取者に対するポジショニング
食事の際にむせる・食べこぼしがみられる(摂食動作に必要な上肢機能と不良姿勢の関係) 徳永典子
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/不良姿勢と嚥下障害の解釈/ポジショニングの効果
食べ物が落ちていかない感じがする(食塊の通過障害の疑い) 徳永典子
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/不良姿勢と嚥下障害の解釈/ポジショニングの効果
むせ込みの弱い努力性の食事動作(前ずりと体幹の側屈が目立つ) 寺内知香
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/不良姿勢と嚥下障害の解釈/ポジショニングの効果
第4章 脊髄小脳変性症の嚥下障害に対するポジショニング
全介助者に対するポジショニング
介助された食物が取り込めない(食物の取り込み・咀嚼機能低下) 樫村祐哉
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/不良姿勢と嚥下障害の解釈/ポジショニングの効果
噛まずに飲み込んでしまう(咀嚼機能低下) 小玉 唯
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/不良姿勢と嚥下障害の解釈/ポジショニングの効果
首が傾き口から食物がこぼれる(体幹失調) 熊谷隆人
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/不良姿勢と嚥下障害の解釈/ポジショニングの効果
自己摂取者に対するポジショニング
スプーンの操作が雑(失調による姿勢調節障害) 藤田賢一
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/ポジショニングの効果
スプーンに向かって首を無理やり突っ込む(前傾前屈による頸部の過伸展) 最上谷拓磨
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/不良姿勢と嚥下障害の解釈/ポジショニングの効果
前ずりが目立つ(骨盤と胸郭の可動性低下) 最上谷拓磨
介入前の姿勢/介入後の姿勢/ポジショニングの方法/ポジショニングの解釈/不良姿勢と嚥下障害の解釈/ポジショニングの効果
第5章 誤嚥の現状
誤嚥の現状 山口育子
はじめに
脳血管障害片麻痺患者の誤嚥の現状
パーキンソン病患者の誤嚥の現状
脊髄小脳変性症患者の誤嚥の現状
まとめ
第6 章 誤嚥を客観的に検査する方法
直接的検査 山口育子
嚥下造影検査(video fluorography;VF)
嚥下内視鏡検査(video endoscopy;VE)
超音波画像診断
間接的検査 山口育子
問診とフィジカルアセスメント
スクリーニング検査
総合的な嚥下能力評価
まとめ
第7 章 姿勢と嚥下から考えるポジショニングの重要性
姿勢と嚥下から考えるポジショニングの重要性 内田 学
神経疾患患者における姿勢と嚥下
重力下における頭頸部の位置と嚥下筋の関係
嚥下筋の作用を不利に働かせる神経疾患患者の異常姿勢の特徴
頸部の立ち直り反応と嚥下機能
姿勢と舌運動の関連性
まとめ
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書籍情報
- ISBN:9784758320146
- ページ数:0頁
- 書籍発行日:2019年10月
- 電子版発売日:2020年5月13日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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