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- 心血管事故を予防するための糖尿病治療戦略実践のためのQ&A
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内容
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序文
人口の高齢化そして生活習慣の変化とともに2型糖尿病患者は激増している.では,その治療はどうすれば良いのであろうか.“2型糖尿病は血糖値が高い病気である.そして,その治療ゴールは良好な血糖コントロールである.”一見正しいように見えるが,2型糖尿病患者の最大の死因である心血管事故を減らすという観点からみると十分ではない.2型糖尿病患者の生命予後の改善をはかるためには糖尿病内科医と循環器内科医が心を一つにして,動脈硬化の進展を予防し,心血管事故を減らすことを治療目標とすべきである.その場合,治療ターゲットとなるのはインスリン抵抗性,すなわちインスリンの効きにくい体それ自体,であろう.インスリン抵抗性のために,高インスリン血症,食後高血糖,脂質異常症(高中性脂肪血症,低HDL血症),酸化ストレスの亢進などが生じ,動脈硬化の引き金となる.さらに,心不全とインスリン抵抗性の関係も指摘されている.心不全患者はインスリン抵抗性を示すことが多く,逆にインスリン抵抗性が心不全の誘因になることがわかってきたからである.もちろん,高血糖の病的意義を否定するものではない.高血糖が腎障害,神経障害,血管障害をもたらすのは周知の事実である.ただし2型糖尿病の自然経過からすると,高血糖はインスリン抵抗性があるうえに膵β細胞のインスリン分泌機能が低下して出現する,どちらかと言えば進行した病態であるといえる.血糖値の上昇を伴わない患者に多くの心血管事故が起きている重い事実がある.早期治療介入が大切であるが,そこでインスリン抵抗性が治療ターゲットであれば,冠動脈疾患患者などで決してHbA1cが高くなくても治療介入できることになる.そして,その治療は従来の血糖をターゲットとした治療とはおのずと異なるものになろう.
本書はますます増加するインスリン抵抗性を基盤とした2型糖尿病患者の心血管事故を予防し,健康寿命を延ばすために2 型糖尿病の病態をどのようにとらえ,どのように治療するべきかをQ&A形式でまとめたテキストである.それぞれのエキスパートが,臨床の現場におけるさまざまな疑問に対してわかりやすく答えていただいている.今後の糖尿病診療に新しい風を送るようなテキストになれば幸いである.
平成28年3月
岡山大学 伊藤 浩
順天堂大学 綿田 裕孝
目次
I 糖尿病の病態をどう捉える
Q1 2 型糖尿病の基盤にあるインスリン抵抗性に関して教えてください.
Q2 インスリン抵抗性が動脈硬化をひき起こす機序に関して教えてください.
Q3 インスリン抵抗性を基盤とするメタボリックシンドロームや2型糖尿病で心不全が多いといわれています.その原因を教えてください.
Q4 心不全でインスリン抵抗性が出現するといわれています.その機序と臨床的意義を教えてください.
Q5 HbA1cと細小血管障害,大血管障害との関係が異なると聞きました.くわしく教えてください.
Q6 強化血糖降下療法の長所と短所に関して教えてください.
Q7 低血糖が大血管障害や微小血管障害を進行させると聞きました.その機序を教えてください.
Q8 高血糖状態が動脈硬化や組織障害を起こす機序を教えてください.
Q9 AGE,RAGEとは何でしょうか? 病態の進行における役割を教えてください.
Q10 食後高血糖がなぜ動脈硬化を促進するか?
Q11 冠動脈疾患患者にインスリン抵抗性が多いと聞きました.どの程度存在するのでしょうか?
Q12 糖尿病患者は冠動脈疾患既往例と同じくらい高リスクであるといわれています.なぜそうなのか教えてください.
Q13 高インスリン血症は心血管事故のリスクであるといわれています.その機序を教えてください.
T 高インスリン血症は発癌リスクでもある.糖尿病になると癌も増加する.その機序を説明しましょう.
Q14 糖尿病やメタボリックシンドロームに脂質異常症が高頻度に認められます.その動脈硬化における役割を教えてください.
Q15 非空腹時高脂血症が動脈硬化を発症させる機序に関して教えてください.
Q16 糖尿病やメタボリックシンドロームにおけるアディポサイトカインの変化に関して教えてください.
Q17 骨格筋や心臓周囲の異所性脂肪とその病的意義に関して教えてください.
Q18 糖尿病性神経障害と自律神経障害,特に交感神経との関係について教えてください.
II 糖尿病の病態を評価する
Q19 インスリン抵抗性をどのように診断したらよいでしょうか?
K 食後血糖マーカー:1,5AGに関して教えてください.
Q20 食後高血糖,食後(非空腹時)高脂血症をどのように診断したらよいでしょうか?
Q21 CRPの臨床的意義と高感度CRPをどう活用するか,教えてください.
Q22 尿検査で何を測り,どう解釈したらよいか教えてください.
Q23 糖尿病患者のリスク層別化に頸動脈エコーをどのように活かしたらよいか教えてください.
C 負荷検査の評価は心電図それとも心エコー?
Q24 内皮依存性血管拡張反応(FMD)は何を見ているのか? どう活かしたらよいのか?
Q25 血管の硬さ(CAVIあるいはPWV)を評価することの臨床的意義を教えてください.
Q26 糖尿病患者でABIを計測することが推奨されています.その理由と結果をどう解釈するか教えてください.
Q27 リスク層別化にMDCT で計測できる冠動脈石灰化が有用であると聞きました.どのように臨床応用したらよいでしょうか?
Q28 心膜脂肪の計測と臨床的意義に関して教えてください.
Q29 冠動脈CT で動脈硬化プラークはどのように評価できるでしょうか? 特に不安定プラークはどのように見えますか?
Q30 糖尿病患者に心エコー図検査をする意義を教えてください.
Q31 糖尿病患者における心筋シンチグラフィの役割に関して教えてください.
III 糖尿病治療の最前線
Q32 心血管事故の予防を見据えた治療戦略を教えてください.
Q33 メトホルミンの作用機序に関して教えてください.
Q34 欧米では2型糖尿病の第一選択薬はメトホルミンといわれています.その理由とどのように開始し増量したらよいか教えてください.
Q35 メトホルミンの心血管事故予防のエビデンスに関して教えてください.
Q36 最近,メトホルミンが心不全に有効である可能性がいわれています.その機序とエビデンスを教えてください.
Q37 メトホルミンの副作用とその注意点を教えてください.
Q38 ピオグリタゾンの作用機序と抗動脈硬化作用に関して教えてください.
Q39 ピオグリタゾンの心血管事故の予防に関するエビデンスを教えてください.
Q40 ピオグリタゾンの副作用が懸念されて使用しない医師も多いと聞きます.副作用とその機序,対策を教えてください.
Q41 DPP-4阻害薬により増加するGLP-1,GIPの血糖値に対する作用に関して教えてください.
Q42 GLP-1の血糖降下作用以外の効果に関して教えてください. T GLP-1受容体はどこにあり,どのような作用をする?
Q43 DPP-4阻害薬のbeyond glucose効果といわれているoff-target effect,DPP-4の直接抑制に関して教えてください.
Q44 DPP-4阻害薬の臨床エビデンスとその解釈に関して教えてください.どのような患者に効果が期待できるのでしょうか?
Q45 α-グルコシダーゼ阻害薬の作用機序と心血管事故予防の臨床エビデンスに関して教えてください.
Q46 α-グルコシダーゼ阻害薬は耐糖能異常に適応があり,心血管疾患予防効果があると聞きました. そのエビデンスを教えてください.
Q47 SGLT2阻害薬の作用機序と適応症例に関して教えてください.
Q48 SGLT2阻害薬にはNa排泄効果があると聞きました.血圧や心不全に対する効果は期待できるのでしょうか?
Q49 低血糖を起こさないようにするSU薬,インスリンの使い方の工夫を教えてください.
Q50 脂質異常症に対する糖尿病治療薬の効果が異なるといわれています.それに関して教えてください.
Q51 2型糖尿病患者の脂質異常症に有効な薬剤を教えてください.
Q52 心不全を合併する糖尿病患者に対する糖尿病治療薬の選択に関して教えてください.
Q53 糖尿病患者の高血圧治療について具体的にどうすべきか教えてください.
Q54 糖尿病患者にβ遮断薬が有用であると聞きました.β遮断薬の選択と使用法に関して教えてください.
Q55 スタチンはLDLコレステロール値にかかわらず糖尿病患者への使用が推奨されていると聞きました.そのエビデンスと注意点を教えてください.
C 糖尿病患者に対する糖質制限食治療は正しいか?
Q56 サルコペニアの糖尿病の病態に対する意義とその対策を教えてください.
Q57 糖尿病患者は心血管事故の高リスクですが,抗血小板療法はどのようにしたら良いでしょうか?
Q58 糖尿病患者にω3PUFAが有用であると聞きました.その機序を教えてください.
Q59 外来でできる糖尿病患者の食事療法の極意を教えてください.
索 引
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書籍情報
- ISBN:9784830619311
- ページ数:248頁
- 書籍発行日:2016年3月
- 電子版発売日:2020年8月12日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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