第1章● 腹痛編
1 腹痛のタイプによって病態を見分ける
診断を迷わす『悪魔のささやき』は一度引っ込める
OPQRSTはclosed questionとセットで使う
内臓痛と体性痛の違いとは?
限局性の比較的はっきりした痛みは要注意と心得る
判断に悩む症例をどう考えるか?
患者の言葉を鵜呑みにしないほうがよいもの
2 痛みの病歴聴取とOPQRSTの質を高める
痛みの表現は無理に引き出さない。曖昧な答え自体に意味がある
痛みの突然発症は重症サイン。どう確かめる?
P(増悪・緩解因子)の聴取から緊急性を見極める!
病歴を聴き直す。そして虫垂炎の診断スコアを使う
カルテに「±」は極力書かないこと
3 危ない腹痛を見極める,誰でもできる腹痛フィジカル
“右下腹部の圧痛”よりもはるかに大切なこと
押すと生理的に痛みを感じるのはどこか
丁寧で繊細な診察こそが病態を絞り込む
3人の腹痛患者。見た目で危なそうなのは?
ベッドサイドで危ない腹痛を見抜く他の手
症例を振り返る──EBM,生かすも殺すもやり方次第
聴診による腹部蠕動音の評価は慎重に
第2章● 頭痛編
4 危ない頭痛の共通点と聴き出し方を学ぶ
軽症に見える頭痛に潜むくも膜下出血
悪魔のささやきに注意! 患者の言葉に引きずられない
病態推論につながる脳特有の構造
危ない頭痛を見極めるために何を聴くか
5 病態生理から見抜くよくある頭痛の特徴
見逃しを防ぐための片頭痛の特徴的な病歴
くも膜下出血で神経症状はあまりみられない
意識障害患者では必ず血圧をチェック!
慢性硬膜下血腫を拾い上げるためのポイント
頭痛+意識障害+血圧低下で考えられる病気は?
危ない頭痛のまとめ
第3章● 意識障害編
6 明日からできる意識障害はじめの10秒
意識障害時の対応「ABC」
3秒でできる重症意識障害のスクリーニング
AIUEOTIPSとカテコラミンリリースの関係
敗血症はちょっと複雑。興奮することもあれば傾眠傾向のことも
カテコラミンが放出されなくても危険な病態はある
7 ワンランク上のAIUEOTIPS使いこなし術
病歴から意識障害を絞り込む
真の意識障害と精神疾患を鑑別しよう
ここまでをいったん整理。さらにレクチャーは続く
「脳症」という視点でAIUEOTIPSを見てみよう
タイムリミットがあるStrokeとInfection
補講 迅速に対応すべき疾患の代表格『敗血症』
第4章● 浮腫編
8 むくみの基本と病態生理をトコトン学ぶ
浮腫を診るにはどの部位?
浮腫とヒトの体のおさらいをしよう
血管内外の水分移動と浮腫の関係
スターリングの法則でカギを握るσの意味は?
毛細血管膜の透過性の違いが意味するもの
9 Commonな原因による浮腫を病態生理から見抜く
浮腫の原因は決して1つではない
毛細血管の仕組みがわかれば浮腫の原因が見えてくる
静脈側が引き起こす浮腫
他にも静脈が絡む浮腫:腎不全,心不全,DVT,etc.
第5章● 胸痛編
10 絶対見逃したくない胸痛のOPQRST
心筋梗塞患者の約3割は心電図異常なし
ACSの病態,狭心症の分類を押さえておこう
胸痛患者で見逃せない重篤5疾患
「一過性・再発性」が特徴の病態を考える
11 心電図正常のACSを見抜くための胸痛レッスン
胸痛で受診する患者の原因は筋骨格系のことが多い
筋骨格系疾患鑑別のさらなる手がかり
胸膜疾患とACS/心筋梗塞の鑑別ポイント
心筋梗塞による痛みは左肩だけとは限らない
胸痛のOPQRST総まとめ!
第6章● 初心に戻って考える編
12 関節痛ってホントに悪ですか?
「病を診ずしてヒトを診よ」の意味
血管や膜により物質の透過性が違うのはなぜ?
一過性・再発性の病態のおさらい
免疫システムから読み解く自己炎症性疾患
13 腹痛ってホントに悪ですか?
その腹痛,どちらがより重症に見える?
内臓痛の特徴,胃と胆嚢の許容量
第7章● めまい編
14 眼振所見が教えてくれる耳石のキモチ
BPPVに紛れ込む危険なめまい
平衡感覚のメカニズムを知ろう
患者はどんな症状を「めまい」と表現するのか
自信をもってBPPVを診るための4ステップ
めまいを理解するためのカラダの仕組み
15 最も多いめまいBPPVの“病態生理”がまるわかり!
BPPVを知るには半規管の角度を知ること
一からわかるDix-Hallpikeと後半規管型BPPV
解剖生理がわかればEwaldの法則はカンタン
16 絶対に帰してはいけないめまい
中枢性めまいの診断が難しい2つの理由
小脳が障害されるとどんな異常が現れる?
小脳疾患によるめまいの特徴
中枢性めまいを疑う経験的ヒント
脳幹障害によるめまいに関わる前庭神経核
第8章● 関節痛編
17 「関節が痛い!」診断に結びつく病歴聴取の秘訣は“炎症”と“P”にあり
その痛みは関節痛か,それとも関節周囲の痛み?
関節痛を考える…の前にそもそも“炎症”とは?
○○炎と聞いたら,○○の機能を考えてみよう
関節炎の評価に可動域チェックは欠かせない
関節痛と関節周囲痛の見極めにはProvocative
18 免疫システムから迫る関節痛の鑑別,病歴の違い
その発症は急性か,慢性か
突然発症の関節痛から考えられる病態は?
関節痛に関わる免疫の仕組みをおさらい
リンパ管からリンパ節へ,さらにリンパ球の抗体産生
痛風の病態と臨床でのポイント
急性発症・自然軽快の病歴では自己炎症性疾患を特に想起しよう
19 結晶性関節炎と感染症による関節痛の特徴をつかむ
軟骨から迫る偽痛風の病態,リスク因子
感染性関節炎は単関節炎? 多関節炎?
冒頭の症例を診断する手がかりはどこに?
第9章● 発熱編
20 不明熱は本当に不明?発熱+αを探すようにしよう!
不明熱の定義,いつ作られたか知っていますか?
発熱は最もよく遭遇する症候だが最高の脇役
発熱患者を診るときの5つのポイントとは?
経過が長い症例では,本来の病態が“修飾”されていないか疑おう
症状が複数存在するなら,「疾患特異性」に注目しよう
肩こり=痛み。OPQRSTをとろう!
不明熱と思っても,基本は丁寧な病歴聴取
21 敗血症とSIRSの病態から学ぶ発熱+αの探し方
感染症では発熱の数日前から脈が速くなることも
発熱と脈拍がキーワードの病態,敗血症
SIRSの基準はもう不要? qSOFAの意外な落とし穴
高齢者で感染症を疑ったら想起すべき3つの臓器
脱水が肺炎の重症度と関連するのはなぜか?
浸潤影がない≠肺炎ではない
22 不明熱+αの症状が出やすい病態とそうでない病態の捉え方
不明熱の経過を追うとき,2つ注意しよう
IEとスティル病からみる不明熱のタイプ
不明熱+αの症状が目立つ疾患,目立たない疾患
症状に乏しい不明熱では痛覚がない or 予備能が高い組織に注目しよう
動脈の種類によって異なる血管炎の特徴
23 病原体の特徴から迫る不明熱になりやすい感染症
不明熱となりやすい感染症の共通項
ウイルスと宿主との攻防戦
不明熱になりやすいヘルペスウイルス
細胞内増殖する細菌は不明熱を起こしやすい
第10章● 心不全編
24 病態生理から心不全を定義する
心不全と切り離せない浮腫のおさらい
心臓のポンプ機能が下がると何が起きる?
左心不全と右心不全の病態生理
ヒトの体液量を調節しているのは心臓と腎臓
夜間の呼吸苦は心不全の重要なサイン!
日頃のストレス・睡眠不足を予防しよう
25 体液量のモニター係,腎臓の病態から心不全を定義する
体液量増加に働くホルモンたち──臨床への活かし方
糸球体濾過量を調節するメカニズム
心不全と血圧の深い関係
心不全におけるRAASの分泌と調整
心不全のバイオマーカーANP,BNPの正体とは?
心不全の定義のまとめ