脊椎脊髄ジャーナル32巻4号(特大号) 傍脊柱筋の機能解剖学, 姿勢制御と手術アプローチ

  • ページ数 : 234頁
  • 書籍発行日 : 2019年3月
  • 電子版発売日 : 2021年2月5日
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商品情報

内容

■特集 傍脊柱筋の機能解剖学, 姿勢制御と手術アプローチ
企画 『脊椎脊髄ジャーナル』編集委員会
特集にあたって・・・金 彪
第1章 解剖と機能
第2章 局所解剖と手術アプローチ
第3章 傍脊柱筋の病態
ほか

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序文

特集にあたって


獨協医科大学脳神経外科 金  彪


変性疾患に対する脊椎脊髄外科において,近年,大きく2つの潮流がある.

1つは加齢過程で生じた変形を矯正して「正常範囲」と想定される形にリジッドに戻そうとするもの.成人側弯変形の矯正手術に代表されるように,インストゥルメンテーションの拡大利用によるものである.

もう1つは脊椎分節間の関節の可動性,骨と筋膜に付着して脊椎を駆動する傍脊柱筋の働きを最大限に維持し,姿勢の改善を図り,正常アライメントを回復し骨の変形を予防するものである.

脳神経外科においては,神経生理学的な運動制御機構に関心が高いので,後者に対する関心が高く,整形外科は力学と形を整えることが重要な使命なので前者により情熱,関心が傾注されるのは当然であろう.

変形によって前後バランスが保てなくなっている高齢者に,固定矯正をかけてバランスを改善し,再度,起立歩行を可能とすることは意義があることである.しかし,まっすぐにリジッドに立たせることで逆にADL上のマイナス面もあり,前屈姿位での動作,たとえば靴の装着などの日常動作ができなくなって,かえって介助を必要とするようになることも多い.また,費用も大きい.70~80代の患者にMISであろうとオープンの方法であろうと3,000万円を超えて,ときには4,000万円に達する請求額で側弯矯正を行っている米国の友人にこの費用を正当化する効用意義を問うと,保険代を払っている患者が矯正を望み,保険会社が支払いに同意し,医師が高額の報酬をとれるのだからすべてのパーティーが満足で幸福であるという.日本では費用額はこれよりは低いが,皆保険,社会医療の体制の下では出費の意義に関しては異なる返答,結論となるであろう.

一方,成人後弯,側弯などの非可逆的な骨変形に至るまえに,アライメント変化がまだ可逆的である過程で予防的に介入することで,最期まで柔軟でよい姿勢を維持できるのならそれに越したことはないであろう.実際に,よい姿勢が求められる職業に従事する80代の方が健全な脊椎アライメントを有していることにしばしば遭遇する.

筆者は,可動性,脊椎分節を駆動する筋ならびにそれに対する神経支配を最大限維持することに意識を注いで手術法を改善させてきた.頸椎,腰椎における筋層構築的な手術はその効果を上げているのは間違いがなく,自身の臨床現場において,一時,熱心に行った固定術(頸椎の多分節前方固定,後方の外側塊固定,頭蓋頸椎移行部固定,腰椎のPS,PLIF など)を選択する頻度は,この20年の間に著明に減少した.もちろん,これは施設や症例のスペクトラムの違いもあるので,簡単に一般化できないが,通常の変性性疾患を多く扱っている中での実感である.

変形が何をきっかけに始まり,どのような過程で進行加速されるのかを明らかにできれば意義が大きい.腰椎のすべり症,側弯,頸椎の後弯変形,上体重心の前へのシフトなど,それぞれに違う要因があるであろうが,それが明らかにされれば,早期に介入して予防的な対策がとれる.首下がり,頸椎後弯変形の経過を観察していると,初めは随意的に矯正可能な状況であまり進行しないが,ある相で比較的短い期間に骨変形後弯が進む.変性による脊柱管の狭窄の結果,脊髄圧迫が生じ,それを軽減,回避するために防御的に無意識に前弯が減じられていることもよく経験する.脊柱管拡大の後に前弯が回復することが多いが,この場合は脊髄圧迫がこれから進行していく後弯変形の一義的原因であり,脊椎を駆動する筋を保って減圧することで変形を防ぐことができる.

傍脊柱筋の解剖,生理,神経制御の機構を知ることは,このような視点からの考察,洞察を深めるために不可欠なことであり,その機能評価法や,病態における変化,手術の際の温存方法など,包括的な特集とすることを企図した.お寄せいただいた原稿はいずれも優れたものばかりであり,今回の特集が意義深い成果となったことを感じて,著者各位に深謝申し上げる.

目次

■特集 傍脊柱筋の機能解剖学, 姿勢制御と手術アプローチ

企画 『脊椎脊髄ジャーナル』編集委員会

特集にあたって・・・金 彪

第1章 解剖と機能

姿勢と運動の神経機能解剖, 概観・・・金 彪

頚椎後方の筋肉の解剖と機能・・・黒川 龍

頭蓋頚椎移行部の筋肉の解剖と機能・・・青山正寛, 他

頚椎前方の筋肉の解剖と機能・・・竹林研人

胸椎後方の筋肉の解剖と機能・・・高橋敏行, 他

胸椎前方・側方の筋肉の解剖と機能・・・本郷道生, 他

腰椎後方の筋肉の解剖と機能・・・張 漢秀

腰椎前方・側方の筋肉の解剖と機能―手術アプローチ上観点から・・・森本哲也, 他

筋と筋膜の相互作用(myofascial chain : 筋膜運動連鎖)・・・吉田篤史

成人脊柱変形をきたす背景と原因・・・大江 慎, 他

全脊椎矢状面, 冠状面バランスと仙骨骨盤アライメント・・・高松太一郎, 他

第2章 局所解剖と手術アプローチ

頭蓋頚椎移行部後方の局所解剖とアプローチ・・・根尾昌志

頚椎後方の局所解剖とアプローチ―筋層構築的棘突起椎弓形成術・・・村田英俊

頚椎前方の局所解剖と手術手技・・・飛騨一利

上位胸椎の局所解剖と胸骨柄縦割アプローチ・・・進藤重雄, 他

胸椎後方の局所解剖とアプローチ・・・白澤栄樹, 他

胸椎前側方の局所解剖とアプローチ・・・金子慎二郎, 他

腰椎後方の局所解剖と手術アプローチ・・・水野正喜

腰椎前側方の局所解剖とアプローチ・・・稲見 聡

仙腸関節の局所解剖とアプローチ・・・黒澤大輔, 他

第3章 傍脊柱筋の病態

サルコペニア・・・細井達矢, 他

側弯症の原因についての考察―脊髄空洞症その他・・・佐久間毅, 他

加齢に伴う傍脊柱筋変性と脊柱アライメント変化の疫学―大規模住民調査の結果より・・・橋爪 洋, 他

首下がり症候群・・・赤池 瞬, 他

パーキンソン病における姿勢異常・・・松本英之, 他

第4章 傍脊柱筋の画像検査

頚椎アライメントの測定・・・山本 優, 他

全脊椎アライメントの測定・・・佐藤雄亮, 他

骨盤アライメント(傍脊柱筋との関連)・・・坂野友啓, 他

サルコペニア, サルコペニア肥満の診断, 定量・・・酒井義人

第5章 傍脊柱筋強化の運動療法

頚椎に対する理学療法・・・松村将司

脊椎アライメント修正のための理学療法アプローチ・・・小川大輔

仙骨―骨盤の位置の修正・仙腸関節機能の回復・・・土田昌一

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書籍情報

  • ISBN:9784013003204
  • ページ数:234頁
  • 書籍発行日:2019年3月
  • 電子版発売日:2021年2月5日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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