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- 食道・胃静脈瘤 改訂第4版
商品情報
内容
本書の内容は、門脈圧亢進症学に取り組んでいるエキスパートの先生方の総力を結集したものであり、食道・胃静脈瘤のみならず異所性静脈瘤を含めた門脈圧亢進症患者の病態から新たな診断技術や治療技術などを惜しみなく網羅しているのが大きな特色であり、門脈圧亢進症学のすべてが本書1冊に凝縮されている。
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序文
改訂第4版序文
『食道・胃静脈瘤』(第1版)は,1996年(平成8年)に故 鈴木博昭先生監修,豊永 純・幕内博康・小原勝敏編集により企画され,食道・胃静脈瘤の病態と臨床をわかりやすく学ぶことができるテキストとして発刊された.その2年前(1994年)に日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会(後に日本門脈圧亢進症学会と改名)が設立されたこともあり,門脈圧亢進症学の研究をサポートするタイムリーな書であった.その後,本書は多くの先生方に親しまれ,2001年(平成13年)に改訂第2版が,さらに2012年(平成24年)には改訂第3版が発刊された.改訂第3版(小原勝敏・鈴木博昭監修,村島直哉・國分茂博・近森文夫編集)は,大きく変貌してきた門脈圧亢進症の病態,診断,治療に関して,最新の情報を内視鏡画像やイラストを多用して詳細にまとめたものであり,内容の充実した書になったと自負している.改訂第3版発刊から10年目となる現在(令和3 年)において,門脈圧亢進症の研究は,門脈圧亢進症学一筋に取り組んでこられた先生方の地道な努力により,さらなる発展を遂げている.この10年間の諸先生方の多くの研究成果を踏まえ,本書のバージョンアップ(改訂第4版発刊)の必要性が出てきた.
改訂第4版は小原勝敏・近森文夫監修によるもので,編集者として日本の門脈圧亢進症学の進歩に多大な貢献をしてこられた入澤篤志・於保和彦・中村真一の3氏にお願いし,本書の10年目の大改訂に取り組んできた.このことは,第1版から第3版まで監修してこられた故 鈴木博昭先生の願いでもあり,今回,改訂第4版を発刊できたことは,監修者の一人としてこのうえない喜びであり,近森先生始め,編集の先生方,執筆者の先生方,そして出版元である日本メディカルセンターのスタッフの方々の絶大なご支援,ご協力に,深く感謝を申し上げたい.そして,本書を故 鈴木博昭先生に捧げたい.
本書の内容は,門脈圧亢進症学に取り組んでいるエキスパートの先生方の総力を結集したものであり,食道・胃静脈瘤のみならず異所性静脈瘤を含めた門脈圧亢進症患者の病態から新たな診断技術や治療技術などを惜しみなく網羅しているのが大きな特色であり,門脈圧亢進症学のすべてが本書1 冊に凝縮されている.
本書は先生方の必携の書として,日常臨床において必ずやお役に立つことであろう.学生,若手医師から内視鏡専門医・指導医の先生方まで,ぜひ座右の書として愛読していただきたい.
2021年4月
福島県保健衛生協会 内視鏡センター長 小原 勝敏
目次
日本における静脈瘤治療の変遷と「食道・胃静脈瘤(改訂第4版)」への流れ/近森文夫
第Ⅰ部 食道・胃静脈瘤の病態生理
Ⅰ 食道・胃静脈瘤の発生機序と病態生理/於保和彦・豊永純
門脈圧亢進症の発生機序
食道・胃静脈瘤の発生機序
静脈瘤治療による門脈血行動態の変化
Ⅱ 食道・胃静脈瘤の門脈および全身血行動態/近森文夫・河島孝彦・高瀬靖広
食道・胃静脈瘤からみた門脈側副血行路
食道・胃静脈瘤の門脈血行動態
食道・胃静脈瘤の全身血行動態
新コンセプト―Splanchnic Caput Medusae
第Ⅱ部 門脈圧亢進症の病理
Ⅰ 門脈血行路の解剖/佐藤達夫・坂本裕和
食道の静脈
食道に沿う縦走静脈の解剖例
左胃静脈‒左下横隔静脈‒左腎静脈の連絡吻合路の解剖例
Ⅱ 食道・胃静脈瘤の病理/荒川正博
食道の血管構築
食道静脈瘤の血管構築
胃静脈瘤の血管構築
Ⅲ 脾臓の病理/鹿毛政義・近藤礼一郎・緒方俊郎
脾臓の構造と機能
門脈圧亢進症における脾腫
門脈圧亢進症の脾臓の病理
肝硬変症に対する脾摘と肝病変
脾臓の硬さと脾病変
第Ⅲ部 食道・胃静脈瘤の診断
Ⅰ 静脈瘤内視鏡所見の記載法/林星舟
食道・胃静脈瘤の定義
食道静脈瘤の内視鏡診断
胃静脈瘤の内視鏡診断
食道・胃静脈瘤の記載方法
Ⅱ 食道・胃静脈瘤出血・再出血のリスクファクター/於保和彦
食道・胃静脈瘤出血のリスクファクター
食道・胃静脈瘤再出血の予測
Ⅲ 体外式USによる病態診断
1 .左胃静脈血行動態の診断/松谷正一・水本英明・福沢健
超音波による左胃静脈の描出と血流計測について
門脈圧亢進症における左胃静脈血行動態
左胃静脈血行動態からみた食道静脈瘤の病態
食道静脈瘤の治療に伴った左胃静脈血行動態の変化
門脈圧亢進症の診療における左胃静脈血行動態診断の意義
2 .造影超音波による診断/古市好宏
門脈圧亢進症の成り立ち
超音波検査による門脈圧亢進症の診断
超音波造影剤到達時間(arrival time)と胃静脈瘤
超音波造影輝度測定と胃静脈瘤
3 .肝硬度診断/西村貴士・飯島尋子
超音波エラストグラフィの原理と分類
Shear wave imaging による肝硬度測定法と注意点
食道静脈瘤診断への応用
Ⅳ EUSによる食道・胃静脈瘤局所の病態診断/永島一憲・入澤篤志
UMPを用いた食道・胃静脈瘤の観察
電子ラジアル走査式EUS を用いた食道・胃静脈瘤の観察
Ⅴ 門脈圧亢進症の大局的診断
1 .3D‒CT/村島直哉
撮像方法・機種・3D‒CT の作画方法
食道静脈瘤の3D‒CT
胃静脈瘤の3D‒CT
肝性脳症の3D‒CT
傍臍静脈の再疎通
門脈血栓症の3D‒CT
肝外門脈閉塞症の3D‒CT
特発性門脈圧亢進症の3D‒CT
PTP(percutaneous transhepatic portography)との比較
四次元CT(4D‒CT)について
2 .非造影MRA/斎藤聡
スピンラベリング法によるMRA の撮像方法および利点
スピンラベリング法による肝内外門脈および門脈系血管の描出
スピンラベリング法による肝外門脈側副血行路の描出
Ⅵ 画像強調観察でみる食道・胃静脈瘤/林星舟・古本洋平
NBI とBLI・LCI
正常の下部食道粘膜
NBIによる食道静脈瘤の観察
NBIによる胃静脈瘤の観察
第Ⅳ部 食道・胃静脈瘤治療に必要な知識
Ⅰ 治療薬剤の薬理作用と作用機序/小原勝敏
Ethanolamine oleate(EO)
Aethoxysklerol(AS)
組織接着剤(cyanoacrylate 系薬剤)
Ⅱ 治療後の病理(EIS/EVL)/荒川正博
食道静脈瘤の治療
胃静脈瘤の治療
Ⅲ 治療法の選択(治療指針)
1 .食道静脈瘤/小原勝敏
食道静脈瘤の治療概要
食道静脈瘤出血患者の診療フローチャート
肝硬変合併食道静脈瘤患者の治療方針
治療の適応および禁忌
血行動態から見た静脈瘤の治療手技
2 .孤立性胃静脈瘤/小原勝敏
胃静脈瘤の治療概要
胃静脈瘤出血患者の診療フローチャート
肝硬変合併胃静脈瘤患者の治療方針
胃静脈瘤(GV)に対する治療手技
Ⅳ 静脈瘤患者の重症度分類/中村真一
内視鏡所見から見た重症度
肝病態から見た重症度
出血例における重症度判定
Ⅴ 抗血栓薬服用者に対する内視鏡治療時の対応/入澤篤志・永島一憲
抗血栓薬服用者の食道・胃静脈瘤出血例への対応
抗血栓薬服用者に対する食道・胃静脈瘤予防的内視鏡治療
第Ⅴ部 食道静脈瘤治療の実際
Ⅰ 出血例への対応
1 .保存的治療法(バルーンタンポナーデ法)/太田正之・平下禎二郎・猪股雅史
歴史とエビデンス
使用器具
適応と禁忌
使用方法
使用上の注意点
2 .内視鏡治療/土田幸平・入澤篤志
食道静脈瘤出血に必要な体制の整備
食道静脈瘤出血の緊急内視鏡に必要な準備
患者・家族へのインフォームド・コンセント
内視鏡的止血の方法とコツ
専門施設への搬送
Ⅱ 待期・予防例への対応
1 .待期・予防例におけるEIS,EVLの現況/中村真一
本邦における現況 ― やはりEVL中心か
海外の動向 ― やはり薬物療法か
2 .各種治療法
a.薬物療法/日高央・魚嶋晴紀
食道静脈瘤治療における薬物療法の現況
門脈圧亢進症に対する薬物治療
Proton pump inhibitor(PPI)を中心とした胃酸分泌抑制薬
b.内視鏡治療
① 内視鏡的硬化療法(EIS)(治療成績,偶発症を含む)
1 )EO・AS 併用法,EVIS を含む/小原勝敏
EIS の実際
2 )地固め法/小原勝敏
地固め法開発の経緯
食道静脈瘤患者の治療指針
地固め法の適応
地固め法の手技
地固め法の考え方
3 )内視鏡的硬化療法結紮術併用療法(EISL)/近森文夫
基本となる内視鏡的硬化療法(EIS,高瀬法)
内視鏡的硬化療法結紮術併用療法(EISL)
症例提示
② 内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)/荒木寛司
EVLの適応
EVL症例に対する門脈血行動態の評価
待期・予防例に対するEVL の実際
APCによる地固め療法の実際
Lg‒c合併食道静脈瘤,巨木型食道静脈瘤のEVL
合併症
EVLの治療成績
EVL後の経過観察
Ⅲ 難治性食道静脈瘤に対する治療法
1 .巨木型食道静脈瘤/近森文夫・高瀬靖広
巨木型食道静脈瘤とは
治療における問題点
治療の工夫
症例提示
2 .食道壁外シャントを有する食道静脈瘤/竹中一央・入澤篤志
食道壁外シャント症例の血行動態
食道壁外シャントの診断
食道壁外シャント症例の治療法
特殊な食道壁外シャント症例に対する治療法
治療後の評価
3 .肝癌合併食道静脈瘤/内山明・國分茂博
肝細胞癌合併例に対する静脈瘤治療戦略
当院での肝細胞癌合併食道静脈瘤に対する治療経験
第Ⅵ部 孤立性胃静脈瘤治療の実際
Ⅰ 出血例への対応
1 .保存的治療法(バルーンタンポナーデ法)/小原勝敏
止血用胃バルーンチューブの種類と特徴
バルーンタンポナーデ法の実際
2 .内視鏡治療(内視鏡的組織接着剤注入法)/小原勝敏
胃静脈瘤出血例に対する治療効果のエビデンス
出血例に対するCA法(αCA法,HA法)
CA法の治療成績
CA法の偶発症
CA法施行後の予後
Ⅱ 待期・予防例への対応
1 .内視鏡的組織接着剤注入法を中心とした治療法/引地拓人・高木忠之・小原勝敏
適応と禁忌
手技
治療成績ならびに有害事象
専門施設への紹介のタイミング
2 . バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)
a.実際の手技,治療成績,偶発症,予後など/清末一路・丸野美由希
BRTOの際に重要な静脈解剖
アプローチとバルーンカテーテル
硬化剤
BRTO 手技
治療成績と合併症
b.BRTO の手技の工夫(foam)/小泉淳
適応
使用機器・薬剤,実際の手技
治療成績と合併症,予後
Ⅲ 難治性胃静脈瘤に対する治療法
1 . 内視鏡治療困難例に対する対処法―腎静脈系短絡路閉塞下硬化療法(SO‒EIS)/引地拓人・高木忠之・小原勝敏
適応
使用機器・薬剤
手技
成績から見た有用性と問題点
2 .BRTO難治例に対する対処法/和栗暢生・大﨑暁彦・渡邉雄介
胃腎シャント一本化の工夫
流入血流量の制御
第Ⅶ部 食道・胃静脈瘤治療に対するIVR(BRTOを除く)/吉田寛・清水哲也・谷合信彦
側副血行路塞栓
門脈圧減圧
その他
第Ⅷ部 門脈圧亢進症の外科的治療
Ⅰ 門脈圧亢進症に対する腹腔鏡下脾臓摘出術と胃上部血行遮断兼脾摘術(Hassab 手術)/赤星朋比古・橋爪誠
(腹腔鏡下)脾臓摘出術
胃上部血行遮断兼脾摘術(Hassab 手術)
術後の合併症
Ⅱ シャント手術/金子順一
シャント手術の歴史
シャント手術は絶滅したのか?
シャント手術を施行した症例
Ⅲ 肝移植/金子順一
肝移植の動向
肝移植の適応
脳死肝移植希望者(レシピエント)選択基準
シャント(側副血行路)の存在
門脈血栓症
アルコール性肝硬変は?
肝移植後の予後
第Ⅸ部 食道・胃静脈瘤患者における門脈血栓/小嶋清一郎・渡辺勲史
門脈血栓の診断
門脈血栓の治療
第Ⅹ部 食道・胃静脈瘤治療における栄養管理/中西啓祐・瓦谷英人・吉治仁志
肝硬変患者の栄養状態の評価
分岐鎖アミノ酸製剤(BCAA)の有用性
就寝前エネルギー投与(LES)の有用性
食道・胃静脈瘤治療における栄養管理の注意点
サルコペニア対策
第Ⅺ部 異所性静脈瘤の診断と治療
Ⅰ 十二指腸静脈瘤/松井繁長・樫田博史・工藤正俊
臨床的特徴
治療
症例提示
治療方針
Ⅱ 小腸静脈瘤,結腸・直腸静脈瘤/小原勝敏
異所性静脈瘤の局在部位別頻度
小腸静脈瘤の特徴と治療法
大腸静脈瘤の特徴と治療法
Ⅲ胆管静脈瘤,胆管空腸吻合部静脈瘤/高木忠之・小原勝敏・大平弘正
胆管静脈瘤
胆管空腸吻合部静脈瘤
第Ⅻ部 食道・胃静脈瘤の現況と今後の展望
Ⅰ 各種治療法と保険適用の基礎知識/中村真一
保険請求における手術手技
内視鏡治療における医療材料
診断群分類(DPC)
Ⅱ 経口直接作用型抗ウイルス薬(DAA)と静脈瘤/早川優香・玉城信治・泉並木
DAAと門脈圧亢進症
SVRと静脈瘤
Ⅲ 食道・胃静脈瘤研究最前線
1 .食道・胃静脈瘤出血予測に関する研究の温故知新/中村真一
2 .NAFLD/NASH と静脈瘤/戸張真紀・橋本悦子
NAFLD/NASHとは
NAFLD/NASHと食道胃静脈瘤
3 .門脈圧亢進症における分子生物学的検討/赤星朋比古・橋爪誠
門脈圧亢進症の成立機序
Ⅳ 集学的治療と今後の展望/田尻孝・吉田寛・谷合信彦
食道・胃静脈瘤に対する治療法の変遷
食道・胃静脈瘤に対する集学的治療
将来展望
資料 門脈血行異常症の診断と治療に関するガイドライン/古市好宏
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書籍情報
- ISBN:9784888752473
- ページ数:366頁
- 書籍発行日:2021年6月
- 電子版発売日:2021年6月4日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:2
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