あめいろぐ高齢者医療“Ameilog” book on Geriatrics

  • ページ数 : 214頁
  • 書籍発行日 : 2020年8月
  • 電子版発売日 : 2021年7月7日
3,850
(税込)
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商品情報

内容

医療ソムリエのように,患者と家族の価値観に寄り添った医の役割を提案できますか

今回ばかりは教科書を作りました。こんなに高齢化が進んだ社会なのに、Geriatrics(老年科)の定番textが、日本にないからです。そこで、Geriatrics発症の地・アメリカから2人のドクターを招聘。
【Dr.HiguchiとDr.Uemura】
ですが、本場のGeriatricianによる上から目線の本でありません。

認知症,多剤併用,緩和ケア
終末期の意思決定,ACP
お看取り,失禁.体重減少 等

患者や家族の痛みや苦しみ,価値観を聞きだし、「ベストなケアとは何か?」
それをともに考える本です。

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
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序文

皆さん,こんにちは.樋口雅也です.現在ボストンのマサチューセッツ総合病院で医師として働いています.高齢者のための外来や病棟での診療,そして緩和ケアを専門にしています.本書は高齢者診療のど真ん中を突き抜ける,これまでになかった医療本です.

高齢者医療は複雑です.さまざまな要因が相関し,高齢患者の容体やその周辺状況は一見カオスのようにみえます.扱う情報が多く,複雑に絡み合っています.「慢性疾患は多いし」「認知症はあるし」「薬のリストはとてつもなく長く」「介護は必要で」「家族は近くにいない」.そんな高齢者医療に圧倒され,ふと気づくと,「思考停止」に陥ってしまいます.

そして考えることをやめてしまうと,医師がとれる行動というのは「何もしない」か「すべてやる」などと,極端になりがちです.しかし,本当にそれでよいのでしょうか.「何もしない」と「すべてやる」のあいだには,何か高齢者に大切なことがあるのではないでしょうか.

# じゃあ,考え続けるためのヒントをください(研修医の声)

ええ,まさしくそこを狙ったのがこの本なのです.超高齢社会では,高齢者医療はすべての医療者にとって「自分ごと」です(避けては通れません).ですから,この一見カオスのような高齢者医療をできるだけシンプルに捉えることができるコツやホンネを本書に満載しました.

# カオスをシンプルにだなんて.無茶ぶりです

もちろん,複雑なことは複雑です.ただ,「考えることをやめないこと」,このことが何よりも重要であり,皆さんに「とりあえず高齢者医療をシンプルに捉え,はじめの一歩を踏み出してほしい」と思い,メッセージ化したのです.

そして,考え続けることが,高齢者医療全体を押し上げます.医療者1 人ひとりが,少しずつ高齢者医療をよくしようとストレッチすれば,高齢者が受ける医療は「いつでも」「どこでも」「格段に」よくなるのです.本書の狙いはまさにそこにあります.

これまで「気づいていなかった」,または「整理されていなかった」高齢者診療のコツやホンネは,すでに皆さんの目の前で起き,頭の中に芽生えていると思います.そのためには「思考停止」とならず「考え続けること」,本書がそのことに気づくきっかけとなり,高齢者診療を俯瞰するスキルを身につける一助となれば,と思っています.

# それが「ど真ん中の高齢者医療」なんですね.

はい.その気づきは,あなたの中にあります.最後に,お声をおかけいただいた,あめいろぐシリーズ監修の反田篤志先生,高齢者・緩和医療で北米随一といわれるマウントサイナイ病院で研修を受けられた植村健司先生,そして程田靖弘様をはじめとする丸善出版編集部の方々のご尽力に感謝申し上げます.

目次

第 1 部 なぜ今高齢者医療なのか?

1 章 Geriatrics(老年科)って,何? 植村健司

本音トーク 1 老年科医は高齢者に特有の問題に精通したプロ,

Geriatrician・9 カ条をご覧ぜよ

本音トーク 2 障害を未然に防ぎ,臓器を超えて患者全体を診る

本音トーク 3 エビデンスの限界を踏まえ,エビデンスを応用する

本音トーク 4 日本の現況は普及率 30%,高齢者にベストなケアを

2 章 高齢者診療のコツ Geriatric Assessment のススメ

樋口雅也

本音トーク 1 患者は医療者を選べない.ゆえにすべての医師が Littleʻgʼ に

本音トーク 2 高齢者診療は 5Ms で俯瞰する

本音トーク 3 超簡単・短時間で高齢者診療が上達する RGA(DEEP-IN)

本音トーク 4 機能に注目した非包括的機能レビューを実践せよ

3 章 高齢者における「ベストな処方」とは? 植村健司

本音トーク 1 薬物動態と薬力学の加齢による変化をマスターせよ

本音トーク 2 必ず薬の副作用を鑑別に入れる

本音トーク 3 服薬エラーの原因は患者ではなく,医師にあり

本音トーク 4 不要な薬の中止は腕利き医師の必須スキル

本音トーク 5 患者のゴールと予後を踏まえ,ポリファーマシーに対処する

第 2 部 高齢者機能障害への実践的アプローチ

4 章 知ってそうで知らない「機能障害・フレイル・転倒」 植村健司

本音トーク 1 機能(function)評価が大事,5 つの理由

本音トーク 2 機能評価の要諦は入浴

本音トーク 3 機能障害への対処は「改善」と「軽減」

本音トーク 4 転倒は重大イベント,要因を究明し,次を防ぐ

5 章 高齢者の体重減少を見逃すな

5 章 高齢者の体重減少を見逃すな! 樋口雅也

本音トーク 1 とにかく

高齢者の体重減少に気づく

本音トーク 2 経時的に記録し,体重減少のリスクを回避

本音トーク 3 高齢者診療の 5Ms で包括的アセスメント

本音トーク 4 経管栄養は QOL を改善しない

本音トーク 5 経管栄養のベネフィットとリスクを共有する

6 章 排泄機能低下(尿失禁に着目!) 樋口雅也

本音トーク 1 尿失禁は 3 つの軸でケアする

本音トーク 2 ご機嫌を損ねる尿失禁以外は見守るだけ

本音トーク 3 「高齢者イコール尿失禁あり」は誤り

本音トーク 4 高齢者尿失禁マネジメントのコツは,尿失禁の原因に介入

7 章 認知症の場合,どうする…?(高齢者の認知機能障害)

樋口雅也

本音トーク 1 認知症は頭・体・心が機能不全となる脳症候群

と捉える

本音トーク 2 コモンなのに見逃しがちな認知症.

まずはスクリーニングで探知せよ

本音トーク 3 認知症は根治療法がなく,

進行性で「死」に至る死因の 1 つと考える

本音トーク 4 認知症患者の入院は死亡リスクが高い

本音トーク 5 5Ms とステージアプローチで必要なケアを見極める

8 章 せん妄の場合,どうする…?(高齢者の認知機能障害)

樋口雅也

本音トーク 1 せん妄はコモンだが見逃し多し

本音トーク 2 せん妄は「病名」ではない.症状であり症候である

本音トーク 3 見逃しは CAM で察知し,チームで対応せよ

本音トーク 4 予防と介入は一緒

本音トーク 5 薬剤拘束と機械的身体拘束は治療ではない

第 3 部 高齢者のホットスポット(老年緩和ケアなど)

9 章 痛みの評価とマネジメント(オピオイド使えますか?)

植村健司

本音トーク 1 高齢者の痛みの評価は,若年者と違いあり

本音トーク 2 痛みの評価,特に認知症患者は要注意!

本音トーク 3 痛みを取り除くことだけを目標とすべきではない

本音トーク 4 オピオイドへの苦手意識を正しい知識で克服

10 章 よりよい看取りのための心構え(緩和ケアの基礎) 植村健司

本音トーク 1 その医療行為が患者の求めるゴールに役立つかを考える

本音トーク 2 ゴールを意識して内服薬を見直す

本音トーク 3 あらゆる対話を通じて「ベストなケア」プランを

本音トーク 4 予後の期間は「範囲」で伝え,imminent death を説明

11 章 看取りの際によくみられる症状とそのケア 植村健司

本音トーク 1 呼吸困難は患者の感じる症状.数値で測れなくても否定しない

本音トーク 2 患者の予後が限定される終末期せん妄,家族ケアも試みる

本音トーク 3 終末期のうつは少しでも疑いがあれば治療を検討する

本音トーク 4 不要な抗菌薬は患者の死を長引かせる

本音トーク 5 なぜ点滴をしないことが「善」なのかを理解する

12 章 医療コミュニケーション・意思決定・ACP 植村健司

本音トーク 1 トピックと時間に依存するキャパシティーを見抜く

本音トーク 2 患者の価値観に寄り添った代理意思決定を行う

本音トーク 3 患者・代理人・医療者による ACP で意思確認

本音トーク 4 ソムリエモードで終末期のゴールを提案する

本音トーク 5 SPIKES を活用し,よくない知らせを告げる

13 章 これからの高齢者医療 樋口雅也

本音トーク 1 絶滅危惧種の老年科医

本音トーク 2 高齢者への医療は,老年科医だけでよくなるはずがない

本音トーク 3 個人レベルでの ʻgʼeriatrics,5Ms の実践

本音トーク 4 高齢者にフレンドリーな医療システムを

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書籍情報

  • ISBN:9784621305355
  • ページ数:214頁
  • 書籍発行日:2020年8月
  • 電子版発売日:2021年7月7日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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