- m3.com 電子書籍
- 全日本病院出版会
- ゼロからはじめる!Knee Osteotomy アップデート
ゼロからはじめる!Knee Osteotomy アップデート
日本Knee Osteotomyフォーラム (編著) / 全日本病院出版会
商品情報
内容
近年注目されつつある変形性膝関節症に対する“膝周囲骨切り術"について、患者一人ひとりにオーダーメイドの治療をするため、膝周囲骨切り術に関する知識・診療技術を系統立てて網羅した1冊!
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版
序文
序
1整形外科分野において変形性膝関節症(膝OA)は加齢とともに多くの人々に訪れる最もポピュラーな疾患の一つです.疼痛や変形の程度,さらには既往症や年齢に応じて保存的治療から外科的治療まで幅広い対応が必要となります.現在,最も一般的な外科的治療は人工膝関節置換術(TKA)です.2017 年はその数は90,000 件を上回る勢いでした.一方,膝骨切り術は約8,000 件程度であり以前よりは増える傾向にありますが,まだまだ両者には大きな開きがあります.近年の科学技術の進歩とともにTKA は機種の改良もなされ性能も向上してきたとは思いますが,完全に膝関節機能を担えるか?というとそれは不可能です.生来の自分の膝の機能は人工関節に優るものであり,決して安易に置換するものではありません.
1965 年のMB. Coventry の報告に始まった高位脛骨骨切り術(HTO)は,日本では1980年から2000 年にかけて一般的な外科的治療法となりつつありましたが,人工膝関節の性能の向上に伴ってその影をひそめることになってしまいました.また,以前のHTO は手術手技が煩雑で術後のアライメントの維持も困難で,長下肢ギプスを使用したこともあり,患者さんも長期間の入院を強いられた過去があります.そのような経験を重ねた先生方はどうしてもHTO には否定的となり,部下の若手の先生方には積極的な教育をしてこなかった時代があったようです.しかし,ここ数年でHTO の流れは大きく変わりました.骨を連結する内固定材の進歩や手術テクニックおよびリハビリテーション技術の向上などにより入院期間が大幅に短縮されるに至ったのです.近年,膝周囲骨切り術(around the knee osteotomy;AKO)という概念が台頭し,さらに多くの膝の変形をベースとする疾患に対応できるようになりました.これまでは膝OA に対しての骨切り術はHTO 一辺倒でしたが,大腿骨遠位骨切り術や新しい脛骨近位骨切り術,さらにはそれらを組み合わせた手術の開発のお陰で,患者さん一人一人の生活背景や膝OAの進行状況に合わせたオーダーメードの治療ができるようになってきました.膝骨切り術も新しい時代に入ったのです.
膝関節を開けてみて“なぜTKA を選択した?”と自問自答した経験がある先生方も多くいるのではないでしょうか?それが若い患者さんであればなおさらです.さらに,日本では自分や自分の家族に対して率先してTKA を行いますか?という問いかけに対してほとんどの整形外科医は“ノー”と答えます.自分の身内には適応することを拒む手術を他人であれば躊躇なく実施することができるとはどういうことでしょうか.まずは関節を温存する治療を考えることが常識であると私は思います.粗い言い方にはなりますが,膝骨切り術は患者さんにとって失うものがTKA に比べてはるかに少ないとも考えられます.膝関節が残っているからこそ次の一手が打てるということは患者さんばかりでなく我々医師の側にとっても幸せなことです.最近の再生医療や医工学技術の進歩には目を見張るものがあります.近い将来,AKO と膝関節再生治療はウインウインの関係となることが大いに期待されます.
この先AKO に関する知識や技術がなければ膝関節外科医を名乗ることができない時代となるでしょう.これまでAKO に関する系統的な教材がなく,これを学ぼうとする先生方に相当なご不便をお掛けしていたことに気付き,ここに日本Knee Osteotomyフォーラムの世話人の先生方が中心となって「ゼロからはじめる! Knee Osteotomyアップデート」というタイトルのMOOK を発刊することとなりました.いずれもAKOに明るい先生方ばかりで読者の皆様の疑問にも明確にお答えすることができると信じています.2011 年にプレフォーラムを開催いたしましたが,正式には日本Knee Osteotomyフォーラムは2012 年に第1 回を安田和則会長のもとに開催して以来2018 年で第7回となります.これから是非多くの先生方にご参加いただきたいと思います.
最後に日々の診療や研究にお忙しい中,快く執筆の依頼をお引き受けいただきました先生方に心より感謝申し上げます.また,膝骨切り術という新しい概念に基づいた日本で初めての参考書の出版をお引き受けいただきました全日本病院出版会の皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます.
本書を明日からの膝診療のお役に立てていただければ幸いです.
2018年 春
横須賀市立市民病院関節外科センター
竹内良平
目次
Ⅰ.骨切りの歴史
1 日本での流れ/安田和則
2 世界の流れ/澤口 毅
Ⅱ.骨切り術に必要な解剖
1 血管,リンパ,神経分布/安村建介
2 大腿骨骨切りに必要な解剖
a.外側アプローチ/秋山武徳,仲村俊介
b.内側アプローチ/秋山武徳,仲村俊介
3 脛骨骨切りに必要な解剖
a.内側アプローチ/安村建介
b.外側アプローチ/秋山武徳,仲村俊介
Ⅲ.手術総論
1 セットアップ/齊藤英知,島田洋一
2 適応と除外/齊藤英知,島田洋一
3 術前計画/齊藤英知,島田洋一
4 JLCAとアライメント/小川寛恭,松本 和
Ⅳ.手術各論
A Open wedge high tibial osteotomy(OWHTO)
1 Anatomical TomoFixプレート/竹内良平
2 TriSプレート/近藤英司,安田和則
3 Puddu typeプレート/阿部雅志
4 Hemicallotasis/中村英一
5 半月板とOWHTO/中村立一,髙橋祐樹
6 ACL不全膝に対するOWHTO―ロングプレート―/久保田光昭
7 ACL不全膝に対するOWHTO―ショートプレート―/鈴木智之
8 ナビゲーション手術/山本祐司,石橋恭之
9 青壮年美容的矯正/藤間保晶
B 骨癒合
1 Gap filling/澤口 毅,五嶋謙一
2 骨棘移植/秋山武徳,仲村俊介
3 同種骨移植併用/井手衆哉
4 骨補填材/田中孝昭,熊谷吉夫
5 その他の工夫/横山勝道
C Closed wedge high tibial osteotomy(CWHTO)
1 Interlocking CWHTO/岡崎 賢
2 Hybrid CWHTO/竹内良平
3 腓骨骨切り術/齊藤英知,島田洋一
D その他の脛骨近位骨切り術
1 腓骨骨切り部プレート固定を伴ったドーム型骨切り術/葛城良成
2 島根大式ドーム状骨切り術/熊橋伸之,内尾祐司
3 逆V字型高位脛骨骨切り術/近藤英司,安田和則
4 脛骨顆外反骨切り術(tibial condylar valgus
osteotomy;TCVO)/米倉暁彦
E 大腿骨遠位骨切り術
1 Distal femoral osteotomy(DFO)/松下雄彦,荒木大輔
2 Double level osteotomy(DLO)/中山 寛,吉矢晋一
F High tibial osteotomy(HTO)の合併症―回避のコツ―
1 骨癒合遷延/中村立一
2 Tibial posterior slope angle(TPS)の増大/石川博之,竹内良平
3 血管損傷/花田弘文,藤原 明
4 Deep vein thrombosis(DVT)/武内謙輔,藤原 明
5 感染/三岡智規
6 脛腓関節障害/五味徳之,近石宣宏
7 HTOからTKAへ/谷口 亘,近藤 誠
Ⅴ.術後後療法
1 早期荷重のためのリハビリテーション/石川博之,竹内良平
Ⅵ.評価とバイオメカニクス
1 評価方法/岡崎 賢
2 高齢者の成績/五嶋謙一,澤口 毅
3 HTO後の効果/五嶋謙一,澤口 毅
4 歩行解析/五味徳之,近石宣宏,山田英司,片岡悠介
5 力学/島 洋祐,澤口 毅
Ⅶ.High tibial osteotomy(HTO)と関節軟骨
1 HTOと軟骨再生総論/中村憲正,山田裕三
2 HTO前後の膝蓋大腿関節(PF)評価/山田裕三,中村憲正
3 CWHTOとOWHTOの膝蓋大腿関節(PF)の変化/大槻周平
4 OWHTOと軟骨再生/阿部里見
5 骨軟骨移植とHTOの併用/佐伯和彦
索引
便利機能
- 対応
- 一部対応
- 未対応
-
全文・
串刺検索 -
目次・
索引リンク - PCブラウザ閲覧
- メモ・付箋
-
PubMed
リンク - 動画再生
- 音声再生
- 今日の治療薬リンク
- イヤーノートリンク
-
南山堂医学
大辞典
リンク
- 対応
- 一部対応
- 未対応
対応機種
-
iOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:36.9MB以上(インストール時:80.6MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:147.7MB以上
-
AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:36.9MB以上(インストール時:80.6MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:147.7MB以上
- コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
- コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
- Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
- Androidロゴは Google LLC の商標です。
書籍情報
- ISBN:9784865192452
- ページ数:300頁
- 書籍発行日:2018年5月
- 電子版発売日:2021年7月30日
- 判:A4変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
お客様の声
まだ投稿されていません
特記事項
※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。
※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍が必要です。
※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。