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- 脳卒中×臨床OTー「今」、リハ効果を引き出す具体的実践ポイント
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序文
はじめに
脳卒中リハビリテーションは,機能分化されている医療・介護・福祉分野において,各専門職が関わりを持つようになっているだろう.急性期・回復期・生活期・終末期というStage.全てにおいてリハビリテーション専門職が関わることができる.各時期においてセラピスト数は,若干に偏りもあるだろうが,日本という国は素晴らしい.それを実行できるのだから.そのような環境で私たちリハビリテーション専門職は,時代と共に圧倒的な右肩上がりで増え続けている.しかしながら,本当の意味での未来はあるのか? そう感じ始めたこの頃である.
私たちの対象は,全国民である.介護予防から疾患別リハビリテーション,看取り直前まで.はたして,その臨床教育は実態に追いついているのだろうか.医学と科学とリハビリテーション,そしてエビデンス.これらの整合作業は,はじまったばかり.エビデンスが重要なのは当然のことである.しかし,エビデンスがあることだけが臨床なのか?
臨床は嘘をつかない.なぜなら対象者にその効果がみえるから.
真の臨床家は知っている.「現場の泥臭さ」を.単純な運動療法・ロボット訓練,単純なROM訓練だけではどうにもならないことを実感している.当疾患において言えば,「運動が麻痺している」だけではない.感覚・知覚障害や重度の痙性・低緊張,肩の痛み,失調症,高次脳機能障害・認知症,内部障害との合併,そしてパーソナリティや環境の違い等,一人一人の持ち合わせた背景は異なる.それに対応した私たちでなければならない.また,効果は「何をもって効果なのか?」.昨今,ADL至上主義に感じているのは私だけだろうか.いや,対象者に寄り添ってみれば,それだけではよくないことに誰もが気付いているはず.もちろん,当院でもFIM等のADL評価を行う.FIM利得とFIM効率もかなりの数字と自負している.だが対象者が望んでいることは,それだけでない.「身体を治してほしい」誰が何といっても,絶対的本音である.ICFにも「心身構造」は存在する.身体あっての「ADL」,「活動」であることを忘れてはならない.
私たちは対象者の効果判定において,長期間による効果も診るだろう.短期間でも同様.しかし,重要なのは「その場」である.今,この場での,1回介入での「効果」を,私たちセラピストや対象者が実感しているだろうか.長期間での効果は,もしかしたら自然回復かもしれないし,他職種によるものかもしれない.自分かもしれない.それが分からないのは苦しい.1回での効果がみえることは,新たな活動につなげられ,質を変え,予後を見据えることができるだろう.
今回の書籍のテーマは,『「今」目の前の対象者で臨床推論,効果を引き出す』である.私は,これまで30年以上の臨床経験ではあるが,まだまだ.「自分はへたくそだな」そう思う毎日.「これはよかった.いい反応だ」もある.そう繰り返しての長いようで短い期間でもあった.山梨リハビリテーション病院(当時は,山梨温泉病院)に就職して培った臨床はかけがえのない宝物.この職場で縁のあった現役職員全員とOBたちでまとめたこの一冊である.私たちにとって,皆様にとって,気付きの書籍になれば幸いである.
2020年8月執筆者を代表して
山梨リハビリテーション病院
山本伸一
目次
発刊に寄せて① 中澤良太
発刊に寄せて② 山城亘央
はじめに 山本伸一
STEP 1. 臨床評価と具体的実践のまえに①
臨床推論のための概論①(脳卒中の理解) 山本伸一
STEP 2. 臨床評価と具体的実践のまえに②
臨床推論のための概論②(介入の在り方を再考する) 山本伸一
STEP 3. 実践①運動療法アプローチ1
事例1:背臥位・寝返り 野上雅史
事例2:起き上がり・座位 武本幸子
事例3:リーチ 青木栄一
事例4:立位バランス 安田貴光
事例5:移乗 香川美恵子
STEP 4. 実践②運動療法アプローチ
事例6:体幹の促通 佐尾健太郎
事例7:パーツの促通 肩甲骨 原田直輝,原田成美
事例8:パーツの促通 骨盤 相川浩貴,浅川 愛
事例9:パーツの促通 足関節 土居史和
事例10:パーツの促通 手 濱渦健弘,石野佳奈
STEP 5. 実践③活動介入アプローチ
事例11:更衣 廣田真由美
事例12:トイレ 上野智広
事例13:食事 山本祐紀
事例14:整容 佐野絵理,三谷祐司
事例15:入浴 沢田尚司
STEP 6. 実践④Activityアプローチ
実践!Activity を活かすとは? 片岡聡子
事例16:輪入れ・輪投げ 木村奈保美
事例17:コーン 佐藤靖伸
事例18:お手玉 濱田一登志
事例19:新聞紙 栢沼卓也,島袋圭太
事例20:おはじき 森谷禎寛,森谷瑞穂
事例21:書字 三浦 渚,上原清太
STEP 7. 応用・困難事例
事例22:高次脳機能障害 半側空間無視 森下和美,三瀬和彦,森田拓弥
事例23:高次脳機能障害 前頭葉症状 工藤 亮
事例24:高次脳機能障害 失語症 土岐泰子
事例25:高次脳機能障害 認知症 門脇達也
事例26:ポジショニング 背臥位 飯島有里
事例27:ポジショニング 車いす 浅尾章彦,森下和美,野上雅史,浅尾千紘
事例28:肩の痛み インピンジメント 児玉浩志
事例29:肩の痛み ストレッチペイン 児玉浩志
Column
①新人としての心構え 和知れいな
②患者とのコミュニケーション 菅野信継
③業務の把握が難しい非常勤の悩み解消!! 林 佳奈子
④他部署連携の中の工夫 佐藤 綾
⑤子育てをしながらの工夫 栗田裕子
⑥職員教育の工夫 鈴木千恵美
⑦作業療法士であるお母さんの工夫 大浦祐子
おわりに 山本伸一
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書籍情報
- ISBN:9784908083563
- ページ数:311頁
- 書籍発行日:2020年9月
- 電子版発売日:2021年8月18日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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