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- 小林 幸治
- PT・OT学生のためのクリニカル・クラークシップ臨床実習ガイド[実習での経験の仕方・学び方]
商品情報
内容
約20年ぶりの理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則および指導ガイドラインの改正により、総単位数の見直し、臨床実習の在り方、専任教員の要件の変更などがなされ、2020年度の入学生より適用となった。
本書では、診療参加型臨床実習の説明や実習で学ぶべき内容やその学び方、実習前の準備から始まる実習への参加の方法、記録の意味とその方法などをわかりやすく解説。学生および臨床教育者が楽しく実習を進められるガイドブックであり、臨床実習のバイブルとなる書である。
また、MTDLPをわかりやすく解説し、「診療参加型+MTDLP=作業療法参加型臨床実習」という考え方により、「作業療法士の思考過程が明確になる」ことや「対象者のニーズを把握し、アセスメントからプラン立案まで行うことにつながる」ことに言及している点は、他書にみられない最大の特徴である。
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序文
序文
筆者は,2017 年に「作業療法のクリニカル・クラークシップガイド」という本の編著に関わりました.クリニカル・クラークシップ(CCS)はもともと医師養成・育成の理論です.そして,PT/OT の臨床実習で活用するには,例えば関節可動域訓練(ROM)などの臨床技能を指導するには向いているが,考え方を指導するには向かない,特に作業療法の考え方を指導することは難しい,という意見が当時強くありました.それに対して,作業療法士養成・育成に非常に適した指導理論であることを伝えるために書きました.また,筆者は,生活行為向上マネジメント(MTDLP)の開発と普及に9 年ほど携わってきましたが,このツールや考え方は臨床実習で非常に活用しやすいが,その際にはCCS で指導すると良いということをずっと主張してきました.現在,日本作業療法士協会では「作業療法参加型臨床実習」という言葉を使っていますが,それは正にMTDLP×CCS で進める臨床実習のことです.筆者がCCS やMTDLPを推す理由は,自分の臨床経験,臨床実習指導経験,リハビリテーション科所属長としてPT/OT/ST の人材育成に関わった経験,そして大学で臨床実習責任者として取り組んできた経験が基にあります.人は育てられるのではなく,育つ存在です.その時に,指導者が学ぶ者と対話しながら,個別の目標を両者で共有し,それに基づいて正当な助言と評価をすることが理に適っていることは非常に確かな真理です.
2020 年4 月から,改訂された「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」が施行されています.臨床実習指導者となる人は,経験年数だけでなく,臨床実習指導者講習会で現場教育や臨床教育について学ばなくてはならなくなりました.もちろんCCS の内容が多く含まれています.
6~7 年前,筆者の恩師であり,同じ大学の教授であった先生が,筆者が臨床実習指導者会議(いわゆるSV 会議)で臨床実習指導者の方々に向けてCCS の講演をした際,「この講義を学生にもやりなさい」と助言してくださいました.臨床実習指導者だけでなく学生がCCS に基づく「臨床実習での学び方・経験の仕方」を知っていることで,学生は慣れない臨床現場で居づらさそうに過ごすのでなく,臨床実習へ自分がPT・OT 助手として参加し主体的に学ぶ機会として活かすことができると考えています.本書は,この意図で「臨床実習での学び方・経験の仕方」に絞って書いた本です.そして,PT/OT 学生の方々には,臨床実習の経験をその後の療法士としてのスタートに活かしていただけることを応援し,心より願っています.
小林幸治
目次
Chapter 1 はじめに:臨床実習での学び方・参加の仕方を知ることが大切!
Chapter 2 臨床実習では何を経験すればよいか
1 臨床実習で全部できる必要はない
2 見学実習・評価実習・総合臨床実習の違いと到達目標
(1)見学実習
(2)評価実習
(3)総合臨床実習(長期実習)
3 臨床実習で評価される項目:基本的態度,臨床技能,臨床思考過程
(1)基本的態度
(2)臨床技能
(3)臨床思考過程
4 臨床実習ではどのように成績が決められるのか
Chapter 3 診療参加型実習とは -今までの実習との違い
診療参加型実習(クリニカル・クラークシップ:CCS)とはどんな実習か
Chapter 4 CCS臨床実習での段階的な学び方
(1)正統的周辺参加
(2)認知的徒弟制
(3)臨床技能での段階的な進め方
1 見学(観察)の仕方,解説(説明)の聞き方
2 模倣(前期):手取り教わりながら実際のイメージを持つ
3 模倣(後期):上達するためにポイントを押さえながら実施する
4 実施段階の学び方:見守りでその臨床技能ができるようになる
Chapter 5 実習の参加の仕方
1 実習前の準備
(1)実習する環境を知っておく:どんな実習地や指導者か
(2)学び方を知っておく
(3)意欲や態度を高める
(4)知識や技能を確かにしておく
2 OSCE(客観的臨床能力試験)への取り組み方
(1)OSCEとは何か:普通の実技試験とどう違う?
(2)課題や設定をよく読み込む
(3)丸暗記ではなく,意図を理解して練習する
(4)自分の課題に気づいて次の実習に向けて準備しよう
3 実習で学生に何が求められるのか
4 CCS実習でのコミュニケーションの取り方・質問の仕方
(1)医療チームの一員として対象者や他職種の話を聞く
(2)臨床記録(模擬カルテ)を作成する
(3)評価の解釈と,そこから計画を考える
(4)指導者とディスカッションする
5 臨床教育者(CE)のフィードバックをどう活用すればよいか
6 自己学習はどう取り組めばよいか
7 自分の目標を立てる,自己評価を行う
(1)臨床経験に関する目標
(2)学生として実習施設で行う役割の目標
(3)自分の成長のための目標
8 臨床実習で養成校の教員を活用する方法
Chapter 6 対象者への理解を深める記録の書き方
1 対象者への理解を深める記録の書き方
(1)臨床での記録は対象者のために書くものである
(2)臨床行為は対象者への理解がないと適切に行えない
(3)記録をきちんと書く人は対象者のためによい仕事をする人である
2 メモの取り方と実習記録の書き方
(1)メモの取り方
(2)実習記録の書き方
(3)各記録シートの書き方
a.臨床実習目標設定シート
b.模擬カルテシート
c.自己学習シート
3 CCSチェックリストのつけ方と活用の仕方
(1)学生がチェックリストのつけ方をよく理解できていない
(2)CEがチェックリストを重視しておらず,学生につけさせっぱなしになっている
(3)行った回数しかわからないので,結局,どこまでできるようになっているかが判断できない
4 臨床実習ファイル(ポートフォリオ)の作り方
(1)ポートフォリオとしての臨床実習ファイルとは
(2)ポートフォリオとしての臨床実習ファイル作成上の手引き
(3)ポートフォリオとしての臨床実習ファイルを使う際のポイント
(4)まとめ
5 模擬カルテの書き方
(1)模擬カルテとは
(2)模擬カルテを書く目的
(3)模擬カルテの書き方
6 実習後の事例報告の書き方
(1)レジュメに書く内容は?
(2)報告の目的に何を書くか
(3)事例紹介に何を書くか
(4)評価(初期評価)に何を書くか
(5)介入の基本方針
(6)実施計画に何を書くか
(7)介入経過に何を書くか
(8)結果(終了時評価)に何を書くか
(9)考察に何を書くか
(10)書き方のイメージを持つために
Chapter 7 自分を成長させる「考える実習」にしよう
1 臨床がわかる知識の学び方(臨床知識)
2 評価技術・治療技術の学び方(技能)
3 コミュニケーションや態度の学び方(態度・姿勢)
(1)コミュニケーションとはどのような行為なのか
(2)コミュニケーションや態度の上達に必要なこと
(3)臨床での対象者への説明・面接
4 臨床的な考え方の学び方(課題解決型学習法)
5 実習での経験を積み重ねるには(経験学習)
6 臨床実習における精神的支援
Chapter 8 さまざまな領域での実習へのワンポイントアドバイス
1 急性期・回復期・療養期・地域実習・精神科領域
(1)作業療法や理学療法の流れ
(2)情報収集の仕方
(3)対象者との治療的関係
(4)ICFやMTDLPという全体像を捉える枠組み
(5)目標に対応したプログラム
2 作業療法参加型臨床実習(生活行為向上マネジメントを活用した実習)の進め方
(1)生活行為向上マネジメント(MTDLP)とは
(2)MTDLPを活用した作業療法参加型臨床実習を推す理由
(3)クリニカル・クラークシップで経験する作業療法プロセス
(4)8週間実習でのスケジュール
3 臨床実習での多職種連携協働の学び方
Chapter 9 臨床実習後も臨床家として成長するために
1 臨床実習の振り返りの仕方
2 卒業後も成長し続けるために必要なこと
(1)臨床実習での経験が自分の基礎になる
(2)新人のときから心がけていたこと
(3)臨床家としての習慣を身につける
(4)アクティブラーナーとしての臨床家
3 学生の主体的参加によって実習施設もよくなる
(1)学生を受け入れる教育的職場づくり
(2)セルフマネジメント
(3)CCS臨床実習は,指導者に指導力が身につく
あとがき
付録 記録シート
1.臨床実習目標設定シート
2.CCS臨床実習記録シート
3.模擬カルテ(SOAP)シート
4.自己学習シート
5.臨床実習 週間振り返りシート
6.臨床実習振り返りシート
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書籍情報
- ISBN:9784902470600
- ページ数:120頁
- 書籍発行日:2021年1月
- 電子版発売日:2021年8月25日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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