身体機能・歩行動作からみたフットケア

  • ページ数 : 255頁
  • 書籍発行日 : 2016年5月
  • 電子版発売日 : 2021年9月1日
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

下肢切断に至る前段階でのフットケアの重要性が認知され,臨床現場では外科/内科的な医学的処置および看護対応が行われている.一方,糖尿病足病変の発症に影響する足部にかかるメカニカルストレスは,関節機能や筋機能,歩行動態などのバイオメカニクス的な問題により起きる.本書では,バイオメカニクス的な視点からのフットケアの基礎と実際について,理学療法士以外の職種にも理解できるよう豊富な図表と平易な表現で解説.

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Internet Explorer 11.x / Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版

序文

序文

世界では,糖尿病が原因で30秒に1本の足が失われていると推計されており,糖尿病足病変の発症予防や治療は喫緊の課題となっている.日本では,糖尿病の重症化予防のためのフットケアについて,2008年度診療報酬改定により糖尿病合併症管理料の算定が認められ,これまでよりもさらに医療者が糖尿病患者の足に注目するようになった.糖尿病合併症管理料の算定においては,医師が糖尿病足病変に関する指導の必要性があると認めた患者を対象に,患者のセルフケア能力の向上を支援(エンパワーメント)し,爪甲切除,角質除去や足浴などが必要に応じて実施される.

糖尿病足潰瘍の成因としては糖尿病神経障害(diabetic neuropathy:DN)と末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)による末梢血流障害(下肢の虚血)がある.DNとPAD以外の足部潰瘍のリスク要因としては,足潰瘍・切断既往歴,腎障害(特に透析患者),視力障害,血糖コントロール不良,足変形,関節可動域制限や高足底圧(高足底負荷量)などがあげられる.これらの内的要因に,反復メカニカルストレスや低温熱傷などの外的要因が加わると足潰瘍を発生させる.運動機能や感覚機能が低下すれば日常生活動作(activity of daily living:ADL)能力が障害されるし,糖尿病足病変に焦点をあてれば反復メカニカルストレスなど,足病変の発症と増悪に影響する.

近年,糖尿病患者では,糖尿病の存在,DNの合併とその重症化により運動機能へ影響することが明らかにされ,糖尿病は運動器疾患といえるエビデンスが集積されつつあり,糖尿病患者の運動器・身体機能へ注目する必要性が報告されている.人口の高齢化も関与し,重複障害を有する患者が増加しており,糖尿病以外の疾患の影響も考慮しなければならないフットケアの対象者が今後さらに多くなると予測される.また,糖尿病を合併したリハビリテーション対象患者も増加しており,フットケアの観点をふまえたリハビリテーションが今後さらに求められると考えられる.

本書は,糖尿病患者において身体機能・歩行動作に注目しなければならないエビデンスについて述べ,フットケアにおいて運動機能的な要因がどのように関与し,かつどのような介入が有効であるのかについて解説する,これまでにない視点からのフットケアの成書を目指している.本書が日常臨床におけるフットケアに寄与できれば幸いである.


2016年5月

野村 卓生,河辺 信秀

目次

I 糖尿病足病変とフットケア

1 下肢切断原因の変遷

2 糖尿病足病変とは

3 糖尿病足病変の発症にかかる要因

1 糖尿病神経障害(DN)

2 末梢動脈疾患(PAD)

3 その他(足変形,関節可動域制限および高足底圧)

4 糖尿病足病変のリスクアセスメント

1 糖尿病神経障害(DN)

2 末梢動脈疾患(PAD)

3 その他(足変形,関節可動域制限および高足底圧)

5 身体機能・歩行動作からみたフットケアの重要性

II 歩行のメカニズム

1 足関節・足部の解剖学と運動学

1 足部の関節運動の種類

2 機能による足部の3分割

3 足の筋肉

4 足関節の安定化に寄与する靱帯

5 足底アーチによる体重支持

6 ウィンドラス機効果による縦アーチの安定化

7 足の皮膚の構造

8 足の爪の構造

2 正常歩行とは

1 正常歩行の歩行周期

2 歩行におけるロッカー機構

3 歩行における下肢の筋活動

3 歩行時の足部への負担

1 床反力からみた歩行時の足部への負担

2 歩行時の足部への負担と荷重量

3 立位や歩行の姿勢と足部への負担

III 身体機能・歩行動作からみた糖尿病足病変

1 足病変の発症(初発)と再発

1 足底負荷量の増加と胼胝形成

2 足底負荷量に影響を及ぼす要因

3 足底負荷量に関する評価

2 創傷治療期

1 創傷治癒への足底負荷量の影響

2 足底負荷量へ影響を及ぼす因子

3 身体機能,生活機能の障害

1 糖尿病神経障害(DN)に起因する運動機能障害

2 創傷治療過程における運動機能障害

IV 身体機能・歩行動作からみた介入

1 フットウェア選択の考え方と実際

1 フットウェアとは

2 予防用フットウェアの効果と実際

3 治療用フットウェア(免荷device)の効果と実際

2 運動機能への介入

1 糖尿病神経障害(DN)による運動機能の低下

2  糖尿病神経障害(DN)合併患者の運動機能低下に対する介入のエビデンス

3  糖尿病神経障害(DN)合併患者の運動機能低下に対する介入の実際

3 歩行障害への介入

1 糖尿病神経障害(DN)に起因する歩行障害への介入

2 “フットウェア”による歩行障害への介入(予防用,治療用)

V  リハビリテーション対象患者に対するフットケアの実際

1 フットケアにおけるコメディカルの役割

1 身体機能・歩行動作からみたフットケアの実践に向けて

2 身体機能・歩行動作からみたフットケア介入の実際

3  身体機能・歩行動作からみたフットケアが普及しなければならない根拠

2 下肢慢性創傷

1)糖尿病神経障害による創傷治療期の患者

症例情報

1 評 価

2 プログラム

3 経 過

4 まとめ

2)末梢動脈疾患による創傷治療期の患者

症例情報

1 開始時の評価

2 4週後の評価

3 プログラム

4 経 過

5 まとめ

3)変形性関節症を合併した創傷治療期の患者症例情報

1 評 価

2 プログラム

3 経 過

4 まとめ

4)再発予防期にある患者症例情報

1 糖尿病足病変の評価(入院中の創傷治療期)

2 プログラム

3 経 過

4 糖尿病足病変の評価(退院後の再発予防期)

5 まとめ

3 その他の疾患

1)下肢切断患者

症例情報

1 開始時評価

2 プログラム

3 フットケアが必要と判断したポイント

4 糖尿病足病変に関する評価および分析

5 経 過

6 まとめ

2)心血管疾患患者

症例情報

1 開始時評価

2 プログラム

3 フットケアが必要と判断したポイント

4 糖尿病足病変に関する評価および分析

5 経 過

6 まとめ

3)透析患者

症例情報

1 開始時評価

2 プログラム

3 フットケアが必要と判断したポイント

4 糖尿病足病変に関する評価および分析

5 経 過

6 まとめ

4)脳血管疾患患者

症例情報

1 開始時評価

2 プログラム

3 フットケアが必要と判断したポイント

4 糖尿病足病変に関する評価および分析

5 経 過

6 まとめ

付録

1 用語解説

2 単位換算表

索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:30.8MB以上(インストール時:66.4MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:123.2MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:30.8MB以上(インストール時:66.4MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:123.2MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784830645396
  • ページ数:255頁
  • 書籍発行日:2016年5月
  • 電子版発売日:2021年9月1日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍が必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。