実学としての理学療法概観

  • ページ数 : 451頁
  • 書籍発行日 : 2015年11月
  • 電子版発売日 : 2021年9月17日
¥7,700(税込)
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商品情報

内容

基本知識だけでなく臨床現場での実践例も記載することで,より具体的な全体像を提供する.疾患別・病期別に,理学療法の基本と実際について症例を掲げて解説.初学者にもわかりやすく,現役の理学療法士にも役立つ本を目指した.日本の理学療法のパイオニア的存在である編集主幹の,集大成となる一冊.

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序文

序文


日本の理学療法学教育界では,「理学療法概論」に関連した書籍の発刊は複数あるが,諸外国では意外に少ない.アメリカでの筆者自身の学生時代には,カリキュラムの中に「理学療法概論」は含まれていなかった.ましてや,「リハビリテーション概論」すら含まれていなかった.諸外国の理学療法学課程のカリキュラムを詳細に調べたわけではないが,筆者が世界理学療法連盟の理事を務めていた頃,教育関連の情報を得ていたことや,筆者の担当職務は,会員国申し込み書類を審査することであったため,理学療法学課程のカリキュラムも点検していた関係上,上記の傾向を把握していた.一方,日本の多くの各分野のカリキュラムには概論的な科目が含まれていることが多い.

では,なぜこのような傾向があるのだろうか? これは,筆者の考察によると,特に,アメリカの医学系大学の教育方針と内容は全般的に,「技術論」を重視しており,概論的考え方や認識などは,各教科目の中で,必要に応じて各教員が教授して対応しているからであろう.この方法論にも一理あると思う.しかし,入学した初年度に総体的な概論を教授する意義,専門分野の全体像を理解していない学生が多いなか,その掌握と各分野の過去・現在・未来,教育目標・哲学,学習方法論などを教授しておくことは,オリエンテーションの役目も果たし,初学者の専門分野に対する学生生活のイメージ形成にも役立つと考える.さらに,各専門分野を専攻する学生にとって,概論はもとより,それぞれの教科目を学ぶことの必要性の理解や卒業後の職域,社会的立場を包括的に認知しておくことは,修学へのモチベーションの高揚にもなると考える.

本書の特徴としては,従来の「理学療法概論」の既刊書と比べ,より多角的な内容にすることであった.タイトルを「実学としての理学療法概観」としたのは,総体的理学療法体系は,教育・臨床・研究を基軸にして,終極的には種々の現場で対象者への質の高いサービスを介した社会的貢献となるからである.よって,初学者が在学時代だけではなく,それぞれの現場で活動する際のことも見据えて,より具体的で包括的な情報を提供できる内容にした.また,本書では,理学療法学の三大基礎科学としての解剖学,生理学,運動学を合体することを試みた.三大基礎科学を個別に学びながらも,学生はそれらを統合する必要がある.これは他の専門科目でも同じことがいえるが,まずは理学療法学の基盤になる基礎科学科目で試行したが,さらに工夫を重ねたい.

各執筆者は,それぞれのテーマについて,基本的な事項のみならず最新の知見も含めてもらい,初学者にはやや難しい箇所もあると思われるが,上記したように,臨床実習中はもとより,現場で活動するようになっても活用できるとのねらいがある.

本書でも,引用文献,法律・行政用語を除き,「訓練・障害・障害者」は,基本的に国際生活機能分類(ICF)と下記のDSM-5に準じて,他の適切な学術用語の使用に努めた.アメリカ精神科学会は,Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM-5)の改訂版を発刊し,用語の見直しを行っている.それを受けて,日本精神神経学会では,用語翻訳ガイドラインを精神神経学雑誌(第116巻第6号429-457,2014)に掲載している.

通常の「ことば」も「専門用語」も時代の発展,価値観の変遷などに伴い改訂されてきた.しかし,ひとたび刷り込まれた文化の中で,よきものは温存し,そうと思われないものは,改訂もしくは新たに創生されることが望まれる.日本で,理学療法(士)が誕生して半世紀になるが,いまだ理学療法界の用語を含む文化は,旧態依然とした部分が残存していると感じる.何事にしても固い決意と柔らかな精神活動が改革の鍵となるだろう.


2015年11月

編著者代表 奈良 勲

目次

I.理学療法の臨床,教育,研究の現状と展望

1 理学療法の臨床(法的枠組みと業務)

序説

1.臨床医学としての理学療法

2.理学療法の捉え方,その定義

3.理学療法士の業務

4.理学療法士と倫理

5.職域の拡大

結語

2 理学療法士にとっての哲学・倫理

序説

1.哲学を学ぶ意味

2.哲学が扱う課題

3.理学療法士にかかわる職業倫理と研究倫理

結語

3 理学療法学教育の概観─人類の文明化の基盤となる教育哲学的観点から

序説

1.教育(学)とは

2.人類の文明化の変遷と教育への影響

3.教育における「知・情・体・徳」への対応

4.理学療法学教育の夜明けと変遷

5.理学療法学教育論

6.教育方法論

7.教育心理学

8.教育評価学

9.臨床実習教育

10.学生へのメッセージ

結語

4 理学療法学における基礎的学問(解剖学・生理学・運動学)

─統合的な理解のための教育方法論を含む

序説

1.対象動作

2.生理学

3.解剖学と運動学

結語

5 理学療法研究

序説

1.理学療法研究

2.研究にかかわる教育

3.研究の実際

4.統計

5.研究成果の公表

結語

II.理学療法学専門教育科目の概要─意義と基本的な方法論

1 理学療法評価学

序説

1.理学療法評価と国際生活機能分類

2.医師の診断と理学療法士の評価

3.理学療法評価過程の実際

4.ICFに基づいた症例報告

5.理学療法評価学で習得すること

結語

2 運動療法学

序説

1.運動療法とICFモデル

2.運動学の基礎

3.運動療法効果の基礎

4.筋と運動療法

5.関節可動域と運動療法

6.運動療法としての早期離床

7.バランス

8.疼痛と運動療法

結語

3 物理療法学

序説

1.歴史と概要

2.物理療法のメカニズムと効果

3.各種物理療法の禁忌事項と臨床応用

結語

4 日常生活活動学

序説

1.ADLについての基本的知識

2.ADLの評価法

3.ICIDHとICFの基本理念と特徴

4.ADLとQOL

5.ADLと動作分析

6.ADL改善の基本的な方法

7.ADLで活動性を高める

8.「できるADL」と「しているADL」,「するADL」について

9.15回授業のオムニバスモデル

結語

5 福祉用具学(自助具・日常生活用具・補装具)

序説

1.国際生活機能分類(ICF)の概念において,福祉用具はどのような役割を果たすのか

2.福祉用具に関する法制度とは,どのように定義され,どのような役割があるのか

3.自助具の使用目的,ADLの各動作に使用される代表的な自助具・日常生活用具とは

4.義肢の分類(種類),基本構造,下肢切断者のリハビリテーション過程,基本的理学療法とは

5.装具の使用目的,分類(種類),基本構造とは

6.歩行補助杖の使用目的,分類(種類)とは

7.歩行器・歩行車の使用目的,分類(種類)とは

8.車いすの使用目的,種類,構造とは

9.新しいコンセプトから考えられた医療・福祉ロボット

10.バリアフリーデザイン,ユニバーサルデザインから捉えた福祉用具

結語

6 地域理学療法学

序説

1.地域理学療法の概要

2.地域理学療法の実際

3.生活環境へのかかわり

4.求められるマネジメント能力

5.後退する機能への理学療法

6.軽度者への理学療法士のかかわり

結語

III.疾患別の理学療法の基本と実際

1 運動器疾患の理学療法

序説

1.運動器疾患はどう分類されるのか

2.症例紹介

結語

2 中枢神経疾患の理学療法

序説

1.成人中枢神経疾患はどう分類されるか

2.代表的な中枢神経疾患である脳卒中で起こる機能低下とその基本的な評価

3.代表的な中枢神経疾患である脳卒中で起こる能力低下とその基本的な評価

4.代表的な中枢神経疾患である脳卒中のプログラムの概要

5.代表的な中枢神経疾患である脳卒中の理学療法の実際

6.小児の中枢神経疾患

結語

3 心疾患の理学療法

序説

1.心疾患はどう分類されるか─理学療法を実践するうえでの分類

2.基本的な評価

3.プログラムの実際

結語

4 呼吸器疾患の理学療法

1.呼吸器疾患はどう分類されるか─ 理学療法を実践するうえでの分類

2.基本的な評価

3.プログラムの実際─代表的なプログラムの例を掲げて

5 メタボリックシンドロームの理学療法

序説

1.メタボリックシンドロームはどう分類されるか

2.メタボリックシンドロームの病態生理と疫学

3.基本的な評価

4.プログラムの実際

結語

6 スポーツ理学療法

序説

1.スポーツ関連疾患はどう分類されるか─理学療法を実践するうえでの分類

2.基本的な疾患の評価と理学療法プログラムの実際

3.スポーツ傷害の予防

結語

7 悪性腫瘍の理学療法

序説

1.悪性腫瘍とは

2.悪性腫瘍の理学療法の考え方

3.悪性腫瘍に対する理学療法評価

4.プログラムの実際

5.症例の供覧

結語

8 精神疾患の理学療法

序説

1.精神疾患はどのように分類されるか

2.基本的な理学療法評価

3.プログラムの実際

結語

9 動物の理学療法とリハビリテーション

はじめに

1.歴史と現状

2.資格

3.教育

4.代表的な理学療法の実施例

5.展望

おわりに

IV.各病期における理学療法の基本と実際

1 集中治療室における理学療法

序説

1.基本的な評価

2.プログラムの実際

結語

2 急性期の理学療法

序説

1.急性期とは

2.廃用症候群

3.急性期における理学療法

4.急性期理学療法の実際

5.急性期医療チームにおける理学療法士の役割

結語

3 回復期の理学療法

序説

1.歴史と概要

2.基本的な評価

3.プログラムの実際

結語

4 介護老人保健施設における理学療法

序説

1.歴史と概観

2.介護老人保健施設の概観

3.理学療法の概観

4.多職種協働

5.在宅復帰に向けて

6.在宅生活支援サービス

7.介護老人保健施設における理学療法の実際

結語

5 特別養護老人ホームにおける理学療法

序説

1.高齢者ケアの歴史的変遷

2.特養におけるケアの実際

3.特養における理学療法士の役割と概念

4.これからの施設ケアを考える(北欧ケアを手がかりに)

結語

6 通所施設における理学療法

序説

1.理学療法士の起業と社会背景

2.地域包括ケアシステムの構築と在宅ケア

3.通所ケアでの理学療法士の活動の実際

4.今後,地域包括ケアシステム構築においてますます重要性を増すリハビリテーションマネジメント

結語─理学療法士に求められる地域へのフィールドの広がりと今後の可能性

V.理学療法の発展を図る─社会的な存在として

1 理学療法の発展を図る─日本理学療法士協会の立場から

はじめに

1.公益社団法人日本理学療法士協会とは

2.理学療法の社会的立場と役割

3.理学療法の活動内容の実際

4.実学としての理学療法

おわりに

2 理学療法の発展を図る─社会と政治

はじめに

1.法律137号と課題

2.社会保障制度の動向と理学療法士の課題

3.課題解決としての政治

おわりに

3 理学療法の発展を図る─ 行政の立場から

はじめに

1.市町村行政職員の役割

2.市町村行政で働く理学療法士の役割

3.歴史的変遷

4.業務内容

5.地域包括ケアの仕組みづくりに向けた市町村理学療法士の課題

6.まちづくりと市町村理学療法士

おわりに

4 世界の理学療法情勢

1.日本と世界の理学療法の相違点

おわりに

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書籍情報

  • ISBN:9784830645280
  • ページ数:451頁
  • 書籍発行日:2015年11月
  • 電子版発売日:2021年9月17日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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