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- モダンフィジシャン 38-9 内科疾患における生物学的製剤の使い分け
商品情報
内容
日本に導入されて15年が経った生物学的製剤。いまだその使用に不安を感じる医師もいますが、本号特集ではエビデンスや事例を多数紹介しながら、製剤治療の最前線を伝えています。さらに、代表的な製剤16種と現在開発中の生物学的製剤についても徹底的に分析。治療での有効性を高めるために役立つ一冊となっています。
非常にわかりやすいと定評のある臨床雑誌
「一般臨床医の方にも、専門的な事柄や最新の知見などをわかりやすく」をモットーに制作している内科系総合雑誌です。
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序文
巻頭言
1975年にモノクローナル抗体技術を発表したKöhlerとMilsteinは,1984年にはノーベル医学生理学賞に輝いた.当時からモノクローナル抗体の癌,移植,難病などの治療への応用が試みられ,欧米では1998年,日本では2003年に関節リウマチの治療にTNFを標的とした最初のモノクローナル抗体が市販された.遺伝子組み換え技術を応用した受容体融合蛋白質も同時期に承認され,21世紀は生物学的製剤の台頭により始まったともいえる.特定の標的阻害による高い臨床効果が注目を浴びているが,自己免疫疾患の治療に免疫学的ツールが応用されていることもきわめて意義深い.
関節リウマチの治療には,免疫異常を抑制して疾患制御することを目的として抗リウマチ薬が使用されるが,生物学的製剤はバイオ抗リウマチ薬に分類される.これらの薬剤により,すべての患者において寛解を目指すことが治療目標となり,関節の構造的損傷が抑止され,身体機能障害の進行を制御することも可能となった.パラダイムシフトは治療に留まらず日本の医療にまで及んだ.日本で発見されたIL-6を標的とした生物学的製剤が最初に日本で開発されたことは世界における日本のリウマチ医療の評価を変えた.また,生物学的製剤の市販後全例調査を完遂し,世界に比類のない安全性のエビデンスを示し,それに基づいた有害事象の内科的全身管理,予防,治療が求められるに至った.さらに,生物学的製剤の寛解後休薬の可能性を世界で初めて示し,ドラッグホリデーが現実的な目標となってきた.遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合う多因子疾患であるが,生物学的製剤の治療効果は,病態の形成過程を制御すれば免疫異常をリセットして,原因を残したままで治癒できる可能性を示唆し,原因を突き止めて治癒を目指すという本来の治療概念を脱却しつつある.
生物学的製剤によりTNFなどの特定の分子標的をノックアウトすることにより,革命的な治療効果をもたらしたが,関節リウマチに期待されたIL-1標的治療は芳しい結果が得られず,ベッドサイドからベンチへの逆方向のトランスレーションを再考する契機にもなった.代謝系にも影響を及ぼし,ほかの内科疾患と同様に生命予後の改善も可能とした.一方,薬剤によっては時に重篤な副作用を生じ,日和見感染症やウイルス再活性化などの課題も提起した.IL-6阻害薬の使用ではCRPや発熱が抑制され,感染症の早期発見は症状や所見に頼らざるを得ず,臨床医の力量が問われることになった.さらに,関節リウマチに対するTNF阻害薬でも寛解導入率は約3〜5割にすぎず,疾患治癒には長い道程が残されたままである.
免疫・アレルギー疾患分野では基礎研究が急速に進歩し,新たな分子標的が続々と報告され,次のステップへの新展開が求められている.生物学的製剤は,全身性エリテマトーデスやベーチェット病などの膠原病諸疾患,クローン病などの炎症性腸疾患,乾癬などの脊椎関節炎,多発性硬化症をはじめとする神経疾患など,多様な難治性自己免疫疾患の治療へ応用され,治療のブレークスルーを引き起こす勢いである.しかし,日本に生物学的製剤が導入されて15年を迎えた現在,これらの薬剤を検証・総括し,安全性と有効性のより高い治療を目指し,10年先の進歩を見据えて,治癒を目指した治療開発の実践に結びつける必要がある.本特集では,生物学的製剤のオールスターともいえる先生方に,治療の最前線についてご執筆いただき,モダンフィジシャンが必要とする情報の集積回路ともいえる内容にまとまった.生物学的製剤という視点からベンチとベッドサイドの距離が縮まりつつあることが実感でき,臨床医や研究者にさらなるモチベーションを提供できるものと期待する.
産業医科大学医学部第一内科学講座
田中 良哉
目次
今月のアプローチ
特集:内科疾患における生物学的製剤の使い分け
巻頭言
《内科疾患における生物学的製剤の使い方》
1.生物学的製剤とは
2.関節リウマチ
3.膠原病(関節リウマチ以外)
4.炎症性腸疾患
5.乾癬,脊椎関節症
6.神経疾患-多発性硬化症・視神経脊髄炎(MS・NMO)と生物製剤
《生物学的製剤を極める》
1.インフリキシマブ
2.エタネルセプト
3.アダリムマブ
4.ゴリムマブ
5.セルトリズマブペゴル
6.トシリズマブ
7.サリルマブ
8.アバタセプト
9.リツキシマブ
10.ベリムマブ
11.ウステキヌマブ
12.セクキヌマブ
13.イキセキズマブ
14.ブロダルマブ
15.メポリズマブ
16.デノスマブ
17.開発中の生物学的製剤
《使い方と実際》
1.生物学的製剤の有害事象とその対策
2.抗製剤抗体・免疫原性
3.周産期,周術期などにおける使用
4.バイオシミラーとその使い分け
5.バイオホリデーの可能性
私の処方
認知症高齢者の便秘と麻子仁丸
がん患者における疲弊したキラーCD8+T細胞の機能回復
名医も籔医も用いる漢方の万能薬
抜歯時
診療の秘訣
蛋白漏出性胃腸症の迅速診断
高齢者の不眠症への対応方法
認知症患者の再診後のフォロー
心臓リハビリステーション
診療のエッセンス
認知症の診断とともに患者さんに伝えたいこと
いわゆる「徘徊」を指摘された認知症のある人へ伝えたいこと
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書籍情報
- ISBN:9784001003809
- ページ数:104頁
- 書籍発行日:2018年9月
- 電子版発売日:2018年12月14日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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