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臨床画像 2023年8月号 特集1:画像診断医に求められる認知症診断のminimum requirements/特集2:知っておきたい 造影剤副作用のトピックス

  • ページ数 : 140頁
  • 書籍発行日 : 2023年7月
  • 電子版発売日 : 2023年7月20日
¥2,750(税込)
ポイント : 50 pt (2%)

商品情報

内容

特集1:画像診断医に求められる認知症診断のminimum requirements/特集2:知っておきたい 造影剤副作用のトピックス
認知症診断のポイント
AT(N)分類と体液バイオマーカー
神経病理診断のポイント−変性性認知症における蓄積蛋白を中心とした解説− ほか

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序文

特集1:画像診断医に求められる認知症診断のminimum requirements−疾患修飾薬の到来を見越して−
序説


認知症が高齢化社会における避けられない世界的な問題であることが認識されるようになってからすでに久しい。わが国では「2025年問題」が現実味を帯びつつあるなか,認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)制定,道路交通法の改正や認知症に関する初の法律である「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の成立など,認知症を取り巻く社会的状況は変遷している。

このような状況でAlzheimer病(Alzheimer’s disease;AD)に対する疾患修飾薬の動向に注目が集まっている。現在に至るまでADを対象とした疾患修飾薬の開発状況は芳しいとは言い難く,各種治験が成功裡に終わることはなかった。しかしながら,2023年から一部の抗アミロイドβ薬は臨床第Ⅲ相試験にて統計学的に有意な認知機能障害の進行抑制を示している。そして,6月時点ではアメリカ食品医薬品局の諮問委員会は抗アミロイドβ薬「レカネマブ」を完全承認するように勧告しており,臨床における認知症の診断および治療の潮目が変わりつつあることが感じられる。

疾患修飾薬が導入された場合,その適応となりうるADをより早期の段階で診断することに加え,適応とならない病態の適切な除外を求められることが予想される。その際,画像検査は古典的な「治療可能な病態(いわゆるtreatable dementia)の検出」のみならず,「ADの早期検出およびほかの疾患を除外するバイオマーカー」としての役割も担うことになることは間違いない。

『認知症疾患診療ガイドライン2017』にも記載されているように,簡便さから形態画像(特にMRI)が認知症の画像診断において第一選択となることが多い。ただし,発症早期ではADを含めた神経変性疾患の形態変化は非常に軽微なことがあり,その解釈には病歴と神経学的所見,神経心理学的検査など,ほかの指標と併せた解釈が欠かせない。アミロイド,タウなど形態画像では評価しにくい因子に関しては核医学検査(PET,SPECT)や各種体液バイオマーカーの使用も考慮すべきである。また,認知症の原因となりうる病態はAD,Lewy小体型認知症(dementia with Lewy bodies;DLB),嗜銀顆粒病(argyrophilicgrain disease;AGD)など神経変性疾患のみならず,脳血管障害,特発性正常圧水頭症,Creutzfeldt–Jakob病など多彩であることから,種々の病態の画像所見を把握しておく必要がある。疾患修飾薬が導入された場合,合併症であるアミロイド関連画像異常(amyloid–related imaging abnormalities;ARIA)の適切な画像診断が必須となり,すでに米国では疾患修飾薬の承認を受けて,ARIAの正確な診断を行うためのMRプロトコルなどの重要性が提唱されている。

本特集の狙いは,疾患修飾薬が導入された場合での日常臨床における認知症の画像診断に関して,ADや鑑別疾患の画像診断に必要な最低限の情報を読者の先生方にお届けすることであり,認知症の臨床,病理,画像診断,研究の第一線で活躍する先生方にわかりやすく解説いただいた。本特集に纏められた内容がこれから認知症の画像診断を行う先生方の一助となれば幸いである。


企画・編集:櫻井圭太 国立長寿医療研究センター 放射線診療部



特集2:知っておきたい 造影剤副作用のトピックス
序説


画像診断に用いる造影剤はいずれも診断のためのものである。基本的に薬理作用をもたず,当然のことながら,なんら疾患を治療するものではない。従って,ほかの大多数の治療のための薬剤と比較して各段に高い確実性をもってその安全性が確保されているべきである。重篤な副作用はまれではあるが,ときに致死的である。造影剤を使用するすべての放射線科医が造影剤の安全使用についてエキスパートであってほしいし,他科の医師からの疑問にも適切に回答できるだけの知識をもっているべきだろう。

造影剤の安全使用についての研究は最近急速に進歩している。また新たな副作用と考えられる症候もいくつか報告されており,例えばKounis症候群はおそらくさほどまれな事象ではない。

造影後急性腎障害(post–contrast acute kidney injury;PC–AKI)は従来考えられていたよりも,その発生頻度がかなり低いらしいことがわかってきている。ガドリニウム造影剤についてはキレート安定性の低い造影剤は国内にはほぼなくなっており,腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis;NSF)の発生が報告されることもなくなった。それらの発生をおそれるあまり必要な検査が行われないことのほうがかえって危険だろう。一方で,ガドリニウムの体内残留の影響は現在のところほとんど未解決であり,特に妊婦や小児に対する使用判断は慎重であるべきである。

これまでの造影剤の安全使用に関する研究は,副作用の危険因子の特定と発生頻度について明らかにしようとするものがほとんどであった。もちろんあらかじめ危険因子を確認することは大切だが,アナフィラキシーはなんら危険因子がなくても発生しうるし,これまで何度も使用経験のある造影剤の再投与によって発生することもある。従って,臨床現場では危険因子の事前確認と同様に,発生した場合の迅速な診断と処置について十分な知識をもち,それを実行できなければならない。特にアナフィラキシーが発生した場合の一時処置の知識はきわめて重要であり,すべての放射線科医はこれを確固としたものとしてもっていてほしい(決して難しくはなく,誰でも実行可能である)。造影剤の血管外漏出の対処方法についてはこれまでさまざまな論説があったが,継続的な研究によって整理されてきている。今後はさまざまな副作用の発生後の適切な処置などについてのさらなる研究を期待したい。

ガドリニウムの環境拡散は以前から指摘があったもののあまり注目されることはなかった。しかしわが国は,かつて水俣病やイタイイタイ病などの重金属による公害に苦しんだ歴史をもっている。また,ガドリニウムを使用しているのはわれわれ放射線科医である。これを無視することはできない。その有害性についてはまったく不明のままではあるが,ガドリニウム造影剤の不適切な使用をなくすことによって,環境への排泄を減少させることはできるかもしれない。放射線科医の新たな責務と考えたい。


企画・編集:対馬義人 群馬大学大学院医学系研究科 放射線診断核医学科

目次

特集1:画像診断医に求められる認知症診断のminimum requirements−疾患修飾薬の到来を見越して−  企画・編集:櫻井圭太

[総論]

認知症診断のポイント  武田章敬

AT(N)分類と体液バイオマーカー  春日健作

神経病理診断のポイント−変性性認知症における蓄積蛋白を中心とした解説−  岩崎 靖

MRI検査のポイント−基本的な撮像法から先進的な撮像法・解析を含めて−  鎌形康司ほか

核医学検査のポイント−認知症診療におけるSPECT,PETの役割−  今林悦子

[各論]

Alzheimer病の画像診断−典型例から非定型例まで−  小林良太ほか

non–Alzheimer’s dementia−高齢者タウオパチー,LATEの画像所見を中心に−  櫻井圭太ほか

Lewy小体病−Lewy小体型認知症における画像診断の役割−  乾 好貴ほか

血管性認知症−CAAを中心とする画像所見のupdate−  海野真記ほか

特発性正常圧水頭症−ほかの認知症との鑑別とAVIM−  伊関千書

特徴的画像所見が診断に役立つ認知症  横山幸太ほか

特集2:知っておきたい 造影剤副作用のトピックス  企画・編集:対馬義人

造影剤によるアナフィラキシーに対する初期対応−放射線診断医はまず何をすべきか−  堀内辰男ほか

ヨード造影剤の副作用について(PC–AKIを除く)   大田英揮

ヨード造影剤による造影後急性腎障害(PC–AKI)−腎臓内科医の立場から−  比良野圭太

ガドリニウム造影剤の安全使用に関して-長期残留問題を含めて−  村田 望

造影剤の血管外漏出  対馬義人

ガドリニウム造影剤による環境汚染  熊坂創真

連載

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[第13回]

膵癌の早期発見におけるRadiomics–ML pipelineの貢献  中島崇仁

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書籍情報

  • ISBN:9784008004308
  • ページ数:140頁
  • 書籍発行日:2023年7月
  • 電子版発売日:2023年7月20日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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