Heart View 2023年6月号 Vol.27 No.6 心腎連関を再考する

  • ページ数 : 116頁
  • 書籍発行日 : 2023年5月
  • 電子版発売日 : 2023年5月1日
¥3,080(税込)
ポイント : 56 pt (2%)

商品情報

内容

心腎連関を再考する
1 心腎連関の最近の話題
2 高血圧患者を心腎連関から診る
3 肥満・糖尿病患者を心腎連関から診る ほか

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序文

企画にあたって

佐野元昭(慶應義塾大学医学部循環器内科准教授)


循環器病(心不全と脈管疾患)と腎臓病の間には,互いの発症,進展,予後を規定する強い連関がある。このような両者の関係は総じて,心腎連関とよばれる(診る1 斎藤先生の稿)。

腎機能障害は,血圧の変動や概日リズムの異常(夜間高血圧やNon-dipper/Riser),血圧サージの大きな原因となっている(診る2成田先生/ 苅尾先生の稿)。糖尿病に合併する心腎臓器障害の機序には,インスリン・グルカゴンの分泌異常やエネルギー基質の変化,解糖系の分岐路の活性化,細胞内シグナルの変調(AMPK/SIRT1シグナルの低下,mTORC1シグナルの亢進)が関与する(診る3林先生/ 窪田先生の稿)。左室拡張能障害に起因するHFpEF の発症・進展には,慢性腎臓病に伴うNO のbioactivity の低下が関与している(診る4 多田先生/ 安斉先生の稿)。そこには,内因性NO 阻害物質であるADMA の蓄積,eNOS の基質となるアルギニンの代謝の変化,酸化ストレス亢進によるeNOS の活性低下と活性酸素の産生(eNOS uncoupling)が関与している(識る9 足立先生/眞﨑先生の稿)。わが国の糖尿病腎臓病の特徴として,eGFR の低値よりも蛋白尿の存在が,lipid-rich プラークの存在とより強く相関する(診る5 石井先生の稿)。慢性腎臓病における交感神経活動亢進に直結する頭側延髄腹外側野(RVLM)ニューロンの活性化には,腎臓からの求心性知覚神経からのインプットに加えて,尿酸,尿毒性物質(インドキシル硫酸など)が関与している(識る7 大島先生の稿)。遠心性交感神経活動の亢進によって腎臓からレニンが分泌され,RAA 系が活性化されるが,アンジオテンシンⅡやアルドステロンは,脳に直接作用して,交感神経活動を上昇させる(識る6 森本先生/ 市原先生の稿)。心不全では,RAA 系や交感神経系と機能的に拮抗するNa 利尿ペプチドが,相対的欠乏状態にあり,そこには,Na 利尿ペプチドの産生低下,分解を担うネプリライシンや,標的臓器におけるクリアランス受容体NPR-C の発現亢進が関与している(識る8 桑原先生の稿)。心臓に圧負荷ストレスが加わると,交感神経刺激を介して腎臓から顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が分泌され,GM-CSF が心臓の組織マクロファージに働き,心筋細胞の働きを助けるamphiregulin の分泌を促し,心臓の機能を維持する仕組みがある(識る10 真鍋先生の稿)。

加齢は,細胞老化に伴うSASP,酸化ストレスの蓄積,NO の生物学的利用能の低下によって,心臓の肥大・線維化,大動脈の硬化を反映した脈圧の増大を伴う収縮期血圧の上昇,腎臓の機能ネフロン数の減少,間質の線維化が進行を引き起こす(識る11 前田先生/ 南野先生の稿)。慢性腎臓病では,ヘモグロビンの低下に見合った十分量のヘモグロビンが産生されないことに加えて,鉄欠乏や鉄利用障害,尿毒性物質によるEPO の作用低下,赤血球寿命の短縮が腎血を生み出す(治す14 田中先生の稿),心不全では,貧血あるなしにかかわらず鉄欠乏や鉄利用障害が潜在的に心筋収縮力低下に関与している(治す15 白石先生の稿)。炎症のメディエーターのなかでも,NLRP3インフラマソーム-IL-1β-IL-6カスケードは動脈硬化性疾患の残余リスクとして重要である(治す16 白川先生の稿)。

心腎連関による高血圧,脳卒中,心臓病,慢性腎臓病,貧血・鉄代謝異常の治療にSGLT2阻害薬(治す12 佐澤先生/ 桑嶋先生/ 三木先生の稿),サクビトリルバルサルタン(治す13 金口先生/ 田村先生の稿),腎神経アブレーション(治す17 山本先生/ 辻田先生の稿),水素(治す18 多村先生の稿),低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬やEPO 製剤,鉄剤の静注が有効である。

以上,心腎連関の専門家の先生方からいただいた原稿から心腎連関による臓器障害を俯瞰的にとらえると,単なる血行動態の変化だけでなく,神経体液性因子,酸化ストレス,炎症など臓器障害を促進させる因子を増加させ,一方で,臓器保護的に働くNa利尿ペプチドやNO の生物学的な利用を損なわせ,複数の臓器障害を引き起こす全貌がみえてくる。

目次

特集:心腎連関を再考する  企画・構成/佐野元昭

・診る

1 心腎連関の最近の話題  斎藤能彦

2 高血圧患者を心腎連関から診る  成田圭佑,苅尾七臣

3 肥満・糖尿病患者を心腎連関から診る  林 高則,窪田直人

4 HFpEF を心腎連関から診る  多田篤司,安斉俊久

5 蛋白尿を心腎連関から診る  石井秀樹

・識る

6 心臓-脳-腎臓の連携を介したレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の活性化  森本 聡,市原淳弘

7 心臓-脳-腎臓の連携を介した交感神経活動の活性化  大島直紀

8 心不全での心腎連関におけるナトリウム利尿ペプチドの相対的欠乏  桑原宏一郎

9 慢性腎臓病におけるNO bioactivity の低下  足立 健,眞﨑暢之

10 循環-神経-免疫-内分泌系の相互作用による心腎連関と病態拡大  真鍋一郎

11 加齢が心腎連関に及ぼす影響  前田大智,南野 徹

・治す

12 心腎連関を考慮した心不全の薬物治療:SGLT2 阻害薬を中心に  佐澤佳穂実,桑嶋真悟,三木隆幸

13 心腎連関を考慮した高血圧の薬物治療:ARNI を中心に  金口 翔,田村功一

14 貧血を治す:腎臓内科の立場から  田中哲洋

15 貧血を治す:循環器内科の立場から  白石泰之

16 炎症を標的とした治療介入:ZEUSトライアル  白川公亮

17 Expertise 腎神経アブレーションの軌跡と現状  山本英一郎,辻田賢一

18 Expertise 水素の降圧効果と心腎連関  多村知剛

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書籍情報

  • ISBN:9784008102706
  • ページ数:116頁
  • 書籍発行日:2023年5月
  • 電子版発売日:2023年5月1日
  • 判:A4変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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