関節外科 2023年10月号 Vol.42 No.10 上腕骨骨折の治療戦略

  • 書籍発行日 : 2023年9月
  • 電子版発売日 : 2023年9月12日
¥2,750(税込)
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商品情報

序文

introduction


上腕骨骨折の治療方法の決定にあたっては,骨折部位,年齢,骨折型,転位の程度・方向,合併症の有無,受傷後からの期間,活動性,整容面などを総合的に判断して決定する必要があります。正確な整復が求められる場合とそうでない場合があります。小児の場合,自家矯正が期待できますが,矯正の得られやすさは部位と方向で違います。骨折部位,骨折型,転位の程度によって骨癒合が得られやすい場合と得られにくい場合があります。上腕骨近位端骨折後の骨頭壊死,小児の骨端線損傷後の骨成長障害などの二次的な影響を考慮する必要もあります。最近の超高齢社会で急増している高齢者の骨折においては,骨粗鬆による骨脆弱性や全身状態への配慮が求められます。また,初期治療が奏功しなかった場合の続発症に対する方策も準備しておくことも重要です。

治療法には保存療法と手術療法があります。ひと口に保存療法といっても,放置に近い三角巾固定の経過観察のみから,ファンクショナルブレース,早期機能訓練,骨形成を促進する薬物療法や物理療法(低出力超音波パルス療法,体外衝撃波治療)などを駆使する積極的保存療法まであります。適切な保存療法により,十分な機能回復が得られる場合がありますので,治療の選択肢として常に考慮すべきです。

手術療法は,ロッキングプレートや多方向に横止めスクリューを打てる髄内釘などの新しい内固定材料の出現や,MIPO(minimally invasive plate osteosynthesis)法の開発によって,臨床成績は向上していますが,オーバーインディケーションやマルインディケーションも散見されます。手術により画像上で完璧に整復され内固定されていても,可動域制限・疼痛・筋力低下・大きな手術創が残ったのであれば,意味がありません。

上腕骨骨折は,その骨折部位によって留意点が違います。上腕骨近位端では,腱板機能の温存・代償,骨頭関節面の整復,骨頭壊死の回避・対応が重要です。骨幹部骨折では遷延癒合・偽関節の回避,橈骨神経麻痺の回避,大きな回旋・内外反変形の回避が重要です。遠位端骨折では滑車・小頭関節面の整復,神経・血管損傷の回避,回旋変形の回避,小児の骨成長障害への配慮が重要です。

前述したように上腕骨骨折治療にあたっては,保存療法の有効性と限界,内固定材料の特性,陥りやすいピットフォールを熟知して,個々の患者に最良の治療法を選択する必要があります。そこで,本号では,上腕骨骨折診療において豊富な知識と経験を有する第一線の先生方に,各部位ごとに骨折治療の基本的事項,実際のテクニック,問題点について解説していただきました。いずれも非常に興味深い内容であり,私自身も目を通してみて多くの学びがありました。本特集を上腕骨骨折の診療に役立てていただければ幸甚です。


あさひ病院スポーツ医学・関節センター
岩堀裕介

目次

特集:上腕骨骨折の治療戦略  企画・編集:岩堀裕介

上腕骨近位端骨折の保存療法

上腕骨近位端・骨幹部骨折に対する髄内釘

上腕骨近位端・骨幹部骨折に対するプレート固定

上腕骨近位端骨折に対する人工骨頭置換術・リバース型人工肩関節置換術

上腕骨近位端骨折続発症

上腕骨骨幹部骨折

上腕骨骨幹部の投球骨折

小児の上腕骨遠位骨端線離開骨折

小児の上腕骨顆上骨折

小児の上腕骨外側顆骨折・内側上顆骨端離開

成人上腕骨遠位端骨折

高齢者の上腕骨遠位端骨折

連載

話したくなる 整形外科 人物・用語ものがたり(第15回)

「骨の感染の歴史:実は恐竜まで遡る? 骨髄炎の名付け親,オーギュスト・ネラトン」

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書籍情報

  • ISBN:9784008204210
  • ページ数:0頁
  • 書籍発行日:2023年9月
  • 電子版発売日:2023年9月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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