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- 小児白血病診療<小児科臨床ピクシス>
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序文
序文
《小児科臨床ピクシス》シリーズの10概要巻として,『小児白血病診療』をお届けします.小児白血病の治療成績は最新の診断法・治療法により,現在,急性リンパ性白血病ではおよそ80%,急性骨髄性白血病でも60~70%の長期生存率が得られるまでになっています.また慢性骨髄性白血病においては分子標的薬の登場により,今日,その治療体系が大きく変化しました.
日本における小児造血器腫瘍の治療研究は,地域に根ざした多施設共同の治療研究グループにより推進されてきました.そしてそれらのグループの研究活動は地域の診療レベルの向上に寄与し,ひいては日本全体の小児造血器腫瘍の治療成績の向上をもたらしました.しかしながら,そこで行われてきた治療研究は今日的な視点で見ると,臨床試験として十分な水準に達しているとは言いがたい部分がありました.このような状況をふまえ,日本の小児造血器腫瘍の診療レベル向上を目指して,2002概要年に厚生労働科学研究費補助金「小児造血器腫瘍の標準的治療の確立に関する研究」班(堀部班)が組織され,この研究班をバックボーンとし,地域に根ざした多施設共同治療研究グループの連合体として日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)が発足しました.現在はこのJPLSG概要を主体として,多くの施設で,全国規模の小児造血器腫瘍の臨床試験が行われています.
今回,本書で執筆をお願いした先生方は,それぞれJPLSG概要においてご自分の専門分野で重要な役割を果たされている方ばかりで,現時点で考えうる最高の執筆陣を揃えることができたと自負しております.そして,その先生方からいただいた原稿は私の期待に違わぬ力作揃いで,これをみれば最新の小児白血病診療がすべてわかるという解説書ができあがりました.執筆をお願いした先生方にはご多忙のなか,お時間を割いていただき,本当にありがとうございました.また,力作を多くいただきながら,紙幅の関係で一部割愛せざるをえなかった部分があったことに関してはこの場を借りてお詫び申しあげます.
最後に本書の編集にあたり,多大なご尽力をいただいた中山書店編集部に深く感謝します.いままでの教科書にはない斬新なスタイルの紙面構成により本書はより見やすく,理解しやすいものになったと思います.
本書が小児白血病診療の一助となり,白血病で苦しむ日本のこどもたちに少しでも役立つことを願ってやみません.
2009年7月
東京大学大学院医学系研究科
小児医学講座小児科准教授
菊地 陽
目次
1章 急性リンパ性白血病
診断・予後因子
初診時年齢・初診時白血球数
膜表面マーカー
染色体・遺伝子異常
初期治療反応性
微小残存病変
キメラ遺伝子による方法
受容体遺伝子の再構成による方法
フローサイトメトリーによる方法
治療
寛解導入療法の標準治療
強化療法の意義
中枢神経白血病対策
維持療法の意義
ステロイド剤の選択—プレドニソロンかデキサメサゾンか
造血幹細胞移植の適応
特殊な病型
乳児ALLの診断・治療
Ph染色体陽性ALLの診断・治療
成熟B細胞型ALLの診断・治療
再発ALLの診断・治療
2章 急性骨髄性白血病
診断・予後因子
WHO分類
染色体・遺伝子異常
初期治療反応性
治療
寛解導入療法の標準治療
強化療法の意義
造血幹細胞移植の適応
特殊な病型
急性前骨髄球性白血病(APL)の診断・治療
Down症候群に合併したAMLの診断・治療
再発AMLの診断・治療
3章 慢性骨髄性白血病
診断・治療
4章 白血病治療の合併症対策
化学療法の一般的副作用
Tumor Lysis Syndrome,DIC
感染症対策
細菌感染症
真菌感染症
ウイルス感染症
輸血療法
5章 小児白血病と臨床試験
小児白血病における臨床試験の必要性
臨床試験と実地診療の相違
臨床試験におけるデータセンターの役割
臨床試験に参加する患児の人権保護(研究倫理)
6章 小児白血病の長期フォローアップ
小児白血病の長期フォローアップの意義
晩期障害
二次がん
心臓障害
低身長
その他の内分泌障害
大腿骨頭壊死
神経障害
小児白血病経験者の結婚・妊娠・出産
7章 小児白血病患者家族支援
がんの子供を守る会
疼痛緩和療法
ターミナルケア
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書籍情報
- ISBN:9784521731100
- ページ数:240頁
- 書籍発行日:2009年8月
- 電子版発売日:2021年12月3日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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