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- 川崎病のすべて 全訂新版<小児科臨床ピクシス>
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内容
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序文
序─改訂にあたって
小児科臨床ピクシス『川崎病のすべて』を上梓したのは2009年7月でした.当時の川崎病の最先端の知識を集大成したものとして評価されました.それから5年の月日が流れ,川崎病の患者数は増え続け罹患率はここ数年過去最高を更新しています.患者数の増加に伴い,川崎病の研究はめざましく発展しました.2012年には「川崎病急性期治療のガイドライン」および2013年には「川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン」が作成されました.また,治療法においては,わが国から前方視的無作為試験であるRAISE studyなどのステロイドに関する研究やウリナスタチンおよびシクロスポリンに関する研究も世界に向けて発信されました.抗サイトカイン薬であるインフリキシマブの川崎病に対する臨床試験も終了しています.また,川崎病遺伝コンソーシアムも立ち上げられました.また,川崎病の既往を有する若年の急性冠症候群が多数報告され,循環器内科医の関心も高まっています.
さて,本書では,第一線の川崎病研究者や臨床医により川崎病を基礎医学,疫学,臨床医学や社会医学などのすべての分野からアプローチしてもらいました.現時点での川崎病に関する最先端の知識の集大成が本書において再び完成しました.川崎病を実地診療する小児科医や研修医はもちろん,成人となった川崎病既往児を診察する循環器内科医,家庭医,一般医の方々にも役に立つものに仕上がっています.本書一冊で,今日の川崎病のすべての知識を身につけ,理解し,その解決法が得られる道標になるものと確信しています.
現在,川崎病のあらゆる問題の解決に必要なものは,やはり病因究明であります.もはや,この課題は一人の研究者や単一の施設で解決できる問題ではありません.米国からは,中国から黄砂とともにやってくるカビ(カンジダ菌)が病因との説が発表されましたが,未だ十分なものではないと考えます.病因究明には,国をあげての大きな共同研究のプロジェクトの構築が必要と考えます.日本人が発見した疾患であるので,是非,われわれ日本人研究者がその叡智を結集し,病因を解明したいと考えています.そのためには今後,われわれ日本人研究者のいっそうの奮起が望まれ,本書により川崎病に興味をもつ若き研究者が増えることを希望します.
2015年2月
北里大学医学部小児科学
石井正浩
目次
1章 疫学
疫学調査の歴史 (屋代真弓,柳川 洋)
疫学調査:年次推移,地域特性 (中村好一)
諸外国の川崎病:疫学的特徴 (中村好一)
発生数の季節変動 (屋代真弓)
疫学調査にみる年少例・年長例の特徴 (牟田広実)
血液・生化学データ (牟田広実)
2章 遺伝
疫学調査からみた遺伝的背景 (中村好一,上原里程)
川崎病の遺伝学的特徴 (尾内善広)
3章 病因病態
病因説の変遷 (土井庄三郎)
自然免疫と川崎病の発症 (原 寿郎)
川崎病と抗原感作 (三浦 大)
腸内細菌叢 (永田 智)
主要症状の病態生理 (森 雅亮)
川崎病とサイトカインプロファイル (清水正樹)
川崎病の分子マーカー (阿部 淳)
4章 診断
診断の手引き:改訂5版 (鮎沢 衛)
川崎病のバイタルサインと非特異的臨床症状の重要性 (神薗淳司,苔口知樹)
鑑別診断 (江波戸孝輔)
不全型の特徴と診断 (牟田広実)
川崎病以前の川崎病 (渋谷紀子)
神経症状 (市山高志)
5章 急性期治療
急性期治療のガイドライン (佐地 勉)
急性期の電解質 (金子一成)
急性期の肝機能 (鈴木光幸,清水俊明)
免疫グロブリン療法のメカニズム (緒方昌平)
ステロイド療法 (小林 徹)
ウリナスタチン療法 (川村陽一,金井貴志,竹下誠一郎,野々山恵章)
血漿交換療法 (伊藤秀一)
インフリキシマブ療法 (廣野恵一,市田蕗子)
インフリキシマブ療法のメカニズム (扇原義人,石井正浩)
シクロスポリン療法 (鈴木啓之)
6章 心臓血管後遺症
ガイドライン(2013年改訂版)解説 (小川俊一)
急性期
冠動脈病変:病理 (髙橋 啓,大原関利章,横内 幸)
冠動脈病変:生理 (八幡倫代,濱岡建城)
抗血栓・抗凝固療法のメカニズム (長江千愛,瀧 正志)
巨大冠動脈瘤:トータルケア (須田憲治)
巨大冠動脈瘤:自然歴 (深澤隆治)
巨大冠動脈瘤:抗凝固療法 (深澤隆治)
巨大冠動脈瘤:外科的療法 (丸山雄二,落 雅美)
遠隔期
心血管障害の自然歴(オーバービュー) (加藤裕久)
冠動脈病変:病理 (髙橋 啓,大原関利章,横内 幸)
冠動脈病変:生理 (八幡倫代,濱岡建城)
血管内皮機能 (三谷義英)
カテーテル治療 (横山晋二,家村素史,上野高史)
冠動脈バイパス術 (丸山雄二,落 雅美)
冠動脈バイパス術の長期予後 (津田悦子)
動脈硬化病変:進行予防の生活管理 (石原 淳)
川崎病と予防接種 (佐藤加代子,石井正浩)
川崎病既往患者の妊娠・分娩に関する諸問題 (津田悦子)
川崎病既往児の患者管理:川崎病急性期カード (荻野廣太郎)
7章 画像診断
心機能評価 (橋本郁夫)
心電図検査 (山下行雄)
X線検査 (勝部康弘,赤尾見春)
心エコー図検査 (髙橋 健,木村純人)
三次元心エコー図検査 (宮下理夫,阿部 修,唐澤賢祐)
冠動脈造影検査 (松田晋一)
冠動脈CT造影検査 (神山 浩)
MRI検査 (麻生健太郎)
核医学検査 (神山 浩,唐澤賢祐)
血管内超音波検査,光干渉断層法 (三谷義英)
付表
川崎病「診断の手引き 初版」(表紙)
1950年以前の発症で川崎病の診断基準を満たした症例
免疫グロブリン不応予測スコア
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書籍情報
- ISBN:9784521740959
- ページ数:272頁
- 書籍発行日:2015年3月
- 電子版発売日:2021年12月8日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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