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- ICUとCCU 2021年3月号(Vol.45 No.3)【特集】ARDS再考
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内容
ARDSの疾患フェノタイプと治療/ARDS・画像形態と予後予測/ドライビングプレッシャーとメカニカルパワー ほか
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序文
特集にあたって
落合 亮一
2019 年12 月に始まった新型コロナウイルスの世界規模の感染拡大は,1 年以上経過した現在でも終息の兆候はない。60 年前に疾患定義のなされた急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は,基礎研究・臨床研究・医療機器,薬物療法の発展にもかかわらず,現時点でもなお,30 〜40%の高い死亡率を呈する。今までの研究が,さまざまな背景因子を持つ患者を対象としたために,本来は比較対象とはなりえない研究だったのではないか,という疑念が常にあった。しかし,この1 年以上にわたって,新型コロナウイルスという単一の感染源による呼吸不全の膨大な情報が蓄積されつつある。これは,ある意味で肺感染症を原因としたARDS研究の大規模研究が行われつつあるともいえる。新型コロナウイルスによる呼吸不全について蓄積された情報を整理する目的で,本特集を企画した。まず,さまざまな原因で生じるARDS には,基礎疾患や画像情報,そしてバイオマーカによってフェノタイプを分類することが可能である。フェノタイプの考え方とその分類に基づいた治療について,弘前大学の呼吸器内科,田坂定智先生に解説をお願いした。
ベルリン定義で扱った画像診断情報は,必ずしも現時点で得られる画像情報とは異なる。とくに,自発呼吸運動が維持された状態での肺野の画像情報は触れられなかったが,新型コロナウイルス肺炎の診断に用いられる高分解能CT 情報は,新たな切り口を提供している。とくに,病理所見との相関について済生会熊本病院の呼吸器内科,一門和哉先生に解説をお願いした。
ARDS の治療について肺保護換気は常識となった。しかし,1 回換気量を減らせば『肺保護』という当初の理解から,現在は人工呼吸器により負荷されるエネルギーこそが損傷因子となる理解へ変わりつつある。肺に加わるストレスをどう考えるのかを,大阪母子医療センターの竹内宗之先生に解説をお願いした。
呼吸不全の治療に際して自発呼吸の扱いは難しい。解剖学的に,あるいは発生学的にヒトの肺について換気分布や血流分布は脊椎動物の合理性がいまだに維持されていることに驚かされる。つまり,腹臥位こそが換気血流分布の最適値である。仰臥位での自発呼吸・人工呼吸の限界は,簡単には克服できない。だからこそ,自発呼吸の持つ意義について,深く知る必要がある。この問題は,大阪大学麻酔集中治療医学の吉田健史先生に解説をお願いした。
肺保護換気に代表される治療戦略は陽圧換気という治療自体が,肺損傷を助長しないことをゴールとする消極的な戦略である。一方で,さまざまな病因で生じる ARDS について,新たな治療戦略が検討されつつある。今までに試行されてきた薬物療法について全体像を国立病院機構埼玉病院呼吸器内科の林 伸一先生に解説をお願いした。過剰なストレスで生じた肺損傷の修復機転には,多岐にわたるシステムが働いている。この修復機転を利用する新たな視点として幹細胞の利用がある。幹細胞を用いた新しい治療戦略の可能性について,慶應義塾大学呼吸器内科の石井 誠先生に将来展望を含めて解説をお願いした。
最後に,新型コロナウイルス肺炎における呼吸不全の特徴について,昭和大学病院集中治療科の元山宏展先生・小谷 透先生に述べていただいた。新型コロナウイルスによる急性呼吸不全は全世界レベルで最大の課題である。私たちの理解が深まることでパンデミックを克服できるものと信じる。
東邦大学医療センター大森病院麻酔科(〒143-8540 大田区大森西6-11-1)
ICU とCCU 45(3):147,2021
目次
特集 ARDS再考
特集にあたって
落合 亮一
ARDSの疾患フェノタイプと治療
田坂 定智
ARDS・画像形態と予後予測
一門 和哉
ドライビングプレッシャーとメカニカルパワー
竹内 宗之・伊東 幸恵・稲田 雄・京極 都
川村 篤
自発呼吸の是非
吉田 健史
薬物療法
林 伸一・高橋 麻衣
幹細胞治療(iPS細胞に頼らない再生医療)
石井 誠
新型コロナウイルス肺炎によるARDS の呼吸管理
元山 宏展・小谷 透
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書籍情報
- ISBN:9784865174120
- ページ数:62頁
- 書籍発行日:2021年3月
- 電子版発売日:2022年7月22日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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