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- 医学のあゆみ269巻10号 胎盤学と胎児学の新たな国際展開
商品情報
内容
企画：岡本愛光，佐村 修（東京慈恵会医科大学産婦人科学講座）
・胎盤と胎児は同じ受精卵から発生し，同一の遺伝情報を持つはずであるが，実際はその働きはまったく異なる．本特集では胎盤と胎児に関して，各分野における国際展開について概説いただく．
・まずは，ヒトの胎盤・胎児の発生を理解するうえで重要な分子遺伝学について解説し，さらに，胎盤のエピジェネティックな機構と妊娠母体合併症の関連について説明する．
・また，胎盤とバイオマーカーの関連，胎盤由来のcell-free DNAの臨床応用，妊娠高血圧症候群（HDP）の発症，胎児・胎盤の超音波やMRI検査についても，最先端の情報を紹介解説いただく．
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序文
はじめに
本特集で取り上げる胎盤と胎児は同じ受精卵から発生し，同一の遺伝情報を持つはずであるが，実際はその働きはまったく異なる．受精後の5～8日目に胚盤胞が子宮内膜に付着する．胚盤胞の壁は大部分が1層の細胞でできているが，一部は細胞が3～4層に重なり，この厚くなった部分の内側の細胞が胎芽になり，外側の細胞は子宮内膜に入り込んで胎盤になる．多くの器官が受精の約3週間後から形成され，はじめてヒトのような形が認められるようになる．約6週後には胎盤から細かい毛のような突起（絨毛）が伸びて，子宮壁内に入り込み，胎芽から出た血管は臍帯を通って胎盤に入り，絨毛内へと伸びていく．この突起（絨毛）は樹木のように枝分かれを繰り返す複雑な構造になっており，こうした絨毛構造によって子宮壁と胎盤の接触面積が非常に大きくなり，大量の栄養や老廃物を交換できるようになっている．胎盤は18～20週までに完成するが，妊娠期間を通じて大きくなり，分娩後その役目を終える．
このような胎盤と胎児に関して，第一線で活躍されておられる専門の先生に，それぞれの分野における国際展開について解説いただく．まずは，ヒトの胎盤・胎児の発生を理解するうえで重要な分子遺伝学について解説し，さらに，胎盤におけるモザイクは胎児の発育の観点から重要な問題となっていることに言及する．胎盤のエピジェネティックな機構が妊娠母体合併症の発症と関連することが明らかになってきていることや，胎盤とバイオマーカーの関連，胎盤由来のcell-free DNAの臨床応用，妊娠高血圧症候群（hypertensive disorders of pregnancy：HDP）の発症と胎盤の関係について解説いただく．最後に，臨床的に重要な胎児・胎盤の超音波やMRI検査について最先端の研究を発表いただく．
本特集を通じて，多くの基礎研究者や医療関係者が胎盤や胎児に関心をいただければまことに幸いである．最後に，このような特集を企画していただいた本誌編集部に心から感謝申しあげたい．
企画：岡本愛光，佐村 修（東京慈恵会医科大学産婦人科学講座）
目次
巻頭カラー
学会レポート…第30回 日本医学会総会 2019 中部
特集
ヒト発生における分子遺伝学…才津浩智
胎盤とモザイク…三浦清徳
胎盤エピゲノム──その特徴と妊娠合併症との関連…谷口公介・秦健一郎
胎盤由来バイオマーカーを用いた妊娠高血圧腎症の発症予知・予防…大口昭英
妊娠高血圧症候群（HDP）と胎盤──着床・胎盤形成の異常から疾患発症まで…成瀬勝彦
胎盤由来cell free DNAの臨床応用…佐村修
胎盤の異常と超音波画像所見…長谷川潤一
胎児MRI検査…宮嵜治
TOPICS
【生化学・分子生物学】
RNA化学修飾と精神疾患――神経シナプスからの理解…助川桃枝・王丹
【免疫学】
β2アドレナリン受容体による2型自然リンパ球の応答制御…森山彩野
【臨床栄養学】
脂肪蓄積とマガキから抽出した抗酸化物質…惠淑萍・他
連載
【医学・医療におけるシミュレータの進歩と普及】
21．ダヴィンチトレーナー（dV-Trainer®）──ロボット支援手術を安全に行うために…藤原義之
【健康寿命延伸に寄与する体力医学】
9．運動および食事療法による肥満小児への対応…冨樫健二
フォーラム
【パリから見えるこの世界】
80．科学とメタファー，あるいはプラトンにとっての医学…矢倉英隆
書評
『倫理コンサルテーション ハンドブック』（堂囿俊彦 編著）赤林朗
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書籍情報
- ISBN：9784006026910
- ページ数：70頁
- 書籍発行日：2019年6月
- 電子版発売日：2022年10月21日
- 判：B5判
- 種別：eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数：3
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