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- 画像診断 2023年増刊号(Vol.43 No.4) 胸部X線診断再入門 ─症例から学ぶ読影法─
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序文
序文
近年の画像診断の進歩には目覚ましいものがあり,多くの領域において,CT,MRI,超音波検査が中心的役割を担っている.胸部領域においても,病変の鑑別診断や広がり診断においてCTが重要であることはいうまでもないが,安価で簡便であり,かつ一枚の画像で胸部の全体像を把握しやすいことから,胸部単純X線撮影は,スクリーニングや病変の経過観察を中心に第一選択の画像診断法として現在でも多く施行されている.しかしながら,CTやMRI検査の高速化に比例して一症例の画像枚数や一日の検査数は飛躍的に増加しており,日常診療において画像診断医はきわめて大量の画像データを読影する状況にあり,胸部単純X線写真の読影には手が回らないのが現状である.したがって,呼吸器を専門とする臨床医と比較して,画像診断医の胸部単純X線写真の読影の機会が明らかに減っており,読影能力の低下が危惧される状況にある.一方,日本の現行の肺がん検診においては,胸部単純X線撮影が推奨されているが,呼吸器を専門としない医師による読影も行われている現状があり,呼吸器専門医のみならず画像診断医によるダブルチェックによる精度管理は,きわめて重要と考えられる.
これまで,『画像診断』誌で胸部単純X線写真の診断についてまとめて取り上げたのは,2007年に酒井文和先生が編集を担当された臨時増刊号が最後であり,すでに15年が経過した.胸部単純X線撮影もデジタル画像に移行し,種々の画像再構成パラメータの改良などにより,縦隔・心大血管の低濃度域を中心に画質が向上してきている.既に,国内には胸部単純X線診断に関する素晴らしい教科書が存在しているが,今回はできるだけ新しいデジタル画像の提示を主体とした書籍を目指した.
本稿では,これまでの教科書に準ずる形で執筆項目を挙げたが,執筆項目タイトルは質問形式とし,冒頭に,質問に対する答えとして重要なポイントを箇条書きで記載した.総論はできるだけ簡潔に記載し,その後に続く各論では,胸部単純X線写真とCT画像を基本に症例を提示している.解剖学的な理解が必要な症例では,MPRや3D画像,シェーマなどをできるだけ使用した.また,18,19章はクイズ形式の提示としたので,簡単な病歴と画像のみで診断にトライしていただきたい.
かかりつけ医から大学病院などの大規模施設まで,あまねく施行されている胸部単純X線写真の読影において,この書籍がお役に立てる臨床実務書となることを祈っている.
2023年2月
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 臨床腫瘍学 芦澤 和人
国立がん研究センター中央病院 放射線診断科 楠本 昌彦
目次
1.胸部単純X 線画像の読影の基本は?
2.正常画像解剖の理解を深めるためには?
3.この陰影は正常? それとも異常?
part 1 ─ 立位と臥位の違い,代表的な正常変異(胸膜関係)
4.この陰影は正常? それとも異常?
part 2 ─ 一般的な正常変異(骨・軟部組織,血管影)
5.心臓の異常で重要な所見は?
6.大血管の読影で重要なポイントは?
7.胸部X線画像読影における基本事項は?
8.この肺門影は正常? それとも異常?
9.この肺血管影は正常? それとも異常?
10.この気管・気管支の陰影は正常? それとも異常?
11.肺葉性無気肺の診断はなぜ重要?
12.肺胞性陰影と間質性陰影の特徴とは?
13.肺結節・腫瘤影の読影のポイントは?
14.異常影は肺内? それとも肺外?
part 1 ─ 縦隔腫瘤
15.異常影は肺内? それとも肺外?
part 2 ─ 胸膜・胸壁疾患
16.この異常な空気像の原因は?
17.異常影の見落としやすい部位と間違いやすい陰影は?
18.異常所見を組み合わせると鑑別診断が絞れる?
19.臨床診断を鵜呑みにしても大丈夫?
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書籍情報
- ISBN:9784059884712
- ページ数:208頁
- 書籍発行日:2023年3月
- 電子版発売日:2023年5月8日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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