特集①：白内障手術 とっておき瞳孔形成テクニック

白内障手術が水晶体再建術であるならば，異常瞳孔に対しての瞳孔形成，つまり虹彩マネジメントも重要になってくる．特に小瞳孔は手術操作がやりづらいため，思わぬ術中合併症を招くことがある．そのため瞳孔拡大をする方法として，瞳孔括約筋を切開する方法と瞳孔拡張リングというデバイスを使用する方法がある．また外傷などで虹彩離断や虹彩散大がある症例では虹彩縫合による虹彩再建が必要になる場合もある．これらのとっておき瞳孔形成テクニックをご覧いただき，より安全に確実に手術操作を施行し，仕上がりもきれいであるよう，このテクニックを活用されることを願っている．

プランナー 須藤史子（東京女子医科大学東医療センター 眼科）

特集②：遠近両用CLの基礎と応用―老視対策から近視抑制まで―

遠近両用コンタクトレンズ（CL）は，わが国に登場して20 年が経過した．しかし，種類の多さ，処方手順の煩雑さなどから，専門家以外から敬遠される傾向があるのは否めない．しかし，老視は誰もが避けられず，CL 装用者においてもその対策が迫られるようになるが，その際の切り札の一つとなるのが遠近両用CLである．CL装用世代の中高年化で潜在的ニーズは確実に増えつつある中，適切に使いこなすことでその恩恵を享受できる症例も少なくないはずである．そのためには，装用者と処方医の双方が遠近両用CL の特性をよく理解しておく必要がある．

そこで本特集では，概論で遠近両用CL の基本を理解し，次に遠近両用ハードCLおよびソフトCLの経験豊富な専門の先生に，処方のコツをつかみながら一歩ずつチャレンジしていけるよう，その基礎と応用について解説していただくこととした．さらに，最近話題の遠近両用CL の近視抑制効果についても，エビデンスに基づいた解説とともに今後の展望までを興味を持って学べるように企画した．

プランナー 土至田 宏（順天堂大学医学部附属静岡病院 眼科）

特集③：眼科電子カルテ 基本から応用まで

電子カルテは開業医院，市中病院でも多くの施設で導入されており，紙カルテが過去のものとして消滅するのも時間の問題となっている．一言で電子カルテと言っても一般病院で使用されている病院電子カルテシステム（HIS：Hospital Information System）と，開業医が使用している眼科に特化したシステムはまったく別のもので，一般病院の眼科ではHISとは別に部門システムとして眼科用のシステムを導入する必要がある．電子カルテは各社からいろいろ発売されており，導入に当たってはその使い勝手を重視して選んでいる人がほとんどと思われる．電子カルテはさまざまな医療機器から直接取り込むデータ，医師やORTが手作業で入力するデータなど，いろいろな方法で入力されている．現在各企業でバラバラであった出力フォーマットを標準化するプロジェクトが進行しているが，このような電子カルテシステムの基本原理についての理解はあまり進んでいないのが現状である．この特集では，電子カルテの豊富な知識を持つ篠崎先生と，各企業の方々に電子カルテの基本とシステムについて初級者が理解すべき点をわかりやすく解説していただくようにお願いをした．電子カルテ初級者の先生が一人でも多く電子カルテについて理解できることを願っている．

プランナー 吉冨健志（秋田大学大学院医学系研究科医学専攻病態制御医学系眼科学講座）