特集①：硝子体同時手術の基本手技

私がトレーニングを受けた1990年代前半は硝子体手術と白内障手術や緑内障手術は同時に行わず，2期的に行っていることが多かった．小切開手術など，硝子体手術，白内障手術，緑内障手術それぞれの進歩に伴い，現在は同時手術を行うことが大半になってきた．同時にすることで，患者負担も軽減し良い面も多いが，IOL度数決定や術後炎症，創傷治癒の観点から，不用意に行うと術後成績がかえって悪くなることもある．そこで，この特集では，適応や同時手術の際の注意点などを，エキスパートに解説していただいた．少しでも術後成績を上げ，患者さんの視機能の改善につなげることを期待している．

プランナー 瓶井資弘（愛知医科大学 眼科学講座）

特集②：加齢に伴う眼疾患予防のための最新研究

超高齢化社会に突入して，100歳まで人生を楽しめる時代となってきました．その反面，認知症その他の理由で介護を必要とする高齢者の割合も70歳代以降増加傾向を示し，今後，いかに加齢に伴う疾患を予防していくことができるかが人類の最重要課題となってくるでしょう．予防には，一般的な疾患発症の予防である「一次予防」，疾患を早期発見，早期治療して疾患の増悪による不可逆的な障害を防ぐ「二次予防」，そして，身体障害の状態からリハビリテーションにより社会復帰を促し，要介護の状態を防ぐ「三次予防」があります．本特集では，眼科疾患において高齢者の失明原因の上位を占める緑内障，糖尿病網膜症，加齢黄斑変性の予防について，各分野のエキスパートの先生にご解説いただきます．

プランナー 安川 力（名古屋市立大学医学部眼科学教室）

特集③：保存版 超広角でみる眼底病変診断のポイント

近年の網膜・硝子体診療において，超広角眼底イメージングは極めて重要な役割を果たしている．200 °近い画角で眼底が撮影できるため，一般診療のスクリーニングとしてだけでなく，周辺部病変の正確な記録としても使用できる．また無散瞳の状態で1回の撮影で済むため，患者の負担も軽減される．さらに多くの装置でFA/IAばかりでなく眼底自発蛍光も撮影できるため，網膜血管病変や遺伝性網膜疾患を含む幅広い疾患の診療に有用である．さらに最近になり，3色の光源による「自然色の超広角眼底撮影装置」も登場し，より自然な色調の眼底撮影が可能になっている．この超広角眼底撮影は，大学病院のような研究施設だけでなく一般病院やクリニックにおいても有用性が高く，今後数年の間にルチーンの検査として定着していくであろう．

プランナー 近藤峰生（三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座眼科学）