トラベクレクトミー 私のこだわり

緑内障治療において，新しい眼圧下降治療薬が登場し薬物治療のレベル向上が図られている．緑内障診療のガイドラインにあるように，他の治療法によっても十分な眼圧下降が得られない場合や副作用やアドヒアランス不良などによって眼圧下降が適切に得られない場合には，観血的な緑内障手術が適応となる．その術式の中でもトラベクレクトミーは中心的役割を占めている．

昨今，眼科マイクロサージェリーでは，無縫合手術や低侵襲手術がもてはやされているが，トラベクレクトミーの術式は今なお変わることなく，一つ一つの手技をしっかりと正確にこなすことが重要である．術後の眼圧コントロールは濾過胞の状態に大きく依存し，そのためには，フラップからの適切な濾過量を維持し，結膜からの漏出を防ぎ，また瘢痕化を最小限に防ぐことを目指さないといけない．しかし，それらに影響しうる術眼の状態は同一ではなく，いかに長期にわたり機能的な濾過胞を作製できるかは術者の手技との兼ね合いに起因するところも大きい．そのために，それぞれの術者にこだわりが出てくる．そういったノウハウやコツに関しては，エビデンスがないためになかなか目にする機会が少ないが，経験から得られたものであり，大変貴重なものである．そこで本稿では「トラベクレクトミー私のこだわり」として，国内でも多数のトラベクレクトミーを経験しているエキスパートの先生方に，それぞれの視点から記載をお願いした．現在緑内障手術をされている先生方だけでなく，術後管理に携わっている先生方，これから緑内障手術を学ばれる若手の先生方にも大変参考になる特集となっている．

プランナー　中澤 徹
東北大学大学院医学系研究科
神経感覚器病態学講座・眼科学分野

術後トラブル回避のためのIOL度数決定

プレミアム眼内レンズ（IOL）を使用する場合，術後屈折誤差が起こるとせっかくの高機能は発揮されないため，術後トラブルにもなりかねない．IOL度数決定は患者満足度を左右する重要な術前検査である．術前生体計測の精度を上げること，適切なIOL度数計算式，最適なIOL定数を使用するという3つのコツを忠実に実践することが大切であり，さらに最近は乱視のコントロールに注目が集まっている．しかしどんなに手間暇かけても患者の希望する屈折度に仕上がっていなければ患者の不満は続くだろう．

明日からのIOL度数決定の自信に，本特集が役立つことを願っている．

プランナー　須藤史子
東京女子医科大学眼科学教室
埼玉県済生会栗橋病院

斜視の診断

斜視の分類にはさまざまな方法があり，先天性，後天性といった発症時期，水平斜視，上下斜視，回旋斜視といった斜視の方向，外傷性，内分泌性，神経原性といった原因から分類する方法などがある．それぞれにおいて治療のために必要な検査が異なる．発症時期別，斜視の方向別，原因別に斜視を分類し，どのようにアプローチして診断から治療につなげていくかについて，専門家にまとめていただく．

プランナー　佐藤美保
浜松医科大学医学科臨床講座 眼科学