特集①：眼内レンズの摘出交換

眼内レンズ（IOL）の挿入時には取説に従って慎重に操作したのに，支持部が断裂してしまった．もちろん屈折誤差ずれを起こさないように術前検査だって正確にしたつもりなのに術後サプライズが起こった．多焦点眼内レンズの特性も充分事前説明したのに不満を訴えられた．転倒により打ち所が悪くIOLが偏位してしまった．こんなことは滅多にはあってほしくないが， IOLを眼外に摘出し交換しなくてはならない．

本特集ではエキスパートがどう対処しているのかを丁寧に解説していただいた．安全で確実な方法を会得するチャンスになることを願っている．

プランナー　須藤史子
東京女子医科大学眼科学教室／埼玉県済生会栗橋病院

特集②：結膜疾患の診かた

一般外来では「目が赤い」といって受診する患者さんが実に多くいます．そしてご存知のとおり，眼が赤くなる眼疾患は多岐に渡ります．「目が赤い」の一言からいかに正しい診断に行き着くかは，日常臨床を行う上で極めて重要であり，臨床医としての腕の見せどころです．問診を深め，適切な診察と検査を行えば，結膜炎ではなくドライアイだったということもあれば，硝子体の悪性リンパ腫が見つかることもあります．

そこで本企画では，頻度の高い結膜疾患を取り上げ，教科書的な解説を行うのではなく，鑑別診断に重きをおきながら臨床の現場に即した「診かた」について，まとめることにしました．日常臨床に役立てていただければと思います．

プランナー　田 聖花
東京歯科大学市川総合病院

特集③：こどもの近視進行予防

近視は進行すると，視覚障害をきたす頻度が高くなる．多治見スタディでは，視力0.05 以下となる重篤な視力障害の原因で疾患では，近視性黄斑変性がもっとも頻度の高い疾患になっている．一方緑内障による視野障害は，近視度に応じて頻度が増すことも報告されており，強度近視のみでなく，中等度近視でも視覚障害をきたす頻度が高くなると考えられる．一方近視進行は小児期に起こるので，生涯にわたって視機能を保つには，成長期に少しでも近視進行を抑制することが重要になる．小児における近視進行予防には，光学的方法，薬理学的方法，環境因子のコントロールがある．

光学的な方法としては，眼鏡，コンタクトレンズ，オルソケラトケラトロジーがあり，薬理学的方法としては，最近低濃度アトロピン点眼が注目されている．環境因子としては，戸外活動を増やすことが薦められている．本特集では5 名の先生方に，近視進行予防について，わかりやすく解説いただく．

プランナー　不二門 尚
大阪大学医学部眼科学教室